パナソニックがテスラのEV向け新高密度電池を9月から生産、将来的にはコバルトフリーを目指す

パナソニックは、Tesla(テスラ)向けに生産している「2170」リチウムイオン電池のエネルギー密度を5%向上させ、高価なコバルトの使用を減らす新たな技術を開発した。

エネルギー密度の高い新2170電池は「パナソニックが米国ネバダ州スパークスにあるテスラの工場で製造する」とパナソニックが7月30日明らかにした。9月の生産から電池をアップグレードする。同社はスパークス工場内で13ラインを稼働させていて、年間生産能力は35GW/h(ギガワットアワー)だ。「13ラインすべてがゆくゆくは新テクノロジーに対応する」とPanasonic Energy North Americaの社長を務めるAllan Swan(アラン・スワン)氏は述べた。ただし、全システムがいつアップグレードされるのか明確なタイムラインは示さなかった。

「当社はさらに大きく前進しようとしている」とスワン氏は最近のインタビューで述べていた。「パナソニックとしては楽しみだ。当社はコバルトフリーと、高エネルギー密度のバッテリー開発に取り組んでいて、そうした技術をどのように利用したいか顧客に選択肢を提供する」。

新バッテリーが生産される施設はGigafactory 1(ギガファクトリー1)だ。この工場は、グローバルでのバッテリー生産能力を拡大し、EVのコストを抑制するというテスラの計画のカギを握る。パナソニックはこのプロジェクトで最も重要なパートナーであり、最新の契約(米国証券取引委員会提出のFORM 8-K書類)期間は少なくとも2023年までだ。パナソニックは2170電池をGigafactory 1で生産していて、それを使ってテスラがModel 3用のバッテリーパックを作っている。2170電池はテスラの最新車両Model Yにも使われている。

手短に説明すると、バッテリーには2つの電極がある。片側がアノード(陽極)、その反対がカソード(陰極)だ。電解物質はその真ん中に位置し、充電や放電のときに電極間でイオンを動かしてクーリエのような働きをする。

エネルギー密度の高い電池は、エンジニアがより大きなエネルギーをその空間に詰め込む方法を開発したことを意味する。電池のエネルギー密度5%改善は、テスラのバッテリーパックでも同様のアップとなるはずだ。結果として、テスラのModel 3とModel Yの航続距離が伸びる。高価で、社会的そして環境的コストも伴う希少なコバルトの使用抑制は電池の価格抑制にも役立つかもしれない。

パナソニックの日本にある工場は円筒形リチウムイオン「18650」電池を生産していて、これはテスラのModel SとModel Xに使われている。同社は18650電池をすでに改良し、コバルトの使用を減らすとともにエネルギー密度を向上させている。

パナソニックはバッテリー電池のカソード化学にNCA(ニッケル・コバルト・アルミニウム)を使っている。同社は使用されるコバルトの量を明らかにせず、テクノロジーの詳細についても語らない。ただ、円筒形車両バッテリーに使われるコバルト量はグローバル需要の2%以下だと述べた。

NCAはNCMよりもコバルトを使わない。パナソニックによると、NCAカソード化学はコバルトを減らすため開発されてきた。同社はコバルトをまったく使わない電池を目指していて、すでにR&Dラボでは実現している。数年内にコバルト不使用のバッテリーを商用化する計画という。

画像クレジット: Smnt / Wikimedia Commons under a CC BY-SA 4.0 license.

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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