Bitcoin(ビットコイン)と他の暗号通貨の価格は、米国時間10月23日に暴落した。ここ数カ月、Bitcoinの価値は徐々に下落しており、年初には1万ドルを超えていたものが、昨日までに2000ドル以上も下げていた。
投資家は今回の急落の原因について依然として推測を巡らせているが、昨日までは当面の底値は8000ドルくらいだろうと楽観的に考える強気の投資家もいた。
早くもその期待は覆された。今日になってBitcoinの価格は、早朝にほぼ8000ドルだったものが一気に7448.75ドルまで下落した。
今回の暴落の原因がどこにあるのか、投資家はいまだ確信が持てていない状態だ。しかしBitcoinに詳しい識者は、疑わしい2つの要因を指摘している。
1つは、Facebookの最高経営責任者であるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の議会での証言がぱっとしなかったからというもの。これは、同社が推し進めようとしている暗号通貨Libra(リブラ)に関するものだった。
しかし、ザッカーバーグ氏の弱気な態度や、Libra自体の命運については、暗号通貨の純粋主義者はもとから冷笑していた。おそらく世界中のBitcoinに関わる人にとって、Google(グーグル)の量子コンピュータの研究室で起こったことに比べれば、大した問題ではなかったろう。
今朝Googleは、スーパーコンピュータで解くのに何年もかかる問題を量子コンピュータを使って解くことができたことを示し、量子コンピュータにおける優位を宣言した。これは理論物理学者や量子コンピュータの熱烈な支持者にとっては、確かに素晴らしいニュースだった。しかし、コンピュータの能力では解読できないのを前提として価値を保っている記録システムを信奉し、そこに何十億ドルもつぎ込んできた投資家にとってはいいニュースとは言えないものだった。
Googleの研究成果に関するニュースがFinancial Timesによるレポートなどによって、9月下旬から少しずつ漏れ伝わってきたとき、Bitcoinの専門家はそれが暗号通貨に対して問題を引き起こすという考えを否定していた。
「量子コンピュータを実用レベルにまで引き上げられるかどうか、まだわかっていません。量子ビットを追加していくには、天文学的なコストがかかるのは、まず間違いないでしょう」と、初期のBitcoinの開発者Peter Todd(ピーター・トッド)氏はTwitterに投稿した。
CoinTelegraphが取り上げたコメントによれば、Bitcoinの暗号を解読するための経済的なコストは、Alphabet(Googleの親会社アルファベット)の数十億ドルという潤沢な予算さえも、はるかに超えるものと思われる。
それはともかく、年初までは、ほぼ一年を通して着実に上昇し続けてきた暗号通貨にとって、この数カ月は暗い期間だった。もちろん、Bitcoinや近年IT業界に出回っているような暗号によって保護された他のトランザクション方式が、生き永らえられるかどうかは、そうしたオープンアーキテクチャを利用して誰もが実現可能な製品を作ることができるかどうかにかかっている。
線香花火的な流行を別とすれば、今後何が起こるのか、予断を許さない状況が続いている。
このような不確実性が影響を及ぼすのはBitcoinだけではない。実際、Coindeskの価格表が示すように、他の市場も同様に下落している。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)