フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とルノーは、両社の事業の広範な部分を合併するよう交渉を進めている。この動きは、自動車業界全体に高まる整理統合の気運を象徴するもの。その背景には規制圧力の高まり、売上の減少、自動運転車のような次世代の技術を市場に導入するためのコストの増加、といった状況がある。
アップデート:FCAは、50対50の合併を提案する拘束力のない書簡をルノーに送付した。その提案によれば、合併後の事業はFCAとルノーの株主間で均等に分割されることになる。取締役会は、計11名の混成メンバーで構成されることになると、FCAは述べた。FCAとルノーが、それぞれ4人ずつ、同数の役員を出し、1人は日産からも選出されるとのこと。
クライスラーは、米国内ではJeepとRamトラックの会社としてよく知られているが、その事業は、それよりはるかに大きい。フィアットは、イタリアで最も古い企業の1つだが、現在では200億ドル(約2兆2000億円)の市場価値を持つ。ブランドとしては、アルファロメオ、フィアット、ランチア、マセラティなどを所有している。
フィアットは、2009年にクライスラーの株式を取得した。FCAの従業員は現在約20万人だが、2014年に両社が合併した際に統合されたものだ。
FCAの目的は何なのか?まず、現在FCAが所有する自動車部品事業、Moparのビジネスが不均衡なものになっているという事情がある。その従業員の約3分の1はヨーロッパにいる。それなのに、利益の大部分は北米市場から得ている。そのため、ルノーとの合弁によりヨーロッパにおいてかなりのコスト削減が期待できる。
FCAは、この合併による工場閉鎖はいっさい考えていないと強調している。
コスト削減は、売上が低迷した場合に大きな意味を持つ。実際にGMやフォードなど、他の自動車メーカーは、すでにそのための準備を進めている。また、電気自動車や自動運転車など、新技術を市場導入するには多額の費用がかかるが、合弁によって協業し、コストを分担し合うことができる可能性も拡がる。
FCAは46の研究開発センターを運営しており、先進的な運転支援システムに投資してきた。その成果は、マセラティブランドで提供されている高速道路でのアシスタント機能として実現されている。しかしその一方で、自動運転技術を開発しているWaymoなど、他社との協業に依存している面もある。
昨年、FCAはWaymoとの提携を拡大し、Waymoの自動運転車両群に、最大6万2000台のChrysler Pacificaミニバンを追加すると発表した。両社はまた、Waymoの技術をライセンスして、消費者向けの車にも自動運転技術を導入する方向で取り組みを進めている。
この記事は、FCAがルノーとの合併を提案したことを受けて内容を更新した。
画像クレジット:Kristen Hall-Geisler
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(翻訳:Fumihiko Shibata)