フェイスブックがアップルやグーグルに手数料を払わずファンが投げ銭「スター」を購入できるウェブを公開

Meta(Facebook)は、アプリストアのアプリ内購入手数料を回避する新たな方法を発見した。新しいウェブサイトではユーザーが 「Facebookスター」と呼ばれるバーチャルアイテムを購入し、Facebookの動画やライブストリームでお気に入りのクリエイターを応援する手段として使うことができる。スターは、通常モバイル端末でアプリ内購入のかたちで購入されるため、アプリストアプラットフォーム提供者(つまりAppleまたはGoogle)との収益分配の対象になる。しかし、ファンがFacebookの新しいウェブサイトでスターを購入する場合、Facebook Payを使用し、AppleやGoogleの決済手段を利用しない。

これによってファンは「より多くのスターを安く手に入れる」ことができます」とFacebookの発表にかかれている。これは少なくとも現在は真実のようだ。なぜならFacebookがすべての購入について「ボーナス」スターを提供しているからだ。例えば、530スターを9.99ドル(約1130円)で買う場合、新ウェブサイトを通じて購入するとボーナスとしてさらに420個のスターがもらえる。Facebookモバイルアプリのアプリ内購入を使う場合、スターは530個しかもらえない。(注記:これは公開されたウェブサイトのボーナス額に基づいている。Facebookのブログに載っているスクリーンショットは異なるボーナス額を示している。12月の「スターフェスト」期間中は価格が下げられていると編集部は理解している。いずれにせよ、これらのボーナスは、ウェブ経由なら同じお金で多くのスターが手に入ることを意味している)。

画像クレジット:Facebook

ボーナススターの数はさまざまで、購入金額が増えるほど追加スターの数は増える。最少で45スター(ボーナスは35スター)を0.99ドル(約110円)から最大6400スター(ボーナス3600スター)を99.99ドル(約1万1350円)で購入できる、と現時点のウェブサイト(上記参照)に書かれている。

しかし、ボーナスがなければ、アプリ内購入の代わりにウェブサイトを使うメリットはない。ボーナスを別にした料金はどちらも変わらないからだ。

ウェブサイトのStars Store(スター・ストア)で購入したスターは、ユーザーのバーチャルウォレットに格納され、Facebook Liveやオンデマンドビデオで対象のクリエイターに送ることができる。クリエイターはスターを使ったユーザーに対して好きな方法で報いる事ができる。ビデオの中で大声で呼ぶなど、自分のスタイルやコンテンツにあった報酬を与えられる。

画像クレジット:Facebook

Facebookがアプリストアの収益分配を回避する方法を見つけたのはこれが初めてではない。2021年11月にFacebookは、クリエイター向けのカスタムサブスクリプションリンクをiOSで提供し、賛否渦巻くAppleの30%手数料を避けて直接支払いを受けられるようにした。この仕組みが、少なくとも現段階で、可能なのはFacebookがこの取引で自分の取り分を得ていないからだ。そうすることでFacebookは、AppleのApp Store Guidline(アップストア・ガイドライン)に細かく書かれている現在許容されている方法で手数料を回避することができる(具体的にはガイドラインの3.2.1項「許容される行為」に、個人は他の個人に金銭を贈与できる、ただし受け手側が金銭の100%を受け取る場合に限る、と書かれている。Clubhouse(クラブハウス)はこの隙間と自身のアプリ内チップシステムを利用している)。

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スターをウェブ経由で買う仕組みは、新たな興味深い動きであり、ファン多くのスターを安く手に入れる方法があることに一度気がつけば、さまざまな取引をFacebookのモバイルアプリとアプリ内購入からシフトする機会が生まれる。Appleは、Epic Games(エピック・ゲームズ)訴訟の結果、近いうちにアプリデベロッパーがアプリ以外で購入できる場所を指し示すことを可能にすることになっているが、現在Appleは、その強制命令を遅らせるよう法廷に要求している。最初の試みは却下された

画像クレジット:Facebook

FacebookのStar Storeウェブサイトの発表は、12月いっぱい行われている「Star Fest」期間中に数多く発表されたものの1つだ。同社は、スターを他の場面でも利用するテストを行うといっている。ニュースフィード、Facebook Watchフィード、ゲーミングタブ、さらに2022年に始まるFacebookリール内のビデオなどだ。

さらに同社は「Stars Party」なるものも開始する。ライブストリーム中にファンが一体となってスターを贈る新しい方法だ。カウントダウンタイマーがあらわれて、5分間のうちに集団が一緒にスターゴールを目指す。2021年12月22日から2022年1月3日まで、Star Partyを完了したクリエイターは、1回につき50ドル(約5680円)のボーナスをもらえる、とFacebookはいう。

Facebookは、10億ドル(約1135億円)のクリエイターファンドの一環として、3月31日まで、スターの「ダブルボーナス」にも投資している。期間中、Metaは一部のクリエイターのスター収益に最大月額750ドルまで同額を上乗せする。これでクリエイターは最大3750ドル(約42万6000円)のボーナス支払いを受け取ることが可能になる。ただし、同プログラムは招待制だ。Facebookはさらに、ユーザーがライブビデオを見ながら新機能を試せるように、300万ドル(約3億4000万円)分の無料スターを配布する予定だ。

Stars Festでは他にも、期間限定のバーチャルギフトやバッジ、さまざまなクリエイターによるスペシャルライブプログラミング、クリエイターがライブ中継を行うための金銭的インセンティブなど、さまざまなサービスを提供している。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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