フェイスブックが音声関連の新機能を発表、Clubhouse類似機能やポッドキャスト支援ツールなど

Facebook(フェイスブック)は米国時間4月19日、一連の新しい音声関連機能を正式に発表した。これは同社がClubhouse(クラブハウス)や他の音声ソーシャルメディアの脅威を真剣に受け止めていることの現れだ。Facebookは単にClubhouseに類似した機能を開発するだけでなく、ポッドキャスト制作者が長いオーディオを共有するためのツールや、音楽を聴くための新たなSpotify(スポティファイ)との統合、そしてまったく新しい「Soundbites(サウンドバイツ)」と呼ばれる短い音声フォーマットの体験機能を発表した。

音声ネットワーク市場における関心の高まりを受け、新機能の中で今回の発表以前から最も話題になっていたのが、Facebookによる「Clubhouseクローン」だろう。

この「Live Audio Rooms(ライブオーディオルーム)」と名づけられた機能では、Clubhouseと同じように、ユーザーが特定の話題について「部屋」に集まり、話し合うことができる。

「私がFacebookで最も期待している分野は、基本的に、数多くのコミュニティやグループが存在することです。興味のあることを中心に構成されたコミュニティにすでに参加されている方は多いと思いますが、さらにそれらの人々が集まって話ができる部屋を持てるようになることは、非常に有益なことだと思います」と、同社のMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOは、今回の発表と同時に行われたPlatformer(プラットフォーマー)による親しげなインタビューで語っている。「2020年前半にビデオチャット機能を導入した際、グループやコミュニティではそれが盛んに利用されるようになりました。だから、音声に関しても、さらに気軽に使えることを考えると、大きな盛り上がりが期待できると思います」。

画像クレジット:Facebook

Facebookの公式ブログによると、Live Audio RoomsはFacebookとMessenger(メッセンジャー)の両方で利用できるようになるという。

Live Audio Roomsは、まずFacebook Groups(Facebookグループ)でテストが行われ、月間18億人のグループユーザーから利用できるようになる。また、公人や専門家にも提供される予定だ。Facebookによると、この機能をいち早く採用したのは、アメリカンフットボールのクォーターバックであるRussell Wilson(ラッセル・ウィルソン)氏、グラミー賞にノミネートされたエレクトロニッミュージックアーティストのTOKiMONSTA(トキモンスタ)氏、アーティストで映画監督のElle Moxley(エル・モクスリー)氏、5度のオリンピックメダリストで起業家のNastia Liukin(ナスティア・リューキン)氏などだという。

Live Audio Roomsは2021年の夏から、Facebook上で誰でも利用できるようになる予定だ。また、同時期にはMessengerにも導入されるので、友人同士で音声による会話を楽しめるようになる。

他社の技術製品を焼き直したようなこの音声機能に加え、FacebookではTikTok(ティックトック)の競合である「Instagram Reels(インスタグラム・リールズ)」の音声専用バージョンも開発中であることを、ザッカーバーグCEOは明らかにした。この「Soundbites(サウンドバイツ)」と名づけられたプロジェクトは、アルゴリズムでソートされた短い音声クリップをすばやく扱うことができるというもので、まずは少人数のクリエイターのみで数カ月間のテストを行い、それからFacebookユーザーに広く利用できるようにする予定であると、Facebookはブログ記事で書いている。

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「このアイデアは、短時間の音声フォーマットで、人々がおもしろいと思ったことや、他の人にも教えたいと思うような、ちょっとした短い音声クリップを、さまざまなジャンルやトピックをカバーしながら共有できるようにするというものです」と、ザッカーバーグ氏は語っている。

ポッドキャストの制作者に対しては、ユーザーがFacebookページでフォローしているポッドキャスト制作者のコンテンツを、Facebookアプリで直接聞けるようにするツールを開発していると、ザッカーバーグ氏は述べている。ポッドキャストのFacebookページにアクセスしているユーザーが現在1億7000万人もいることを、同CEOは指摘し、この音声コンテンツにもっと簡単にアクセスできる方法を確保したいと語った。

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ユーザーは好みのポッドキャストを発見したら、バックグラウンドでも再生を開始できるようになる。あるいは別のアプリを起動して、そちらで再生を続けることも可能だと、ザッカーバーグ氏は述べている。これは例えば、ポッドキャストのコンテンツをSpotifyで聴きたいと思った場合、直接Spotifyで開くこともできるという意味だと思われる。

この機能はユーザーの興味に基づいた新しいポッドキャストの発見に役立ち、ユーザーはポッドキャストにコメントしたり、友人に勧めることができるようになる。

このような音声機能の取り組みに関連して、ザッカーバーグCEOはFacebookとSpotifyの提携拡大についても言及した。現在社内で「Project Boombox(プロジェクト・ブームボックス)」と呼ばれている機能は、ユーザーがSpotifyでお気に入りのアーティストのコンテンツやプレイリスト、その他の種類のオーディオを、Facebookのフィードで共有できるようにするものだ。これを他のユーザーがクリックすると、小さなインラインプレイヤーが表示され、コンテンツを再生する。

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Spotifyとの統合に詳しい関係者からの情報によると、このプレイヤーは音楽とポッドキャストの両方に対応するとのこと。すでにメキシコやタイなど、米国以外の市場でテストされており、1週間ほどで利用可能になる見込みだ。

「Facebookがオーディオに興味を持ったということは、このカテゴリーへのさらなる評価であり、私たちがずっと以前から知っていたこと、つまりオーディオのパワーと可能性が無限であることを裏付けるものです」と、Spotifyの広報担当者はTechCrunchに語った。「私たちの目標は常に変わりません。それはSpotifyをプラットフォームやデバイスの垣根を越えてユビキタスなものにし、音楽やポッドキャストをより多くの人に届けることです。今回のFacebookとの統合は、こうした取り組みの新たな一歩となります。私たちはFacebookとの継続的なパートナーシップにより、世界中のオーディオディスカバリーを促進していくことを楽しみにしています」。

また、ザッカーバーグ氏は、新機能の導入が、成長するクリエイター経済に貢献する必要性についても言及している。

Live Audio Roomsでは、ファンはFacebookのアプリ内チップ機能である「Stars(Facebookスター)」を通じて、クリエイターを支援したり、寄付したりできる。Facebookによると、Live Audio Roomにアクセスするためのサブスクリプションなど、その他の収益化ツールも後に導入する予定だという。また、同社はSoundbitesの起ち上げに合わせて、新たなクリエーターの誕生を支援するAudio Creator Fund(オーディオ・クリエーター・ファンド)も用意する。

さらにザッカーバーグ氏は、Facebookが計画しているニュースレターという機能についても語った。これはクリエイターコミュニティに提供される課金ツールの1つで、Twitter(ツイッター)が計画している「Super Follows(スーパーフォロー)」と同じようなものだ。

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「ジャーナリストやクリエイターが、自分をフォローしたいと思ってくれる人に向けて、ニュースレターとポッドキャストの両方でサブスクリプションを設定できる仕組みは、本当に強力なものになると思います」と、ザッカーバーグ氏はいう。「これは私たちが実現しようとしているポッドキャスト関連の課金ツールで大きな部分を占めるもので、我々が計画していること、つまり独立系ジャーナリストにニュースレターなどのツールを提供する取り組みと密接に関係しています。これら2つのことが、ジャーナリストやクリエイターにとって非常に有利な条件で可能になれば、かなり強力なものになると思います」と、同氏は強調した。

Vox(ヴォックス)が4月18日にスクープしたこれらの新機能の発表は、ファンとクリエイターがつながる場所が他にも増えているせいで、Facebookの優位性が崩壊しつつあることを、同社がいかに深刻に捉えているかを示している。現在のFacebookにとっての脅威は、ClubhouseやSubstack(サブスタック)のニュースレター、さらにはPatreon(パトレオン)のような新しいアプリだけでなく、全般的なクリエイター経済をFacebook自身の手に集約・所有できなくなりつつあるという事実である。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook音声ソーシャルネットワークSNSポッドキャストSpotify

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(文:Sarah Perez、Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

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