フォードが約360億円を投じて英国のトランスミッション組立施設を電動パワーユニット工場に転換

Ford Motor Company(フォード・モーター・カンパニー)は、2億3000万ポンド(約360億円)を投じて、英国・ヘイルウッドにある自動車用トランスミッションの組立施設を、電動パワーユニット工場に転換すると発表した。これが同社初の欧州における電気自動車用コンポーネントの自社組立施設となる。

The Times(タイムズ紙)によると、この投資には英国政府が自動車変革基金を通じて提供する推定3000万ポンド(約47億円)の資金が含まれているという。この投資により、約5000人の自動車関連の雇用が地域に創出されると、同紙は伝えている。

この工場で生産されるパワーユニットは、フォードが将来欧州で販売する電気自動車の乗用車および商用車に供給され、同社の電動化に向けた目標達成を後押しすることになる。フォードは2021年2月、2030年までに欧州で販売する乗用車のすべてを電気自動車に、商用車の3分の2を電気自動車またはプラグインハイブリッド車にするという欧州戦略を発表。同社は10億ドル(約1140億円)を投じてドイツのケルンにある組立工場を改修し、2023年にはそこで同社初の欧州製となる量販電気乗用車の生産を開始する予定だ。

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この電動パワーユニットは、内燃機関自動車のエンジンとトランスミッションの代わりとなるもので、バッテリーから供給される電気の流れを管理し、電気モーターの速度や発生するトルクを制御する。フォードはその生産を2024年半ばに開始する予定で、年間約25万台程度の生産能力を計画している。このパワーユニットはケルンの工場または他の工場の組立ラインに送られるのかという質問に、フォードは答えなかった。歴史的に、ヘイルウッド工場で生産されたユニットは100%が輸出されており、フォードは、エンジンやトランスミッションを「6大陸15カ国以上に輸出し、海外での売上は年間約25億ポンド(約3900億円)に上る」英国最大の輸出企業の1つとなっているという。

「電気自動車の製造を確保するための激しい国際的な競争の中で、英国が確実に利益を得ることが我々の優先事項です」と、英国のビジネス大臣であるKwasi Kwarteng(クワシ・クワーテング)国会議員は、声明の中で述べている。「本日の発表は、政府の資金援助を受けたものであり、英国経済の将来性と電気自動車の生産拡大計画に対する大きな信頼の証しです。これにより、ヘイルウッドの誇るべき産業遺産が将来にわたって維持され、北西部の高技能・高給の雇用が確保されることになります」。

フォードが電気自動車の生産を拡大しようとしているのは欧州だけではない。この自動車会社は電動化に向け、2025年までに300億ドル(約3兆4300億円)の投資を用意しており、そのうちの1つである中国でも努力の成果が実り始めている。10月18日、中国で最初に製造された電気自動車「Mustang Mach-E(マスタング・マックE)」が組立ラインからロールオフされたのだ。中国の顧客は、フォードの直販ネットワークであるEVシティストアを通じて、年末までに現地生産のMach-Eを手に入れることができる。フォードは、2021年中に主要都市部で25店舗のEV販売店をオープンし、今後5年以内に100店舗以上に拡大する予定だという。

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画像クレジット:Ford Motor Company

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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