フランス拠点のマーケットプレイスMiraklが320億円調達、大手B2B企業の参加で業界特化市場も構築

フランスを拠点するスタートアップのMirakl(ミラクル)が15億ドル(約1580億円)のバリュエーションで3億ドル(約320億円)を調達した。今や同社はユニコーンとなった。Miraklはユーザーのeコマースウェブサイト上でマーケットプレイスの立ち上げと管理を支援する。同社の顧客の多くは、Miraklを活用したマーケットプレイスをB2Bの取引にも使っている。

今回のラウンドはPermira Advisersがラウンドをリードし、既存の投資家からは83North、Bain Capital Ventures、Elaia Partners、Felix Capitalが参加した。

「このラウンドは43日でクローズした」と、共同創業者で米国のCEOであるAdrien Nussenbaum(エイドリアン・ヌッセンバウム)氏は語った。だがデューデリジェンスのプロセスは激しかった。「Permira Advisersは、クライアント、営業先、パートナー、元従業員らに合計250件電話した」という。

多くのeコマース企業は販売拡大をサードパーティーの販売業者に頼っている。マーケットプレイスでは1つの販売業者が多数の顧客に販売するのではなく、多数の販売業者が多数の顧客に製品を販売できる。Miraklはユーザーのeコマースプラットフォームでマーケットプレイスを管理するソリューションを開発した。

Best Buy Canada(ベストバイカナダ)、Carrefour(カルフール)、Darty(ダーティー)、Office Depot(オフィスデポ)など300社がマーケットプレイス構築にMiraklを利用した。Miraklは最近、B2B企業も次々とクライアントにしている。

業界に特化したマーケットプレイスは部品の調達やバルクセールに使える。この分野のクライアントには、Airbus Helicopters(エアバスヘリコプター)、Toyota Material Handling(トヨタマテリアルハンドリング)、Accor(アコー)のAstore(エーストア)などがある。Miraklのマーケットプレイスの60%は依然として消費者向けだが、同社は最近B2BとB2Cのマーケットプレイスも増やしている。

「当社は単純なマーケットプレイスにとどまらないプラットフォームビジネスモデルを可能にする数多くの機能を開発した」と共同創業者でCEOのPhilippe Corrot(フィリップ・コロット)氏は筆者に語った。「たとえば当社はサービスに投資してきた。これにより当社のクライアントはサービスプラットフォームを開発できるようになった」。

フランスでは、例えばConforama(コンフォラマ)で顧客が家具を買うと、Conforamaはさまざまなサービスで顧客にアップセルすることができる。Miraklは独自のカタログマネージャーも立ち上げ、リストの統合や情報の追加などができるようになった。

同社はこうした機能に必要な膨大な作業に人工知能を使用している。不正検出など、AI対応の機能は他にもある。

Miraklがマーケットプレイスのエキスパートであることを考えると、同社がMirakl Connect(ミラクルコネクト)を使用して一種の「マーケットプレイスのマーケットプレイス」を用意したことは驚くにあたらない。

「Mirakl Connectは、売り手からオペレーター、パートナーに至るまで、マーケットプレイスのエコシステム内の全ての人にとって単一のエントリーポイントになるプラットフォームだ」とコロット氏は述べた。

売り手のメリットは非常に明白だ。会社のプロフィールを作成し、一度に複数の市場で製品を宣伝できる。同社は決済サービスプロバイダー、フルフィルメント会社、フィードアグリゲーター、その他のパートナーとも提携し始めた。同社は、マーケットプレイスでこうしたパートナーらとワンストップショップを形成したいと考えている。

全体として、Miraklを活用したマーケットプレイスは2020年前半に12億ドル(約1260億円)のグロス・マーチャンダイズ・ボリューム(流通総額)を生み出した。経済危機にもかかわらず前年比で111%増加した。

本日の資金調達ラウンドを受け、同社はすべての領域へ進出することを計画している。同じ機能、同じビジネスモデルだが経営資源を拡充する。500人のエンジニアを雇い、販売チームと顧客成功チームを拡大する計画だ。

画像クレジット::Unsplash/David Clarke

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(翻訳:Mizoguchi