ベンチャーキャピタルにおける女性の役割、外国からの投資についてEast Venturesパートナーが語る

Melisa Irene(メリサ・アイリーン)氏が東南アジアで最も評価の高いベンチャーキャピタルのパートナーになるまでの道のりは典型的なものではなかった。

「私はいつも自分がとても幸運だったと思っている」と、2019年1月にEast Ventures(イースト・ベンチャーズ)のパートナーに昇進した同氏は語った。25歳で、ジャカルタに拠点を置く同ベンチャーキャピタルの最初の女性パートナーになった。

筆者はTechCrunch Disruptの最初のオンライン会議で同氏に対し、同氏が謙虚に「幸運な」キャリアだと述べたその内容、若い女性投資家としての経験、東南アジアへ流入する米国と中国のVCマネーの急増、新型コロナウイルスによるパンデミックがEast Venturesにとって何を意味するのかついて聞いた。インタビューの動画は記事の最後にある。

25歳でパートナーに

アイリーン氏は、VCの世界で登り詰めるまでにタイミングが大きな役割を果たしたことを認めた。インドネシアのインターネットインフラの開発は比較的最近である2010年前後に進みだした。先進国の市場と比べると遅かったが、成長は急速だった。East Venturesが東南アジアのeコマースリーダーであるTokopedia(トコペディア)のシリーズAで投資してから5年後の2015年、アイリーンは入社した。

当時、「私は別に多くのインベストメントバンカーと競争していたわけではなかった」という。同氏は大学で会計を専攻し、East Venturesでインターンとして働き始めた。「ベンチャーキャピタルが求めていたのは、速くエコシステムに溶け込める人材だった」。

常識に反して東南アジアの投資エコシステムは女性に対して「非常に友好的」だ。「業界における女性専門家の昇進は歓迎されている。東南アジアで女性がバイスプリンシパルやプリンシパルになるのは珍しいことではない」と同氏は語った。

女性を支えているのは、単に「ジェンダーの多様性」という項目にチェックを入れるためではなく、テクノロジー業界で共感を示す投資家が実際に求められていることの表れだ。

「ビジネスパートナーとして、また時には友人として話したい人もいる。共感は女性が自然に生みだせるものだ」と彼女は付け加えた。

しかし同氏は、「女性の意思決定者の数は間違いなく改善しなければならない」と警告する一方、地域のエコシステムが「それを支持する」とも見ている。

東南アジアのゴールドラッシュ

米国と中国のハイテク大手は近年、約6億7000万人が住みインターネット市場が生まれたばかりの東南アジアへの進出意欲を高めているが、地域のスタートアップに資金を提供することから始めることが多い。投資により、外国の投資家としてどう動けばよいのか情報が得られる。

実際、おなじみの名前はすべてこの地域の新星に賭けている。Alibaba(アリババ)はTokopediaと、そのライバルであるJD.comも投資する旅行ポータルであるTraveloka(未訳記事)に投資した。TravelokaはEast Venturesのポートフォリオにも入っている。Tencent(テンセント)、Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、Paypal(ペイパル)はすべて、インドネシアの配車サービスを提供する巨人であるGojek(ゴジェック)に投資している(未訳記事)。Gojekはソフトバンクが投資するGrab(未訳記事)のライバルだ。

「スタートアップは巨額の小切手を提示されたら、しっかり前を見て何が最善かを考えなければならない」とアイリーン氏は助言する。「問題は誰もがお金を持っていること。自社はどちらの側につきたいのか、どの企業と協業したいのか、どの企業が戦略的アドバイスを提供してくれるのかを判断する必要がある」。

投資家と創業者が、優先順位をめぐり衝突することは珍しいことではない。 一部の投資家は迅速にイグジットすることを望むが、起業家はじっくりビジネスを構築することを志向する。「そのすり合わせが重要だ」とアイリーン氏は主張する。

東南アジアのテクノロジーの未来

東南アジアでGrabやGojekのようなユニコーンや「スーパーアプリ」が出現した今、既存の大企業が競争をつぶすという懸念が高まっている。East Venturesは、TokopediaやTraveloaなどのスタートアップの一部が巨大企業ヘと成長するのを目の当たりにしたアーリーステージの投資家として、地域の競争について独自の洞察を持っている。

アイリーン氏は、東南アジアのインターネットエコシステムが成熟するにつれ、実際には「次のセクター」のスタートアップに多くの機会があると信じている。

「ユニコーンの周りを見ると彼らをサポートする多くの若くて小さな会社があることに気付く」と同氏はいう。重要なのは、大企業だけですべてを成し遂げることはできず、ニッチな機能のいくつかは専門に特化した小規模なプレーヤーの方がうまく対応できるということだ。

一方で同氏は、規模の経済とネットワーク効果の恩恵が得られる領域で統合は可能であり、そうすべきだと考えている。

「インドネシアは1つの国だと考えられているが、それは違う。インドネシアは最大の群島だ。つまり州によってインフラが大きく異なる。例えば小さな島に銀行の支店を作るのは高くつく。消費者にさまざまな種類のサービスを提供するには、多くのことを集合的に1つの大きなエコシステムによって扱う必要がある」。

最後に避けて通れない新型コロナウイルスの問題がある。多くの投資家と同様、アイリーン氏は暗い時代にも良い面があると考えている。

「新型コロナ前は会社の質を評価することが非常に難しかった。どの会社も多額の資金を持っていて、インフラも非常に良かった。しかし突然、誰が適切な意思決定を行い、誰がどの程度の速さでそれを行い、意思決定の結果がどうなったかを知ることができるようになった。起業家が新型コロナにどう対応しているかを観察すると、彼らの会社について多くのことがわかる」。

カテゴリー:VC / エンジェル

タグ:Disrupt 2020East Ventures

画像クレジット:Melisa Irene, partner at East Ventures

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(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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