ペットのウェルネスというニッチに進出するAlpha Paw

ペットは相変わらず大きなビジネスであり、最近ではAlpha Paw(アルファ・パウ)という企業が投資家の注目を集めている。オースティンを拠点とするこの会社は、自己資金のみで運営してきた3年間の後、Nordic Eye(ノルディック・アイ)が主導するシリーズA投資ラウンドで800万ドル(約9億円)の資金を調達した。

CEOのRamon van Meer(ラモン・ヴァン・メーア)氏は、2018年に買収によって会社を引き継ぎ、現在は11歳の息子のVictor(ヴィクター)と一緒に仕事をしている。当時のAlpha Pawは、ソファに飛び乗ったり飛び降りたりするのが苦手な犬のためのペット用スロープを開発する小さな会社だった。だが、ヴァン・メーア氏は、2019年にペットのウェルネス分野で再出発を図る。

「私たちには、ペットがより健康で長い人生を送れるようにするというビジョンがあります」と、ヴァン・メーア氏はTechCrunchに語った。「人間のライフスタイルと同じようなウェルネス製品をペットのために作りたいと、私たちは考えました。健康を保つためには、栄養とサプリメントが必要です」。

Alpha PawのVictorとRamon親子(画像クレジット:Alpha Paw)

新型コロナウイルスの世界的な流行もあり、ここ数年は人々がペットと一緒に過ごす時間が増えている。それにともない、人間の健康とウェルネスに対する考えを、飼い主がペットに適用しようとする傾向が現れてきた。実際、世界のペットサプリメント市場は、2019年には約6億ドル(約673億円)に満たなかったが、2027年には8億2000万ドル(約920億円)を超えると予測されている。American Pet Products Association(米国ペット製品協会)によると、2020年米国人がペットのために費やした金額は、1000億ドル(11兆2000億円)近かったという。

Alpha Pawは、犬や猫のためのフードやサプリメントなどのペット用品を、ペットの品種に合わせてカスタマイズして提供している。近々、アレルギーや股関節などの病気に対応するためのフードや栄養補助食品が入ったボックスの定期購入サービスを開始する予定だ。このボックスには、デンタルケアのための食用アイテムも含まれる。Alpha Pawは顧客のペットの犬種、体重、そして適切な目標体重を把握しているので、そのペットに合わせた毎日の運動や遊びのレジメも含まれる。

同社の2020年の売上は2000万ドル(約22億4000万円)だったが、2021年は3500万ドル(約39億3000万円)を見込んでいるとヴァン・メーア氏はいう。これには恩返しもともなう。息子のビクターは慈善活動に熱心なので、Alpha Pawは製品が売れるごとに、国内の保護犬に食事を寄付している。現在までに50万食以上が寄付された。

新たに調達した資金は、顧客獲得、製品拡大、国外を含む事業拡大のための財源となる予定だ。また、ソーシャルメディア上にペット飼い主のコミュニティを構築するためにも役立つ。ユーザーは犬種ごとのコミュニティを作り、お互いに交流したり、同じ種類のペットの飼い主や獣医師に質問したりできる。

Nordic EyeのゼネラルパートナーであるPeter Warnøe(ピーター・ワーノエ)氏は、しばらく前からペット業界を見ているが、多くのスタートアップ企業が参入するにつれて評価が上がっていったと語っている。

「新型コロナウイルス感染流行以降、この分野の評価が上がっていることは周知の事実です。ほとんどの犬は10年以上生きますから、これはトレンドではなく、本当に持続可能なものです」と、同氏は付け加えた。「犬の重要性と、家族に迎えられる犬が増えることで、この産業は大きく成長しています。ラモンの他のビジネスでの実績と、ここでの2年間の成果を見て、投資を決めることは難しくありませんでした」。

画像クレジット:benjgibbs / Flickr under a CC BY 2.0 license.

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。