paperboy&co.(現:GMOペパボ)創業者の家入一真氏。29歳の最年少でJASDAQ上場(当時)を果たしたのち、飲食店経営や投資活動、クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」運営のハイパーインターネッツやネットショップ開設サービス「BASE」運営のBASEなどの共同創業、果てには都知事選への立候補など——時に騒ぎを起こしつつも活動してきた同氏の新会社キメラがいよいよ本格的に動き出した。
キメラは8月18日、East Ventures、あすかホールディングス取締役会長の谷家衛氏、メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏、ドリコム代表取締役社長の内藤裕紀氏など複数の個人投資家、リブセンスを引受先とする総額1億円超の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。資金の調達に合わせて谷家氏が同社の取締役に就任する。キメラでは今回の資金調達をもとに人材の拡充やマーケティング強化、開発環境の整備を進めるとしている。
キメラでは、「新しい働き方の提案や雇用力を強化するサービスを開発する」としており、第1弾のプロダクトとして、タレントマネジメントシステム「LEAN」を開発中だ。キメラ共同創業者で取締役の佐野一機氏(paperboy&co.のブランド戦略などを担当したコンサルタントであり、その後自身でも起業。コスメ事業を立ち上げて売却し、現在サティス製薬取締役も務める)によると、クローズドベータ版サービスの運用はすでに開始しており、9月にも正式にサービスを開始する予定だという。
「最近ではリファラル採用(人材会社を利用しない、人づてでの採用のこと)という言葉も出てきているが、企業のHRに必要なインフロー(採用)、インターフロー(教育、配置)、アウトフロー(輩出)にそれぞれモジュールを提供していきたいと考えている。LEANはその採用のモジュール」(佐野氏)
機能の詳細については聞けなかったが、LEANは採用に向けた情報発信に加えて、入社した人材の属性を一元管理。さらにデータを蓄積していくことで、自社に求められるのがどのような人材であるかを確認できるようなプロダクトだという。海外ではすでにLeverのようなサービスが登場しているし。国内で言えばWantedlyなどが近いだろうか(同様のサービスを提供予定だったハッチは現在活動をストップしていると聞いている)。
キメラのコーポレートサイトでは、社名の由来である「キメラ」について「同一個体内に異なった遺伝情報を持つ細胞が混じっていること。またそのような状態の個体のこと」という説明があるほか、その語源でもあるギリシャ神話の怪物「キメラ」を例に「獅子の頭、山羊の体、蛇の尾を持つ怪物キメラの様に、わたしたちはひとりひとりが独立した特徴を持つモンスターでありたい」というメッセージが書かれている。このメッセージどおりで、同社では今後LEANに加えて複数のサービスを展開していく予定だという。