マコノヒーの語りで眠りに誘う瞑想アプリのCalmが約29億円を調達

瞑想アプリのユニコーンスタートアップCalmは、俳優マシュー・マコノヒーの南部なまりや作家スティーヴン・フライの英国アクセントといった甘美なトーンであなたを眠りにつかせる。昨年始まったCalmのスリープ・ストーリー機能はヒットし、200万人の有料購読者が1億5000万回超も聴き、5000万回のダウンロードがあった。多くの人が瞑想したい一方で、彼らは眠りにつく必要がある。リリースされて7年のこのアプリはついにアスピリンを服用するより習慣化できるマストの機能を見つけた。

世界中の人々を悩ましてる不眠問題を解決するのに投資したくてたまらなかったLightspeedは、企業価値10億ドル(約1084億円)のセレブエンジェルとともにシリーズBのエクステンションラウンドでCalmに2700万ドル(約29億円)を投資した、とTechCrunchに明らかにした。この資金は購読料年間70ドル(約7600円)のこのアプリが瞑想ガイドにとどまらず、自立マスタークラスやルーティーンの拡大、リラックス音楽、呼吸エクササイズ、子供への読み聞かせ、眠りに誘うセレブの語りへと中身を充実させるのに使われる。

企業価値が10億ドルになったと2月に発表のあったTPG主導のCalmの8800万ドル(約95億円)のシリーズBへ追加された今回の投資により、Bラウンドの総額は1億1500万ドル(約125億円)に、累計の調達額は約1億4100万ドル(約153億円)となった。Lightspeedのパートナー、Nicole Quinn氏は同社はTPGと同時期にCalmと話し合いを始めたもののデューデリジェンスを終わらせるのに時間がかかったことを認めた。2月からCalmは成長しているにもかかわらず企業価値が増えていないのはそのためだ。

「NicoleとLightspeedは大切なパートナーで、コンテンツを通じて我々はエンターテイメントに賭け続ける」とCalmのコミュニケーション責任者のAlexia Marchetti氏は私に語った。Calmは晩夏にさらにセレブとタイアップしたコンテンツを発表する計画だ。

Headspace、Simple Habit、Insight Timer、そしてPelotonのマインドフルネスセッションやJourneyのライブグループクラスといった新参のサービスなど、競合相手が多い瞑想アプリ業界にあって、広くアピールすることはCalmにとって重要なことだ。オンラインで無料の瞑想ガイドを見つけるのは簡単になっていて、だからこそCalmは全体的なメンタルウェルネスハブになる必要がある。

あまりやり過ぎると効果が薄くなるリスクはあるが、Calmのサービス過多は、セラピーや瞑想、そして風通しの良い服からヨガマットに至るまでのヘルス関連商品を含め、パーソナルヘルスの支出を膨らますゲートウェイにする可能性がある。しかし購読料金だけでも大きな事業となっている。Calmの売上高は2018年に4倍の1億5000万ドル(約163億円)に達し、黒字を達成した。

Calmは急速な売上高の成長を維持できる状態にある。スリープ・ストーリー機能の開始後、「信じられないような利用の増加とその状態の維持がみられた」とQuinn氏は話す。ユーザーは、マシュー・マコノヒーによる宇宙の不思議についての語り、ジョン・マッケンローが案内するテニスのルールやリトルマーメイドといったおとぎ話などから選ぶことができる。

「スリープ・ストーリーは今や事業の大きな部分を占め、人々がアプリ内でスリープ・ストーリーに費やす時間は劇的に伸びている」とQuinn氏は語る。彼女はまた、多くのスタートアップが「問題がないところに問題を見つけようとしている」とも話す。寝入るのに困難を抱えている人は多く、ユーザーは睡眠薬の代わりにアプリにお金をはらいたいのだ。意識を失うまでSF映画「インターステラー」の俳優による宇宙についての語りは心地よく響く。Alright、Alright、Alright。

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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