個人向け家計管理ツールの「マネーフォワード」や自動貯金アプリの「しらたま」などを提供するマネーフォワードは12月29日、ブロックチェーン技術や仮想通貨を活用した送金・決済領域の研究を目的とした「MF ブロックチェーン・仮想通貨ラボ」を設立したと発表した。
2012年に創業して以来、個人向けと企業向けにさまざまなタイプの金融サービスを提供してきたマネーフォワード。同社がこれまで注力してきたのは、“お金の見える化と経営の見える化“だった。そのうちに、マネーフォワードは「個人間および企業間の送金・決済領域において、既存の金融システムでは解決できない課題が存在している」ことに気づく。同社がその解決策として期待するのがブロックチェーン技術だ。
日本は全世界におけるビットコイン取引高の大部分を占めるなど、仮想通貨先進国として知られている。マネーフォワードは、「日本はFintechの市場規模では世界に遅れを取ってきたが、仮想通貨・ブロックチェーン分野では世界に先進できる可能性をもつ」と語る。
MF ブロックチェーン・仮想通貨ラボを設立することにより、マネーフォワードはブロックチェーン技術を活用した新サービスの開発に着手する。その具体的な内容はまだ分からないものの、同社から入手した資料によれば、個人間と企業間、そして国をまたぐ海外送金にかかる手数料を削減すること、そして、送金にかかるストレスを軽減することがこの新サービスの目標となるようだ。
研究開発の中心となるのは、2017年12月に執行役員と渉外・事業開発担当に就任した神田潤一氏、そして執行役員CTOの中出匠哉氏の2人だ。神田氏は日本銀行と金融庁を経てマネーフォワードに入社した人物。ブロックチェーン技術や仮想通貨の分野は規制がいまだ不十分という声も聞かれるなか、新サービス構築にあたって必要となるであろう各省庁との“会話”では神田氏がキーマンとなる。
同社は今回の研究機関設立にともない、ブロックチェーン技術に興味・関心をもつ人材の採用を進めるとともに、仮想通貨交換業者登録を検討するとしている。