メキシコとの国境の壁建設の寄附金をめぐる詐欺疑いでトランプ大統領元側近を逮捕

トランプ大統領の元首席戦略官の1人が逮捕された。8月20日に連邦検察が明らかにした容疑(連邦検察リリース)は、国境の壁建設のための資金調達に関係している。Steve Bannon(スティーブ・バノン)容疑者は起訴された4人のうちの1人だ。We Build the Wall(我々は壁を建設する)という運動での資金洗浄と詐欺の容疑がもたれている。

We Build the Wallは、米空軍の元軍人Brian Kolfage(ブライアン・コルフェージ)によって2018年にGoFundMeキャンペーンとして始まった。メキシコとの国境に壁を建設する費用を民間で賄おうという取り組みは、たちまちトランプ大統領の著名な盟友たちを引き寄せた。ここにはバノン容疑者、カンザス州務長官のKris Kobach(クリス・コバッハ)、ボストン・レッドソックス元投手のCurt Schilling(カート・シリング)、防衛関連事業の請負業者で教育長官Betsy DeVos(ベッツィー・デヴォス)の弟Erik Prince(エリック・プリンス)が含まれる。

GoFundMeキャンペーン

4人全員の名前が訴状にあるわけではないが、バノン容疑者とコルフェージ容疑者はいま、キャンペーンで集めた2500万ドル(約26億円)超がどうなったのか問われる事態に直面している。キャンペーンのウェブサイトとチーム紹介ページにはまだアクセスできる。

「被告人は国境の壁建設に関心を示して出資した多くの献金者を、全ての資金は壁建設に使われると言ってだました」とニューヨーク州南部地区の連邦検察検事Audrey Strauss(オードリー・ストラウス)氏は声明で述べた。

「キャンペーン開始者でWe Build the Wall代表のBrian Kolfageは1セントも受け取らないと献金者に繰り返し約束していた一方で、被告人たちは密かに何十万ドルという金をコルフェージに横流しし、そうした金はコルフェージが自身の贅沢な暮らしに使った」

訴状には、バノン容疑者と他のメンバーがWe Build the Wallキャンペーン活動は私益のためではないとしながら、どのように何十万ドルという金を搾取したのか詳細につづられている。コルフェージ容疑者は「給料として、あるいは報酬として1ペニーたりとも受け取らない」と繰り返し主張していた。

バノン容疑者はキャンペーンで集まった2500万ドルから100万ドル(約1億円)超を流用し、その多くを私用で使ったとされている。コルフェージ容疑者はキャンペーンで集まった資金から35万ドル(約3700万円)を個人の費用にあてた疑いがもたれている。両容疑者は非営利団体、ペーパーカンパニー、偽造の請求書、虚偽のベンダーとの取引を通じて支出を隠そうした。

時宜を得た試みとして、連邦検事のオフィスは主要捜査執行者として米郵便公社(USPS)の法執行部署である郵便検査局(USPIS)を指名した。

「この事件の捜査にUSPISが協力することを感謝する。我々はあらゆる詐欺の根絶と立件に引き続き注力する」

画像クレジット:Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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