モバイルファーストのゲームコミュニティプラットフォームを構築しているインドのスタートアップ、Turnip(ターニップ)は、インドと他の数十カ国での足跡を深め、製品提供の幅を広げるためにWeb3にも手を出すために、新たな資金調達ラウンドで1250万ドル(約14億3100万円)を調達した。
Greenoaks(グリーンオークス)とElevation Capital(エレベーション・キャピタル)は、この創業1年半のスタートアップのシリーズAラウンドを共同で主導した。SEA Capital(シー・キャピタル)、Vibe Capital(バイブ・キャピタル)、Andreessen Horowitz(アンドレセン・ホロウィッツ)のAndrew Chen(アンドリュー・チェン)氏、Udaan(ウダーン)のSujeet Kumar(スジート・クマール)氏、Razorpay(ラゾルパイ)のHarshil Mathur(ハーシル・マトゥール)氏とShashank Kumar(シャシャンク・クマール)氏、Unacademy(アンアカデミー)のGaurav Munjal(ガウラヴ・ムンジャール)氏とRoman Saini(ローマン・サイニ)氏、Groww(グロウ)のLalit Keshre(ラリット・ケシュレ)氏、Harsh Jain(ハーシュ・ジャイン)氏とIshan Bansal(イシャン・バンサル)氏、Notion(ノーション)のAkshay Kothari(アクシャイ・コタリ)氏など多数の起業家もこのラウンドに参加している。
ゲーマー向けには、TwitchやYouTubeなど、巨大なユーザー層への配信を支援するプラットフォームがいくつか存在する。「しかし、より深いエンゲージメントやマネタイズについては誰も解決していません」とTurnipの創業者であるPooja Dubey(プージャ・ドゥベー)氏はTechCrunchのインタビューで語っている。「我々は、これらの課題が他のカテゴリでは対処されているのを見てきましたが、ゲームというカテゴリにおいてはまだ、空白の状態です」。
Turnipは、ゲーマーがモバイル機器からゲームプレイをライブ配信し、ファンと関わり収益化できるアプリ上で、コミュニティを構築することができるようにすることでこれを解決しようと試みている。
ファンは、アプリ内でゲームプレイを視聴し、テキストチャットや音声、ビデオを通じて、ゲームをプレイしている人とリアルタイムで交流することができる。ゲーマーは、引き続きあらゆるプラットフォームで配信をすることができ、ゲームプレイをTurnipに統合することで、トップファンと交流することができる。また、アプリ上でeスポーツトーナメントやマスタークラスを開催し、視聴者と深く関わることも可能だ。
幅広いツールと統合を提供するこのプラットフォームは、低スペックのデバイスだけでなく、低速のインターネット接続にもサポートを拡張するように設計されているとのことだ。
ファンは、バッジやステッカーなどのアイテムの購入、特定のイベントにアクセスするための1回限りの支払い、定期的な支払い設定など、さまざまな方法でゲーマーにチップを渡すことができる。この支払いは「前払いでお願いするのではなく、より細かく、段階的に設定されます」と彼女はいう(AppleとGoogleが30%を徴収しているのに対し、Turnipは10%程度を手数料として徴収している。ドゥベー氏は、利用状況やゲーマーの収入に応じて、手数料を変更する可能性があると述べていた)。
ゲームは近年「Fortnite(フォートナイト)」や「PUBG(パブジー)」のようなインタラクティブなゲームの台頭と、友人同士がリアルタイムで会話しながらミッションをこなし、一般的には、たくさんのバーチャルキャラクターを倒すことができるようにする、高速データ通信が可能になったおかげで、ソーシャル体験になってきている。
SuperGaming(スーパーゲーミング)で長年業界アナリストを務め、コミュニケーションマネージャーを務めるRishi Alwani(リシ・アルワニ)氏は「デザインと開発の観点から、マルチプレイヤーゲームは、ボイスチャットのようなソーシャル機能に適しています。例えば、私たちのゲーム『Silly Royale(Sillyロワイヤル)』は、1300万ダウンロードを達成しました。ボイスチャットでは、1日に300万分のボイスを記録しました」と述べている。
「今日のストリーマーやクリエイターは、TwitchやYouTubeだけでは実現できないような、深い、パーソナライズされた、持続的な関係をファンと築きたいと考えています。Turnipは、受動的な視聴者を能動的に関わろうとするコミュニティへと変化させるプラットフォームを構築し、ファンを喜ばせるとともに、クリエイターにはサブスクリプション、イベント、スポンサーシップなど、新たな選択肢を提供しています」と同氏は述べている。
Turnipは500万人以上のユーザーを集めており、その45%はインド以外の国のユーザーだ。2021年、ユーザーは合わせて10億分以上をこのプラットフォームで過ごしたと、同社は述べている。
「インドから始めたのは、ただ私たちのホームグラウンドだったからです。しかし、私たちの頭の中には、ゲームというものは、地域を超えて広がっていくものだという思いが常にありました。現在では58カ国にユーザーがいます」とドゥベー氏はいう(Turnipの主な海外市場としては、ラテンアメリカ、中東、東南アジアなどが挙げられる)。
このスタートアップは2022年、ラテンアメリカ、中東、東南アジアなどの市場でさらに足跡を深めるために新たな資金を投入する予定だ。また、製品部門を含むいくつかの部門でチームを拡大することも視野に入れている。
Turnipが現在取り組んでいる製品の1つは、コミュニティ運営者がメンバーに報酬を与え、支払いを受け取れることを可能にするトークンである。また同社は、プラットフォーム上でのNFTのユースケースを模索しているという。
Elevation CapitalのパートナーであるMayank Khanduja(マヤンク・カンドゥーヤ)氏は声明の中で「私たちは、プージャ氏とAditya(アディティヤ)氏が築いているモバイルゲームコミュニティの未来を深く信じています」と述べている。彼は「初めて彼らに会ったとき、真にグローバルな製品を作るためのスキルと野心というユニークな組み合わせを持っていることがわかりました」と述べ、同ベンチャーファンドが、当時製品もないのに会って3日で創業者たちと最初のタームシートにサインしたことを付け加えた。
「この製品は、今日のデジタルクリエイターの大部分を占めるゲーマーを中心に据えており、彼らのコミュニティのためにまったく新しい体験を想像させるものです。この1年間におけるTurnipの目覚ましい成長とグローバルな展開により、彼らのビジョンに対する我々の信頼はさらに強固なものとなり、この最新の資金調達ラウンドにおいて我々のパートナーシップを再確認できることに感激しています」。と同氏は語った。
画像クレジット:Turnip
[原文へ]
(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)