【レビュー】「Elden Ring」で私はフロム・ソフトウェアの信者になった

「Elden Ring(エルデンリング)」は「Dark Soul(ダークソウル)」シリーズや「Bloodborne(ブラッドボーン)」などの大ヒット作に続く、FromSoftware(フロム・ソフトウェア)からの、過酷で神秘的な物語の最新作だ。こういうゲームをずっと好きでいたかったのだが、リリースをフォローしたり、精密なやり込み映像を見たり、複雑なレベルデザインに関する文書を読んだりしても、何かピンとこなかった。

試行錯誤が足りなかったわけではないが、荒涼とした美学と退屈なエリート主義コミュニティ(人気のビデオゲームシリーズを楽しむことは個性ではない!)そしてどちらかといえば決まりきったゲームプレイ体験が組み合わさって、私はうんざりしていた。そんな中「Elden Ring」は、そのユニークな放浪的探索と魅力的秘儀の融合によって、魅力的なものになるのではと期待していた。

今までのところ、それなりの期待には応えてもらっている。

編集部注:以下ゲームの最初の2~3ゾーンについて、細かいネタバレの可能性がある

数週間前に「Elden Ring」が発売されて以来、なだらかな丘や不気味な湿地帯をゆっくりと歩き、あちこちで物語を進めている。最初の数時間の段階ではその先ゲームを続けかどうか自信がなかったので、どのキャラクタークラス(素性)を選ぶか何時間も悩む代わりに、珍しくキャラクタークリエイターを使って、火術を好む厳しい尼僧のようなconfessor(密偵)に決めた。

40数時間経った今は、私は「Elden Ring」の隠された秘密を一気に暴きたいという猛烈な衝動を抑えつつ、このゲームの長くゆっくりとした旅を味わっている。すばらしい。

多様な遊び方

長年JRPG(日本製RPG)やMMO(大規模オンラインゲーム)をプレイしてきた私の好きなゲームは、広くてカラフルな環境のものが多い。実生活が十分に荒涼としているのに、同じように殺風景で色のない世界で長時間過ごすのはためらわれる。「Elden Ring」は、フロムの他のゲームのビジュアルスタイルを損なうことはなく、世界は辛さを感じるというよりも、美しく、広々として壮大であることが多い(まあ巨大アリはともかく、クソッタレのアリめ)。

ゲーム内には、カビ臭い中世のダンジョンや狭苦しい鉱山がそこここにあるが、いつでも外の世界に飛び出して、夕日を眺めることができる。広大なオープンワールドと、緊張感のある屋内パートが並存しているため、ゲーム内で屋内にいる時間が長いと少しイライラしがちな私のようなプレイヤーでも、屋内部分をこなしやすくなっている。屋内を倍増だって?……そいつはお断りだ!

「Elden Ring」をプレイしようと思いつつも躊躇している人、難易度が高いという評判を聞いて尻込みしている人は、難易度を軽減する方法がたくさんあることを知っておくと良いだろう。1つは、ひたすら小さな敵を倒してレベルを上げておけば、次に出会う竜手の怪物がもう少し扱いやすくなる。

また、壁にぶつかったときは、それまで振り回していた巨大な錆びた破壊道具で削るのではなく、魔法のビームをその場で使うプレイスタイルにも切り替えられる。またステルス、アーチェリー、敏捷性に特化したビルド、ステータス効果を与える武器、信仰などが、ドラゴンの呪文や治癒呪文、多くのクールなユーティリティ・オプションなどが使える従来の魔法と共存している。もし、すべて失敗しても、昔ながらの大きな剣と盾を手に入れて戦えば良い。

当初はあまり良いビルドではなかったが、プレイスタイルを考えるのはとても楽しいものだ。たとえその過程で何度も何度も踏みつけられ、突かれ、魔法で殺されることになろうとも。戦闘システムがとても奥深く、変化に富んでいるので、1つのことを極めるよりも、新しい武器を試し続けている。その過程そのものがゲームなのだ。

画像クレジット:Bandai Namco/FromSoftware

片手剣、信仰魔法、ダサい外見の鎧一式でゲームを開始した。何時間も経った今、私はX-MENのウルヴァリンのような、恐ろしい爪を光らせた宗教的な熱狂プレイをしている自分に気づいた。途中で、どんな状況でも誰にでもお勧めできる刀と、周りの敵を氷の結晶で凍らせることができる氷殻の斧を手に入れた。しかし、それはお楽しみのほんの入口だ。

ここ数年ハマっている「Monster Hunter(モンスターハンター)」シリーズと同じで、どの武器も持ち替えるとゲームの印象がガラリと変わる。とても楽しい!「Elden Ring」には、1つのゲームにいくつもの要素が含まれており、初めてフロム・ソフトウェアのタイトルに触れることを躊躇している人にとって、とても魅力的なものだ。このゲームとその悪名高い戦闘を楽しむには、この開発者の熱烈なファンである必要はない。特に実験的な試みをしてみたいという人にはお勧めだ。

個人的には、上達するためのゲーム時間が足りていない。上達はしたいが……人生は短いし、他にもいろいろなことに興味がある。幸いなことに、「Elden Ring」は私のような熟練していないプレイヤーのために、イージーモードをオンにするためのツールキットを提供してくれる。その中には、眠れるドラゴンを平然と殺すような、隠されたレベリングの抜け道のようなもの(ありがとうYouTube!ごめんねドラゴン!)から、AIを搭載したゴーストバディを召喚して助けてもらったり、正面から挑む代わりに範囲魔法で攻撃したり。

それらがすべて失敗しても、他の人間のプレイヤーを召喚することができる。あなたの自立についての厳しいレッスンを行うことにならなければ良いのだが。もちろん、いくら難易度ハックを駆使しても、このゲームが難しいことに変わりはなく、多くのカジュアルゲーマーにとって、このゲームをプレイする時間を捻出することは厳しい。まあ大丈夫!

画像クレジット:Bandai Namco/FromSoftware

とてもオープンな世界

「Elden Ring」は、第2の「Skyrim(スカイリム)」になれる条件をすべて備えた超巨大ゲームであり、その壮大で詳細な体験は、プレイヤーがこの先10年没頭し続けられるほどだ。「Elden Ring」は、普通に期待されるようなオープンなゲームでもあるが、それだけでは特別な存在にはならない。かつては目新しかったオープンワールドゲームも、共通の定石となり、Ubisoft(ユービーアイソフト)のような企業が、大規模で型にはまったゲームを次々に生み出すことができるようになっている。長年「Assassin Creed(アサシン クリード)」をプレイしてきた私にとって、こうしたゲームはジャージのようなものだ。頭を使わず、特に難しいことはないが、楽しくて快適な戦闘と、興味を保つのに十分な探索が可能だ。これに対して「Elden Ring」はまったく異なる体験を提供するが、どちらのタイプのゲームにも居場所がある。

お約束だが、オープンワールドゲームについて語るときは、広大で考え抜かれた世界の水準を高めた2017年のZelda(ゼルダ)のメガヒット作「Breath of the Wild(ブレス オブ ザ ワイルド)」に、少なくとも1パラグラフは捧げなければならない。そしてこれまたお約束だが、ゲーマーなら誰もが100時間以上かけてHyrule(ハイラル)を探索し、私がそうであったようにその1分1秒を楽しまなければならない。しかし、マップの隅々まで行ってみて、そびえ立つ山頂にワクワクするような秘密があるわけではない(ただのコログの実であることが多い)ことがわかると、「ブレス オブ ザ ワイルド」の魅力は少々損なわれていた。

画像クレジット:Bandai Namco/FromSoftware

世界が大規模で、インタラクティブで楽しい点は同じだが、「Elden Ring」のモンスターに満ちた世界の探索はまったく異なる体験だ。フロム・ソフトウェアは探索に多大な見返りを与える。奇妙なインタラクション、隠された財宝、秘密のゾーン、パワーアップ、完全にオプションのボス戦など、勇敢な探索者たちにすばらしいものを提供するのだ。フロム・ソフトウェアの人間味はここで存分に発揮され、散りばめられた小さな秘密は、たとえばUbisoftのようにTシャツキャノンでマップ上の目標を吹き飛ばすようなものではなく、その瞬間がどう展開するかを人間が正確にデザインしているように感じられるのだ。

40時間以上をかけた「Elden Ring」は、その真価を発揮し始めたところだ。マップはどんどん外に広がっていくのだが、調べたい奇妙な謎やレベル不足で潜入できなかったエリアなどを思い出してしまい、前進と同時に後退も繰り返している。開放的でセーブポイントも多いため、「Elden Ring」では、以前倒せなかったボスを倒したり、マップの最奥にある秘密を探ったりと、好きなことに時間を割くことができる。

あるいは、虹色の馬に乗って平原を走り、雲が美しくも不吉なシャーベットのように迫ってくる中で、太陽が地平線の下に沈んでいくのを眺めるかもしれない。スクールバスの大きさの火剣を持った機械の巨人に踏み潰されるかもしれないが、それもおもしろい。立ち戻って再挑戦するか、また別のことをやればよい。

関連記事:デモンズソウル:真の意味での次世代ゲームは偏向的だが印象的な要素満載

画像クレジット:From Software

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:sako)

Oculusで人気のVRオープンワールドRPG「A Township Tale」開発元のAltaがシード資金14.2億円調達

バーチャルリアリティ(VR)のメタバーススタジオであるAlta(アルタ)は、Makers Fund(メーカーズ・ファンド)とAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)が共同主導したシードラウンドで、1240万ドル(約14億2000万円)の資金を調達したことを、米国時間1月26日に発表した。他にもPioneer Fund(パイオニア・ファンド)、Boost VC(ブーストVC)、muru-D(ムルD)、Thomas Rice(トーマス・ライス)などの投資家が参加した。

この資金は、独自のコンテンツやIPのさらなる開発、チームの拡大、新しいプラットフォーム向けゲームの展開に使用する予定であると、Altaの共同創業者兼CEOであるTima Anoshechkin(ティマ・アノシェチキン)氏はTechCrunchに語った。今回の資金調達により、同スタートアップの企業価値は6200万ドル(約71億円)になるという。

アノシェチキン氏とJoel van de Vorstenbosch(ジョエル・ファン・デ・フォルステンボス)氏、Boramy Unn(ボラミー・ウン)氏によって2016年に設立され、現在はシドニーとサンフランシスコに拠点を置くスタートアップ企業は「A Township Tale」を制作するVRゲーム開発会社としてスタートしたと、アノシェチキン氏は語る。A Township Taleは、すべてのユーザーが自分独自の中世ファンタジー的な仮想世界を持ち、他のユーザーと共有できるVRオープンワールドRPGだ。

Altaは2021年半ばに、Oculus Quest 2(オキュラス・クエスト2)向けに最初のVRゲームを発売して人気を博した。発売後、このゲームはOculusのチャートで7週間以上にわたって1位を獲得し、同プラットフォームの歴史的なエンゲージメント指標を生み出したと、Altaは述べている。さらに、このスタートアップの収益は、開始当初から10倍になったと、アノシェチキン氏は収益の具体的な数字を示さずに語った。Altaには現在、約50万人のユーザーがいると、同氏は付け加えた。

「Altaは、人々を結びつける世界を創造するという1つの探求から始まりました」と、アノシェチキン氏は語る。「今回の資金調達は、主力ゲームの成長だけでなく、そのビジョンを拡大するために役立ちます。また、これによって私たちはチームを拡大し、協力し合える新たな機会やパートナーシップを作り、VRやその他のプラットフォームを問わず、世界クラスの技術を開発し続けることができます。いつ、どこでプレイしていても、私たちの体験は常に魅力的で、シームレスで楽しいものになるでしょう」。

アノシェチキン氏によれば、Altaの次の目標は、メタバースの要素を取り入れながら、複数のプラットフォームで仮想世界のネットワークを拡大・構築することだという。同社の技術が他の競合他社と異なる点は、プロシージャル生成に大きく依存していることだ。プロシージャル生成とは、コンピュータのアルゴリズムと人間が作成した素材データを組み合わせ、大量のコンテンツをシームレスに自動生成する方法で、これによって同社の仮想世界は構築されると、アノシェチキン氏は説明する。

Altaでは、早ければ年内にも新たな資金調達を行い、全世界で人員を増強することを計画していると、AltaのCOOであるAllison Howard(アリソン・ハワード)氏は述べている。同社は現在、オーストラリアと米国にオフィスを構えているが、近い将来に欧州とアジアのより多くの国に参入する計画を持っていると、ハワード氏は付け加えた。

ここ数年、VR技術のエコシステムは着実に成長してきた。消費者向けVR市場は、2020年の26億ドル(2980億円)から、2023年には50億ドル(約5730億円)以上に達すると予測されている。

「私たちは2年前から、深い没入感のある空間を構築して協力しながら探索するというAltaの魅力的なビジョンのファンであり、ティマと彼のチームが最初の大きなマイルストーンを達成したことに引き続き感銘を受けています。それは、洗練された高度にシステム化されている世界を創造し、それがまだ出来たばかりの段階から、コミュニティに愛されているということです」と、Altaの取締役会に参加することになったMakers Fundの創業パートナーであるJay Chi(ジェイ・チー)氏は語っている。

「このチームは、高い技術力と決断力を持ち、熱心なコミュニティが成長できるような魅力的な体験を構築することに情熱を注いでいます。これは、ゲームとソーシャルプラットフォームがますます交差するという我々の確信と完全に一致しています。特にこの2年間で、VRの普及とともにメタバースの成長を目の当たりにしてきた私たちは、このコミュニティに貢献し、成長し続けるAltaとパートナーを組めることに興奮しています」と、a16zのパートナーであるAndrew Chen(アンドリュー・チェン)氏は述べている。

画像クレジット:Alta

原文へ

(文:Kate Park、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ネットフリックスの加入者数の伸びは2015年以来の低水準

2021年に「イカゲーム」のような世界的なヒット作を生み出したにもかかわらず、Netflix(ネットフリックス)の第4四半期の収益は、競合他社に対するリードを維持に苦労していることを示している。今四半期の新規加入者数(830万人)は同社の予測(850万人)を下回った。また、2022年第1四半期の加入者数は、2021年の400万人からわずか250万人に減少すると予測しされている(同社によれば、今四半期は「後半になって盛り上がるコンテンツが増えたからだ」からだという)。全体的に見て、2022年は加入者数の増加率が減少傾向にあるが、2015年以降で最も低い増加率となり、パンデミックで急成長した2020年の数字からは約半減している。

画像クレジット:Netflix

同社は株主への書面に「消費者はエンターテインメントに使う時間にいつでも多くの選択肢を持っていました。世界のエンターテインメント企業が独自のストリーミングサービスを開発しているために、ここ24カ月の競争は激化の一途をたどっています」と書き「この競争が(同社の)芳しくない成長に影響を与えているかもしれない」ことを認めた。

Netflixの総加入者数は約2億2200万人だが、(HuluやESPNも所有している)ディズニーのような大規模なコングロマリットは、より積極的なペースで拡大を続けている。ディズニーは2021年末に、Hulu、Disney+(ディズニープラス)、ESPN+の合計加入者数が1億7900万人となり、2023年度までにはDisney+が利用できる国の数を倍増させる予定だ。ディズニーはまた、消費者直販のストリーミングを国際的に展開するために、 International Content and Operations (インターナショナル・コンテンツ&オペレーション)グループの設立を発表した。HBO Max(HBOマックス)も伸びている。同社によると、2020年5月のサービス開始以来、2021年12月が最も視聴された月だったという。

関連記事:ディズニーが動画配信事業を再編、国際的戦略のハブとなる新グループを設立

Netflixは先週、米国とカナダでの利用料金を引き上げることを発表したが、一方で巨大なエンターテインメント市場で6年間にわたり低迷していたインドでは、利用者を増やすために、利用料金を引き下げた。Netflixは、もう1つの新しい収益源であるゲームにも挑戦している。同社は最近、ゲームスタジオNight School(ナイト・スクール)を買収し、大ヒット番組である「Stranger Things(ストレンジャー・シングス 未知の世界)」のような自社IPをベースにしたゲームを開発している。今週の最大のテック記事が物語るものは、ゲームは非常に儲かるということだ。予想どおり、Netflixは2022年にゲームのポートフォリオを拡大すると言っている。

関連記事:マイクロソフト、7.8兆円でゲーム大手Activision Blizzardを買収へ

Netflixが会員を拡大するためのもう1つの新しい戦略は、コンテンツマーケティングだ。同社は2021年12月にTudum(トゥダム)という名のウェブサイトを立ち上げ、Netflixオリジナル作品に関する独占コンテンツを共有するために、Allure(アルーア)、Vanity Fair(バニティ・フェア)、Bitch Media(ビッチ・メディア)などのエンターテインメントジャーナリストや編集者を採用している。

画像クレジット:Chesnot/Getty Images

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:sako)

モバイルファーストのゲームコミュニティプラットフォーム印Turnipが約14.3億円を調達

モバイルファーストのゲームコミュニティプラットフォームを構築しているインドのスタートアップ、Turnip(ターニップ)は、インドと他の数十カ国での足跡を深め、製品提供の幅を広げるためにWeb3にも手を出すために、新たな資金調達ラウンドで1250万ドル(約14億3100万円)を調達した。

Greenoaks(グリーンオークス)とElevation Capital(エレベーション・キャピタル)は、この創業1年半のスタートアップのシリーズAラウンドを共同で主導した。SEA Capital(シー・キャピタル)、Vibe Capital(バイブ・キャピタル)、Andreessen Horowitz(アンドレセン・ホロウィッツ)のAndrew Chen(アンドリュー・チェン)氏、Udaan(ウダーン)のSujeet Kumar(スジート・クマール)氏、Razorpay(ラゾルパイ)のHarshil Mathur(ハーシル・マトゥール)氏とShashank Kumar(シャシャンク・クマール)氏、Unacademy(アンアカデミー)のGaurav Munjal(ガウラヴ・ムンジャール)氏とRoman Saini(ローマン・サイニ)氏、Groww(グロウ)のLalit Keshre(ラリット・ケシュレ)氏、Harsh Jain(ハーシュ・ジャイン)氏とIshan Bansal(イシャン・バンサル)氏、Notion(ノーション)のAkshay Kothari(アクシャイ・コタリ)氏など多数の起業家もこのラウンドに参加している。

ゲーマー向けには、TwitchやYouTubeなど、巨大なユーザー層への配信を支援するプラットフォームがいくつか存在する。「しかし、より深いエンゲージメントやマネタイズについては誰も解決していません」とTurnipの創業者であるPooja Dubey(プージャ・ドゥベー)氏はTechCrunchのインタビューで語っている。「我々は、これらの課題が他のカテゴリでは対処されているのを見てきましたが、ゲームというカテゴリにおいてはまだ、空白の状態です」。

Turnipは、ゲーマーがモバイル機器からゲームプレイをライブ配信し、ファンと関わり収益化できるアプリ上で、コミュニティを構築することができるようにすることでこれを解決しようと試みている。

ファンは、アプリ内でゲームプレイを視聴し、テキストチャットや音声、ビデオを通じて、ゲームをプレイしている人とリアルタイムで交流することができる。ゲーマーは、引き続きあらゆるプラットフォームで配信をすることができ、ゲームプレイをTurnipに統合することで、トップファンと交流することができる。また、アプリ上でeスポーツトーナメントやマスタークラスを開催し、視聴者と深く関わることも可能だ。

幅広いツールと統合を提供するこのプラットフォームは、低スペックのデバイスだけでなく、低速のインターネット接続にもサポートを拡張するように設計されているとのことだ。

ファンは、バッジやステッカーなどのアイテムの購入、特定のイベントにアクセスするための1回限りの支払い、定期的な支払い設定など、さまざまな方法でゲーマーにチップを渡すことができる。この支払いは「前払いでお願いするのではなく、より細かく、段階的に設定されます」と彼女はいう(AppleとGoogleが30%を徴収しているのに対し、Turnipは10%程度を手数料として徴収している。ドゥベー氏は、利用状況やゲーマーの収入に応じて、手数料を変更する可能性があると述べていた)。

ゲームは近年「Fortnite(フォートナイト)」や「PUBG(パブジー)」のようなインタラクティブなゲームの台頭と、友人同士がリアルタイムで会話しながらミッションをこなし、一般的には、たくさんのバーチャルキャラクターを倒すことができるようにする、高速データ通信が可能になったおかげで、ソーシャル体験になってきている。

SuperGaming(スーパーゲーミング)で長年業界アナリストを務め、コミュニケーションマネージャーを務めるRishi Alwani(リシ・アルワニ)氏は「デザインと開発の観点から、マルチプレイヤーゲームは、ボイスチャットのようなソーシャル機能に適しています。例えば、私たちのゲーム『Silly Royale(Sillyロワイヤル)』は、1300万ダウンロードを達成しました。ボイスチャットでは、1日に300万分のボイスを記録しました」と述べている。

「今日のストリーマーやクリエイターは、TwitchやYouTubeだけでは実現できないような、深い、パーソナライズされた、持続的な関係をファンと築きたいと考えています。Turnipは、受動的な視聴者を能動的に関わろうとするコミュニティへと変化させるプラットフォームを構築し、ファンを喜ばせるとともに、クリエイターにはサブスクリプション、イベント、スポンサーシップなど、新たな選択肢を提供しています」と同氏は述べている。

Turnipは500万人以上のユーザーを集めており、その45%はインド以外の国のユーザーだ。2021年、ユーザーは合わせて10億分以上をこのプラットフォームで過ごしたと、同社は述べている。

「インドから始めたのは、ただ私たちのホームグラウンドだったからです。しかし、私たちの頭の中には、ゲームというものは、地域を超えて広がっていくものだという思いが常にありました。現在では58カ国にユーザーがいます」とドゥベー氏はいう(Turnipの主な海外市場としては、ラテンアメリカ、中東、東南アジアなどが挙げられる)。

このスタートアップは2022年、ラテンアメリカ、中東、東南アジアなどの市場でさらに足跡を深めるために新たな資金を投入する予定だ。また、製品部門を含むいくつかの部門でチームを拡大することも視野に入れている。

Turnipが現在取り組んでいる製品の1つは、コミュニティ運営者がメンバーに報酬を与え、支払いを受け取れることを可能にするトークンである。また同社は、プラットフォーム上でのNFTのユースケースを模索しているという。

Elevation CapitalのパートナーであるMayank Khanduja(マヤンク・カンドゥーヤ)氏は声明の中で「私たちは、プージャ氏とAditya(アディティヤ)氏が築いているモバイルゲームコミュニティの未来を深く信じています」と述べている。彼は「初めて彼らに会ったとき、真にグローバルな製品を作るためのスキルと野心というユニークな組み合わせを持っていることがわかりました」と述べ、同ベンチャーファンドが、当時製品もないのに会って3日で創業者たちと最初のタームシートにサインしたことを付け加えた。

「この製品は、今日のデジタルクリエイターの大部分を占めるゲーマーを中心に据えており、彼らのコミュニティのためにまったく新しい体験を想像させるものです。この1年間におけるTurnipの目覚ましい成長とグローバルな展開により、彼らのビジョンに対する我々の信頼はさらに強固なものとなり、この最新の資金調達ラウンドにおいて我々のパートナーシップを再確認できることに感激しています」。と同氏は語った。

画像クレジット:Turnip

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

【コラム】完全なソーシャルメタバース体験は「音声」の要素が揃うことで実現する

Facebook(フェイスブック)の社名がMeta(メタ)に変更されたことで触発された「メタバース」にまつわる会話の多くは、ビジュアル的な要素に焦点を当てている。ほとんど言及されていないのは、オーディオだ。しかし仮想環境を現実のものにするには、音声は間違いなく重要になる。

時には、それがすべての場合もある。

Spike Jonze(スパイク・ジョーンズ)に尋ねてみよう。この映画監督は、2013年の映画「Her(her/世界で1つの彼女)」のタイトルロールで、その声を演じていた当初の女優を降板させ、Scarlett Johansson(スカーレット・ヨハンソン)の官能的な音声に置き換えた。コンピューターオペレーティングシステムであるサマンサは生身の人間として登場することはなかったが、ジョーンズは、元の女優が三次元のペルソナを作るのに必要な感情をうまく表現できていないと感じたのだ。

視聴者をストーリーの前提に引き込み、十分真実味のあるストーリーに仕立ててくれる、洗練されたキャラクターを作るのに、音声は不可欠な要素であった。

The Washington Post(ワシントン・ポスト)が指摘しているように、Metaのメタバース構想の要となるものは、その多くがビデオゲームの世界に、ただし分断されたゲームの世界に限られるが、すでに存在している。ゲームの世界では、音声がますます重要な役割を果たしている。Metaは、統合された相互運用可能な体験を約束しているが、高度にテクスチャ化された、生き生きとしたデジタル音声が豊富に含まれていなければ、メタバースは包括的で没入的というよりは不完全なものになるだろう。

1970年代半ばのMcGurk Effect(マガーク効果)の研究では、聴覚と視覚の認識の不一致から生じる認知的不協和が観察された。アバターと十分に合致しない音声は、参加者を仮想環境から切り離す可能性がある。

本当の自分を表現する

人間は社会的存在であり、現在推進されているメタバースは、参加者が家庭と職場の両方で独特のペルソナを作り出す社会的環境である。アバターを使えば、プレイヤーは自分が見られたいように自分を表現することができる。人間、宇宙人、動物、野菜、漫画やその他無数の選択肢があるだろう。プレイヤーは新たな装いを試すように、一時的に新しい「ルックス」を試用できる。ジェンダーと種は流動的である。

しかし、視覚的な存在感に合わせて自分の声の聞こえ方を変えることができなければ、アイデンティティの変化は妨げられる。自分の声を他の人に提示するペルソナに合わせることは、パーソナライズされたプレイヤーアイデンティティの中核的要素である。この状況はすでに多くの人がビデオゲームで慣れているものだ。

プレイ中のゲームで、あごひげをはやした無骨で巨大な騎士に遭遇した場合、そのキャラクターは深く荒々しい声をし、甲冑を身にまとっていることが予想される。ゲーム会社は、ノンプレイヤーキャラクター(NPC)を声優とオーディオの専門家が入念に制作し、没入感のある体験を提供することで、こうしたイメージの伝達を確保している。

しかしオンラインゲーム環境や将来のメタバースでは、その騎士は実在する人物が表現するものとなり、体験は大きく異なってくる。予想されるような太くしゃがれた成熟味ある声ではなく、マイク品質に問題のある甲高いティーンエイジャーの声を聞いて、困惑することもあるかもしれない。音と視覚の間の極端な不一致は、体験の没入的な質を損なう。メタバースアバターに十分な没入感を持たせるには、人々が完全なデジタル体験を作り出せるよう配慮する必要がある。

カバーの提供

ソニック(音響の)アイデンティティの技術は、没入感の提供に加えて、プレイヤーに「真の」匿名性をもたらし得る。彼らは、他人に見てもらいたいと思うような人物(または存在)になることができる。これは多くの人にとって、時には敵対的なオンライン環境からの強力な保護となるだろう。地理的な特徴をわからないようにして、参加者がプレイヤーコミュニティをよりスムーズに統合できるようにすることも考えられる(オフショアのカスタマーサポートコールセンターが恩恵を受ける可能性のあるケイパビリティだ)。音声チックを有する人にとっては、明らかにしたくない身体障害を覆うことにもつながる。

音声変更技術は、オンラインでの差別や嫌がらせを緩和するのにも役立つ。医学専門誌「International Journal of Mental Health and Addiction(メンタルヘルスと中毒に関する国際ジャーナル)」に2019年に掲載された研究によると、女性ゲーマーは他のプレイヤーとの口頭でのコミュニケーションを避け、不快なやり取りを減らすことが多いという。音声変更技術により、特定のジェンダーに関係なく、完全に匿名性が確保された会話に参加することが可能になり、自分自身をより快適に表現できるようになる。

学術誌「Human-Computer Interactions(ヒューマンコンピュータインタラクション)」の研究者らは2014年に「音声はオンラインゲームの体験を根本的に変え、仮想空間をより強力に社会性のあるものにしている」と結論づけている。

筆者自身の会社のデータからは、音声でコミュニケーションを取るプレイヤーは、よりゲームに没頭するように感じる自意識に変容し、より長い時間ゲームに関わり、結果としてゲーム内でより多くのお金を投じるようになることが明らかになっている。

メタバースに欠けているもの

真に完全な没入型体験を実現するには、3Dビジュアルとリアルタイムオーディオを組み合わせて、人々が自分自身の表現を行う上で、耳を傾けてもらいたいという彼らの思いに添う形で実現できるようにする必要がある。参加者は、自分の視覚的アバターと同じくらい独創的で独自性のある自分自身の音響表現を望んでいる。そして、自分の声を外見と同じようにきめ細かくカスタマイズするツールを求めている。プレイヤーの没入感とエンゲージメントを維持するには、拡張されたオーディオと3Dビデオの両方が調和している必要がある。

リアルタイムオーディオは、人々がどのようにして究極の個性をコンテンツにもたらすことができるかを定義し、オーディオをメタバースのすばらしいイコライザーとして機能させる。残念なことに、現在の音声体験は、すべてを網羅するメタバースの約束に沿った没入的な品質を提供することが難しくなっている。

熱心なアーリーアダプターたちの実験にもかかわらず、リアルタイムオーディオのペルソナは、良くても制限的だ。人の音声をデジタルの自己に合わせるためのツールは限られており、音質は視覚的な品質にまだ及ばない。

だが、利用可能なオーディオ技術における最近の進歩は、プレイヤーによる独自のソニックアイデンティティ形成を現状よりはるかに容易なものへと変えようとしている。プラットフォーム開発者やゲーム開発者が利用できる新しいソリューションにより、ライターやプロデューサー、オーディオエンジニアは、ゲーム内に音声修正技術を組み込んで、自然に聞こえるファンタジー音声をオンデマンドかつリアルタイムで生成できるようになっている。

このことは、プレイヤーを魅了して完全にフォーカスさせ、離れさせることなくその体験へのエンゲージメントを維持するような、包括的で没入的な聴覚体験の提供を通して、収益化のための新しい道を生み出す可能性へとつながっていく。

企業は、人々がデジタル空間で自分自身の視覚表現を形作ることを可能にする、強力なツールへの投資を進めている。こうした企業は、デジタル表現がシームレスになるソーシャルオーディオ体験に合わせてカスタマイズされた、ソニックアイデンティティを見過ごしてはならない。

メタバースはそれなしでは完成しないだろう。

編集部注:本稿の執筆者Jaime Bosch(ハイメ・ボッシュ)氏はVoicemodの共同創設者兼CEO。

画像クレジット:luza studios / Getty Images

原文へ

(文:Jaime Bosch、翻訳:Dragonfly)

eスポーツ用トレーニングプラットフォームで高校のゲームリーグとの連携を開始したGwoopが約2億円を調達

2021年のはじめ、私はGwoop(グウープ)について書いた。ユーザーのビデオゲーム全般でのプレイ上達を目指したブラウザベースのゲームを開発しているミネソタ州のチームだ。彼らのゲームは、反応の速さ、マウスの正確さ、ランダムに配置されたターゲットを狙う速さなどを測定し、それらの統計情報をダッシュボードに表示して、時間の経過とともにどのように上達しているか(願わくば)を示してくれる。

前回、Gwoopの共同設立者であるGavin Lee(ギャビン・リー)氏と話をしたとき、彼はすでに、増え続ける高校のeスポーツチームのための分析・トレーニングツールになることを見据えていた。ますます多くの学校がeスポーツに真剣に取り組み始めている。他の種類のコーチと同様に、eスポーツのコーチも、誰が何を得意としているのかを確認したり、選手の成長を長期的に追跡したり、選手にウォーミングアップのための訓練させたりする方法を必要としているのだ。

Gwoopはすでにその面で確かな成果を上げているようだ。リー氏によると、Gwoopは現在「40州の約1000の学校プログラム」と連携しているという。このたび、その活動を継続するために、185万ドル(約2億1000万円)のシードラウンドを獲得した。

Gwoopのプラットフォームは現在、そしてこれからも、個人のプレイヤーは無料で利用することができる。これは、リー氏が重要だと考えていることだ。では、どうやって収益を上げるのだろうか?

画像クレジット:Gwoop

同社はここ数カ月「Gwoop Teams」機能を開発してきた。その名の通り、グループでのトレーニング用に開発されたものだ。Teamsを利用することで、コーチは、トレーニングの計画を立てたり、選手が練習しているかどうかを確認したり、各選手がどのように成長しているかを確認することができるようになる。

Teamsの基本バージョンは無料で、最大30人の選手と2つの「パーティ」に対応している。1つのパーティには「Rocket League(ロケットリーグ)」の選手、もう1つのパーティには「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)」の選手、「Fortnite(フォートナイト)」の選手など、グループ化することができる。それ以上の人数を必要とするコーチには、Gwoopsの「Team Plus」を利用することで、人員リストを150人まで増やし、コーチが監督できるパーティの数を増やすことができる。リー氏によると「Teams Plus」の料金は年間350ドル(約3万9800円)程度だそうだ。

また、初期段階ではあるが、機械学習を利用して、プレイヤー(およびそのコーチ)が、既存のスキルや他の対戦ゲームでのランクに基づいて、得意なゲームを特定できるようにすることも検討しているとリー氏は話している。

今回のラウンドでは、モントリオールのAngels of Many(エンジェルズ・オブ・メニー)、Klein Investments(クライン・インベストメンツ)、および多くのエンジェル投資家が支援してくれたとリー氏は話してくれた。

画像クレジット:Gwoop

原文へ

(文:Greg Kumparak、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Unityがクロスプラットフォーム・マルチプレイヤーゲーム開発をシンプルにする「Unity Gaming Services」ベータ提供開始

モバイル、タブレット、PC、コンソール、AR・VRデバイス向けに2Dおよび3Dコンテンツを開発するプラットフォームであるUnityは、バックエンド、マネタイズ、ユーザー獲得、プレイヤーエンゲージメントなど、ゲームクリエイターが必要とするすべての機能を提供する新しいプラットフォーム「Unity Gaming Services」ベータ版の提供を開始した。この新バージョンでは、「Roblox(ロブロックス)」「Genshin Impact(原神)」「Fortnite(フォートナイト)」などのヒットタイトルを含む成長分野である、クロスプラットフォームのマルチプレイヤーゲームを、開発者がより簡単にローンチできるようにすると同社は約束している。

新しいプラットフォームは全世界で利用可能で、100社以上の開発者がこのプラットフォームを利用していると、Unityのオペレートソリューション担当上級副社長兼ゼネラルマネージャーのIngrid Lestiyo(イングリッド・レスティヨ)氏はTechCrunchに語った。

新しいツールには、プラットフォームのリリースプロセスを経ることなく、ゲームロジックをUnityのバックエンドサービスと同期させることができるなど、あらゆる規模のライブゲームを構築するために開発者が必要とするものが含まれている。提供されるツールの中には、プレイヤーの接続、ロビーの作成、オンラインプレイヤーのマッチング、ゲーム内でのボイスやチャットの有効化など、マルチプレイヤーゲームプレイを可能にするものが含まれている。

「これはシンプルです。当社のソリューションは、クロスプラットフォームのマルチプレイヤーゲームを作る最速の方法であり、マルチプレイヤーゲームをライブ配信するには、Unityエディタを使ってクリックするだけです」とレスティヨ氏はTechCrunchに語った。「また、どんな規模のチームでも、ニーズに合わせて製品を簡単に組み合わせ使用することができます。当社の製品は相互運用が可能なので、開発者とプレイヤーの両方にとってより良い体験となるでしょう」。

また、開発者は、ゲームのパフォーマンスの概要を把握し、実用的なインサイトを1カ所で確認できるようになる。また、アプリ内課金や広告、ユーザー獲得に役立つツールを使って、ゲームの収益化と成長を図ることができる。

レスティヨ氏はこう語った。「どんなに複雑なツールやコンテンツであっても、ゲームのパフォーマンスを単一の接続されたインターフェイスでモニターできるようになりました」。

Unity Game Servicesは、ベータ期間中はすべての開発者に無料で公開されており、開発者はスケールアップした場合のみ料金を支払う。Android、iOS、Linux、Mac、Windowsに対応している。コンソールサポートは今のところ招待制となっているが、近日中に利用可能になる予定だとレスティヨ氏は述べている。

レスティヨ氏はパートナーシップの可能性については現段階ではコメントを控えたが、あらゆる規模のチームやスタジオに新しいUnity Gaming Servicesプラットフォームを試してもらいたいと語った。

同氏はこうも述べている。「当社のミッションは、デベロッパーの成功を支援することです。今日、開発者は、クロスプラットフォームのマルチプレイヤーゲームに対するプレイヤーの需要の高まりを満たす必要があると同時に、膨大なクラウドネットワーキングの専門知識を必要とし、ゲームデザインそのものをはるかに超える技術的および運用上の課題を提示する、ますます複雑な新しいリアリティーを管理しています。そのようなクロスプラットフォーム・マルチプレイヤーゲームに関するニーズが高まっている中、Unity Gaming Serviceは、開発者がより多くのマルチプレイヤーゲームをローンチするための参入障壁を軽減し、業界の規模とプレイできるタイトル数を拡大します」。

Unityは、2021年6月時点で34億人以上の月間アクティブユーザー(MAU)がいると主張している。

画像クレジット:Unity

原文へ

(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

Robloxが今後の計画を発表、アバターの改良やNFTのような限定アイテム販売などを予定

Roblox(ロブロックス)は、米国時間10月14日に開催された年次開発者会議で、子どもや若者に人気の高い急成長しているオンライン・マルチプレイヤー・ポータルの今後について展望を示した。

基調講演では、Robloxの共同設立者兼CEOであるDavid Baszucki(デイビット・バシュッキ)氏が、計画の概要を説明した。それによると同社は、プレイヤーのアバターを磨き上げ、ゲーム内における新たな収益化の流れを導入し、ゲームとソーシャルネットワーキングの交差点で同社を大きな成功に導いた、ユーザー生成コンテンツを創造している開発者の体験を能率化させていくという。

関連記事:ゲーミングプラットフォームのRobloxが約3.7兆円の評価額7倍で資金調達、直接上場に向けて準備

Robloxは、ブロック状の比較的素朴なキャラクターモデルとゲームグラフィックスで知られているが、そのスタイルが同社の爆発的な成長を妨げることはなかった。しかし、Robloxはプレイヤーのアバターを、よりリアルでカスタマイズ可能なものにしようとしている。これは、若いコアユーザーが年齢を重ねても魅力的なプラットフォームを維持し、仮想世界に作られた無限の拠点の中で、さまざまな形の自己表現を可能にするという、同社の目標に合致した選択である。

「Robloxには際限がないことを、人々は理解すると思います」と、Robloxの最高製品責任者を務めるManuel Bronstein(マニュエル・ブロンスタイン)氏は、TechCrunchに語った。

同日、Robloxはこの方向性に沿ったいくつかの重要な変更を発表した。1つ目はLayered Clothing Studio(レイヤード・クロージング・スタジオ)と呼ばれるもので、これはアバターの衣装をよりリアルでダイナミックなものにするビジュアル・アップデートだ。これによって、例えばあなたが気に入ったRobloxのバーチャルなジーンズ・ジャケットを、あなたのキャラクター・モデルが人型であっても、恐竜であっても、体型に合った姿で着ることができる。これらの衣服は、より写実的なゲームで見られるように、キャラクターの身体にぴったりとフィットし、自然なドレープを描く。

この新たに発表されたRobloxのアバター・アップデートは、現在のRobloxの象徴ともいえるレゴのようなブロック状の外見に、より多くのカスタマイズ性とリアリティを注入することを目的としている。ブロンスタイン氏は、今回の変更を、Robloxのソーシャル体験で中核をなすアバターの「莫大な進化」と表現している。「自己同一性はメタバースの重要な柱であり、自分のユニークなアバターに合わせて衣服をきちんとカスタマイズできることは、個人の表現において最も重要な能力です」と、バシュッキ氏は基調講演で語った。

ゲーム内アイテムを販売するビジネスが活況であることを考えると、Robloxには、バーチャルなファッションシーンを、より洗練された実在感のあるものにするための経済的な動機がたっぷりとある。Epic Games(エピック・ゲームズ)のような、競合他社に遅れを取るわけにもいかない。Epic Gamesは「Fortnite(フォートナイト)」のキャラクターデザインと、1件で5000万ドル(約57億円)もの収益を上げることができるブランドパートナーシップの両面で、業界をリードする存在だ。Robloxは独自のブランドとIP(知的財産)との提携を持っているが、さらに見た目に魅力的なバーチャルグッズの販売を広く手がけるようになれば、その旨味はどんどん増すだろう。

画像クレジット:Roblox

さらなるリアルさを目指して、Robloxは開発者に「Dynamic Heads(ダイナミック・ヘッズ)」と呼ばれる機能のベータ版の提供も開始した。これはアバターの顔がアニメーションするというもので、フェイシャルトラッキングと組み合わせて、キャラクターモデルの口が言葉に合わせて動くようにすることもできる。これには、Robloxが2020年末に買収したデジタルアバターのスタートアップ企業「Loom.ai(ルーム・ドット・エーアイ)」の技術が活用されている。同社はまず、プラットフォームのルーツを思わせるブロックのような頭のデザインをいくつか用意した。開発者はこれらを使って、新しいフェイシャル・アニメーションを試すことができるようになる。最初はユーザーに提供せず、まず導入の第一段階として開発者の手に渡ることを、Robloxは望んでいる。

関連記事
ゲーミングプラットフォームのRobloxがデジタルアバター作成のLoom.aiを買収
Robloxに仮想世界が今本当に必要する「ボイスチャット」機能が登場予定

Robloxは、2021年9月に発表したボイスチャットの大規模な展開を続けており、これまでテキストチャット中心だった体験を、より自然で没入感のあるインタラクションへと急速に移行させようとしている。また、同社は今回、13歳以上の全ユーザーが年齢認証を選択できるようになったことも発表した。この審査過程をパスすることによって、一部のユーザーは導入予定の新機能にいち早くアクセスできるようになる。認証されたユーザーは、Robloxの新しいボイスチャット機能を「2021年の秋の終わり頃から」利用できるようになるという。

アバター体験の向上に加えて、Robloxは限定アイテムを導入する計画も発表した。これは、にぎやかなゲーム内経済からお金を稼ぐ(現実のお金と交換できるRobuxという形で)ための興味深い新たな方法だ。Robloxのクリエイターは、自分がデザインしたアイテムを限定数または期間限定で販売することができる。ゲーム内で確立された仮想経済に、コレクションする楽しみという要素を取り入れるわけだ。クリエイターは、Robloxのゲーム内アイテムをいくつかのNFTと共有し、ロイヤリティを有効にすることで、そこでの販売から収益を得ることもできる。「最終的には、アイテムの再販に関するルールを、ユーザーが設定できるようにするという発想です」と、ブロンスタイン氏はNFTとの関連性について、TechCrunchに語った。

開発者はまた、RobloxがOpen Cloud(オープン・クラウド)と呼ぶ新しいシステムを通じて、そのプラットフォーム用のコンテンツをより柔軟に作成できるようにもなる。Open Cloudでは、開発者はRoblox自身の開発環境であるRoblox Studio(ロブロックス・スタジオ)に制限されることなく、サードパーティ製ツールでコンテンツを作成し、それをRobloxにプラグインすることができる。

同社はクラウド化を推進しており、Robloxのコンテンツ制作者に、より多くのデータ・ストレージを提供し、このプラットフォームを、開発者にとって全般に魅力的で汎用性の高い場所にしようとしている。Robloxはまた、よりリアルな衝突物理学やパラシュートが展開するようなビジュアルを表現できる空気力学など、開発者がすぐに遊び始めることができるグラフィックスの強化も発表した。

2021年には、Robloxはそのユーザー生成ゲームの世界でコンテンツを作成した開発者に、総額5億ドル(約570億円)を支払うことになる見込みだ。3年前の7000万ドル(80億円)と比べると、どれほど大きく成長しているかがわかるだろう。

「私たちは、このメタバースが完全にユーザーによって生成されるものになると確信しています」と、ブロンスタイン氏はいう。「そして、誰もがクリエイターになれるようにすることで、より没入感が増した、多くの種類(の体験)をプラットフォーム上で得ることができるようになると、私たちは考えています」。

画像クレジット:Roblox

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Netflixのゲームスタジオ初買収は青春ミステリーADV「Oxenfree」で知られるNight School Studio

Oxenfree」などのストーリー重視のタイトルで知られるインディーゲームスタジオNight School Studioは、米国時間9月28日、Netflix(ネットフリックス)に買収されたことを発表した。これにより同社は、Netflixが買収した最初のゲームスタジオとなった。

Netflixゲーム開発担当副社長のMike Verdu(マイク・ヴェルドゥ)氏は声明の中で、Night Schoolの「卓越した芸術性へのこだわりと確かな実績は、我々がNetflixのゲームの創造性とライブラリをともに構築していく上で、かけがえのないパートナーとなります」と述べている。さらに同氏は、Netflixは、メンバーシップに含まれており広告やアプリ内課金のない「あらゆるゲーマーとあらゆるレベルのプレイに対応した独占ゲーム」を提供していく予定だと述べた。

Night School Studioは、Disney Interactive(ディズニー・インタラクティブ)でシニアゲームデザイナーを務めていたSean Krankel(ショーン・クランケル)氏と、Telltale Gamesでリードライターを務めていたAdam Hines(アダム・ハインズ)氏によって2014年に設立された(Telltale GamesはNetflixのパートナーとして「Minecraft:Storymode(マインクラフト:ストーリーモード)」などのインタラクティブな番組を手がけていたが、閉鎖された)。

クランケル氏は、Night Schoolのサイトに掲載された声明の中でこう述べている。「Netflixは、映画やテレビ、そして今ではゲームメーカーに、優れたエンターテインメントを制作して何百万人もの人々に届けるための前例のないキャンバスを与えてくれます。我々のストーリー性の高いゲームプレイの探求と、多様なストーリーテラーをサポートしてきたNetflixの実績は、とても自然な組み合わせでした」。

クランケル氏はOxenfreeや他のNight Schoolタイトルのファンに対して、同スタジオはOxenfree IIの開発と「新しいゲームの世界を作り出す」ことを継続していく、と言って安心させた。

「Netflixのチームは、我々のスタジオ文化とクリエイティブなビジョンを守るために最大限の配慮をしてくれました」と彼は記している。

関連記事
Netflixがポーランド、イタリア、スペインにて会員限定でモバイルゲーム3作品を新たに提供
Netflixが会員向けにモバイルゲームのテストを開始、まずはポーランドで

今回の買収のニュースは、Netflixがポーランド、イタリア、スペインで新たに3つのカジュアルモバイルゲームを提供開始してから1日も経たないうちに発表されたもので「Stranger Things(ストレンジャー・シングス)」シリーズとタイアップした2つのゲームをリリースしてから1カ月後のことだった。

Netflixの第2四半期の株主へのレターでは、同社はゲームモデルを模索している初期段階にあり、ゲームをオリジナル映画やアニメーション、リアリティTV番組と同様に、もう1つのコンテンツカテゴリーとして捉えていると述べている。

モバイルゲームに取り組む前、Netflixは、4年前に「Choose Your Own Adventure(自分の冒険を選び取っていく)」スタイルの子ども向け番組を開始し、インタラクティブなストーリーテリングに初めて挑戦した。その翌年には英国のドラマシリーズ「Black Mirror(ブラック・ミラー)」の「Bandersnatch(バンダースナッチ)」というエピソードで、大人向けのコンテンツにこの双方向形式を取り入れた。それ以降、前述の「マインクラフト:ストーリーモード」や「Emily’s Wonder Lab(エミリーのワンダーラボ)」など、インタラクティブな子ども向け番組をさらに追加している。

関連記事:NetflixのシリアスSF「ブラックミラー」の特別編「バンダースナッチ」は対話的ドラマらしい

画像クレジット:

原文へ

(文:Catherine Shu、翻訳:Aya Nakazato)

1047 Gamesはオンライン対戦シューターのデビュー作「Splitgate」大ヒットで約110億円調達

理屈抜きに人気なものは人気なのである。1047 Gamesが初めて手がけたゲーム「Splitgate」が現在大きな注目を浴びており、大成功を収めている。わずかな資金で何年も活動してきた同チームは5月以降3回の資金調達を行い、最新の調達額はなんと1億ドル(約110億円)にまで達している。

共同創設者兼CEOのIan Proulx(イアン・プルース)氏は、この成功はひとえに熱心なコミュニティのおかげであり、また「シリコンバレー的なアプローチによるゲームビジネスの運営」が成功の理由であると話している。

1047 Gamesが設立された約5年前、ゲーム(Free to Play、無料でプレイ)のPCゲームはニッチなジャンルであった。もちろんアプリ内課金に依存するモバイルゲームも多くあり、「World of Tanks」や「Warframe」のようなゲームが成功を収めていたものの、当時は「フォートナイト」もF2Pがこれほどまでに大きな利益を生み出せるということを業界に示してはいなかった。

「5年前はヒットするかどうかにすべてを賭けるというやり方が主流でした。何年もかけて製品を開発し、莫大な資金を投入して発売し、それがどうか成功することを願うという方法です」とプルース氏は振り返る。「しかし我々は予算をすべて使い、失敗したら廃業してしまうようなリスクを負うわけにはいかないと考えました。そこで私たちはソフトローンチを行い、何が起きるかを見て学び、聞き、データを観察しようと考えたのです。成功するかどうかわからない製品のマーケティングにお金をかける必要はありません。そもそもお金は大して持っていなかったのですが、もしお金を使うのなら、優れた指標やKPIを持つ製品に使うべきです」。

馴染みのない読者のためにご説明しよう。Splitgateは「Quake III Arena」や「Unreal Tournament」、「HALO」といった昔ながらのアリーナシューティングゲームのDNAを受け継いだ、多人数参加型オンライン対戦シューターだ。上述のゲームも十分に熱狂的なゲームではあるが、Splitgateではその名も「Portal」と呼ばれるポータルで空間を曲げる機能が追加されており、アクションにとんでもない機動力が加わっている。

画像クレジット:1047 Games

プルース氏によると、Splitgateがバトルロイヤルやヒーローシューティングなどの人気ジャンルに対抗できるとは思えないという理由で、同氏は投資家から何度も門前払いを食らったという。しかし、おなじみの方式をアップデートしたこのゲームは必ず成功すると確信を持っていた同氏。需要は確実にあるのに、人々はそれを忘れてしまっているだけなのだと。「若い頃、みんなこういったゲームをプレイしてきたのです。この市場が死んでしまったのは、みんながこういったゲームを愛さなくなったからではありません。大きな動きやイノベーションが起きず、大衆に受け入れられるものが存在しなかっただけなのです。『Quake Arena』はとてもすばらしいですが、とても難しいゲームです。『フォートナイト』好きの12歳の子どもはプレイしてくれないでしょう。私たちはこの空白を埋めることができるのです」。

古典的なシューティングゲームによく似ているSplitgateだが、プルース氏によると「Rocket League」が比較対象としてより近いものだという。Rocket Leagueはすばらしいコンセプトを可能な限り安価で実現したゲームで、アイテムやその他のオプションの特典で収益を上げるという、ゲーム界の大成功例である。

「Splitgateはただ楽しんで、頭を空っぽにしてプレイすることができますが、スキルはどこまでも向上させることができます」と同氏。

とはいえ、同ゲームは2019年に同社から完成形を持って登場したわけではない。まずは最小限の機能で楽しめるゲームをリリースした。「とても楽しいゲームでしたし、基本はできていました。しかしビジネスやフリープレイを運営するには、ただ単に楽しいゲームを作るだけでは十分ではないということを学びました」。

どんなゲームでも、単純に人々がプレイしなくなってしまうというのが最大の危機である。そこでチームは「シーズン」や「新機能」「新マップ」など、Splitgateを何年も続けられる「無限のゲーム」にするために、リテンションとコミュニティからのフィードバックに重点を置いたのだ。

当初のMVPでのリリースでは、最初の1カ月間で約60万件のダウンロードを達成。そして2021年夏、マルチプラットフォームでの大規模なリニューアルが行われ、まだ「オープンベータ」ではあるものの、7月には1000万件以上のダウンロードを記録し、大きな話題となった。

突然の逆転劇が起こり、同氏の言葉を借りると、1047 Gamesに「奇跡的な成功」が起きたのだ。

「半年前の最初のラウンドは非常に困難でした。地球上すべての投資家に声をかけましたが、答えはすべてノーでした」。しかしその努力は報われる。「幸運なことに、やっとのことで完璧なパートナーに恵まれました。彼らがどれほど協力的であったかはいくら強調しても伝えきれません」。

そしてSplitgateが軌道に乗り始めた頃、2回目のラウンドがHuman Capitalと確定。この回は電話での問い合わせから資金調達までがすべて週末の間に進んだ。3回目のラウンドは1047 Games の選び放題である。Lightspeed Venture Partnersが主導し「Insight Partners、Anthos Capital、以前のシードラウンドの投資家であるGalaxy Interactive、VGames、Human Capital、Lakestar、DraperDragon、Draper University」が参加した(プレスリリースより)。

10人にも満たないチームが1億ドル(過去2回のラウンドを含めると1億1600万ドル[約128億円])もの金を使って何ができるのだろうかと疑問に思われるだろう。しかし、投資家らは同社が突然「アサシン クリード」を作るというようなことに賭けているわけではなく、ユニークなゲームをプレイしている1000万人もの人々の心を開発者が掴み続けることができれば、潜在的に大きなチャンスになると考えているのである。多くのゲームにとってこのハイプ後の時期は死の谷であり、ストリーマーや好奇心旺盛なカジュアル層が去った後、開発者は現金に飢えることになる。しかし、今回の資金調達によって同社は猛烈な勢いで人材を雇用をすることができ、事業を強化することができるようになるだろう。

「やれることの幅が格段に広がりました。小さなチームで小さな予算しかなかったために考えられなかったことが、今ではすべて手の届く範囲にあるのです。私たちは長期的な視点で見ており、今このゲームは25%完成の段階だと思っています。すぐに『フォートナイト』のように化ける必要はなく、今は次のRiot Games、次の大きなゲームビジネスを構築することが重要だと考えています」と同氏は話している。

その一方で、Splitgate自体はまだ1.0への道のりを歩んでいる最中である。チームは現在、自分たちとコミュニティが何年にもわたって形作ってきたゲームを、本当の意味で実現しようとしているところなのだとプルース氏は話している。多くのプレイヤーが何年もの間チームを見放すことなく、このゲームをともに作り上げてきたと同氏は感じており、彼らの意見は今もなお重要なものであり続けていると話している。

「書かれていることすべてを読んでいますし、耳を傾けています。私たちは今でも、コミュニティと密接な関係を保たなければならないインディーチームのようにして活動しています。変わったことと言えば、とんでもない額の資金を手に入れたということだけです」。

画像クレジット:1047 Games

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

「本当」のクロスプレイと協力プレイがみんなで楽しめるソーシャルゲームをElodie Gamesが開発中

新型コロナウイルス感染流行の最も暗い時期には、何百万人もの人々が、ロックダウン中の時間を過ごしたり、直接会えない友人とつながったりする方法として、オンラインゲームを利用した。しかし、社会的で、協力的で、楽しい、クロスプラットフォームのゲーム体験を見つけることは非常に難しい。Elodie Games(エロディー・ゲームズ)はそんな状況を変えるために設立された。

Elodie Gamesの共同設立者であるChristina Norman(クリスティナ・ノーマン)氏とDavid Banks(デヴィッド・バンクス)氏は、いずれもゲーム業界のベテランであり、Riot Games(ライアットゲームズ)在籍時に世界的にヒットした「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)」の開発に携わっていた。パートナーでもある2人は、2019年に退社して自分たちの会社を設立。協力プレイやクロスプレイに対応し、オープンエンドなサンドボックスプレイを示唆する「無限に魅力的な体験」に焦点を当てたゲームを作ると、2020年に発表した。

同社の従業員はすでに30人を数える(現在も求人中)が、彼らが現在開発に取り組んでいるゲームは、依然として謎に包まれている。サイトに掲載されている画像は一般的なアイデアであり、開発中のものではない。しかし、彼らが内々に見せたものが、Galaxy Interactive(ギャラクシー・インタラクティブ)とa16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)が主導したシリーズA資金調達で、3250万ドル(約35億7000万円)を獲得するのに十分なものだったことは確かだ。この投資には、Patron(ペイトロン)のBrian Cho(ブライアン・チョウ)氏と、Electric Ant(エレクトリック・アント)のChris Ovitz(クリス・オーヴィッツ)氏も参加した。同社は前回、2020年に500万ドル(約5億5000万円)を調達して活動を開始したが、明らかにその資金を有効に活用してきた。

ノーマン氏は、多くのゲーマーが避けられないものとして受け入れてきた障壁を取り除くことが、彼らの主なアイデアであると説明する。

「最も単純なレベルで言えば、私たちはプレイヤーがより簡単に、より頻繁にすばらしい体験ができるように、ゲームをデザインしています」と、同氏はTechCrunchに語った。「そのためには、まず、友達と一緒にプレイすることを妨げる要因を、取り除くことから始めました。ほとんどのソーシャル・マルチプレイヤー・ゲーマーは、プラットフォームやゲームに費やす時間、購入、スキルなどによってセグメント化されており、誰と、どのようにプレイするかということは、制限されます。このような制限を個別に克服する例はあるものの、例えばAmong Us(アマング・アス)が上手くやっていますが、全体としては進歩が遅く、私たちはこれを加速させることに興奮しているのです」。

確かに、筆者の個人的な経験を振り返っても、例えば、仲間の誰かがアプリやOSをアップデートしなければならなかったり、誰かがロビーをロードできなかったり、AndroidとiOSの間で不一致が発生したりなど、ほんの少しの摩擦でせっかくのプレイセッションが中断してしまうことがあった。それで結局、我々はビデオチャットアプリに搭載されている貧弱なゲームをプレイすることになったのだが、それは単純に、毎回ちゃんと作動するという理由からだ。楽しさは集まった仲間の雰囲気に左右されるものではあるとはいえ、何が楽しいかを皆で決められるようにすることも、Elodie社の野望の1つである。

ゲームのクロスプラットフォーム化は、現在ではUnreal(アンリアル)やUnity(ユニティ)のような共通のアーキテクチャのおかげで、以前ほど難しくはないものの、それでも朝飯前というわけにはいかない。

「もちろん、現代のゲームエンジン技術は、クロスプレイを可能にするために非常に役立っていますが、それだけで楽しいゲームになるわけではありません。従来のクロスプラットフォーム開発のアプローチは、時間がかかり、コストがかかり、繰り返しになります」と、バンクス氏はいう。「だから私たちは、優れたクロスプレイを実現するために、Eldieの開発手法を構築しているところであり、最初から我々が本当のクロスプレイ体験と呼んでいるものに焦点を当てています」。

「本当の」クロスプレイとはつまり「XboxプレイヤーがPCプレイヤーと一緒にプレイできる」という初歩的なレベルから一段上がり、実際にどちらのプラットフォームでプレイしても同等の楽しさが味わえるということだと推測される。それが本当に実現できるかどうかは、議論の余地がありそうだ。しかし「プリンの味は食べてみないとわからない(論より証拠)」という言葉があるように、Elodie社がゲームを世に送り出したときに、それは明らかになるだろう。

画像クレジット:Elodie Games

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Xboxとスペシャルオリンピックスが知的障がい者のためのeスポーツイベントを初開催

ゲーミング全般がアクセシビリティに配慮する方向にある中、eスポーツはあまりそうではない。一般のスポーツと同じく、そこは本質的に競争世界であり、ある意味で排他的だ。Xbox(エックスボックス)とSpecial Olympics(スペシャルオリンピックス)は、競争とインクルージョンを組み合わせた新たなイベントの共同開催された。

今週、スペシャルオリンピックスのアスリートたちは、Rocket League(ロケットリーグ)、Madden NFL 22(マッデンNFL 22)およびForza Motorsport 7(フォルツァ・モータースポーツ7)のトーナメントで競い合った。賞品は、名声とプライドに加えて、スペシャルオリンピックスのセレブサポーターの1人とプレイできることだ。バスケットボールNBAのスーパースターであるJayson Tatum(ジェイソン・テイタム)、アメリカンフットボールNFLのレジェンドであるJamaal Charles(ジャマール・チャールズ)、女子バスケットボールWNBAのスーパースターJewell Loyd(ジュエル・ロイド)、プロレスWWEのスーパースターDominik Mysterio(ドミニク・ミステリオ)とEmber Moon(エンバー・ムーン)というスーパースターたちだ。

「このトーナメントはeスポーツをよりアクセシブルにし、スペシャルオリンピックスのアスリートたちに新たな競争の場を与える重要な一歩です」とXbox Social Impact(エックスボックス・ソーシャル・インパクト)代表のJenn Panattoni(ジェン・パナトニ)氏が語る。「Xboxは、Xbox Adaptive ControllerやCopilot、音声テキスト変換など、数多くのアクセシビリティ機能とプロダクトに投資してきました。こうような継続した取り組みの目的は、プレイヤーが間違いなく歓迎されていると感じ、Xboxプラットフォームの一員になれることです」。

トーナメントは録画され、今週中に配信されるとともに米国時間9月18日土曜日の「セレブリティーショーケース」でハイライトが放映される。スケジュールはこちらの投稿で確認できるが、Xbox TwitchチャンネルSpecial Olympics YouTubeチャンネルをただ眺めるのもいいだろう。

関連記事:マイクロソフトがXboxやPC用ゲームのアクセシビリティをテストする開発者向けサービスを開始

私がこうしたイベントを取り上げたいのは、ゲーミング世界では長年アクセシビリティが二の次にされてきたからだが、今こうしてデベロッパーやパブリッシャー、パートナーたちの大きな行動によって状況が改善されようとしている。Microsoft(マイクロソフト)のXACがすばらしい例で、最新のゲーム、Ratchet & Clank(ラチェット&クランク)はビジュアル、オーディオ、難易度オプションの装備を一式備えている。eスポーツが多様性をもっと必要としている分野であることは間違いないが、参加しているプレイヤーたちは喜んで協力してきた。スペシャルオリンピックスのアスリートであるJose Moreno(ホゼ・モレノ)氏とColton Rice(コルトン・ライス)氏に思いを聞いてみた。

競技ゲームは前よりアクセシブルになってきたと思いますか?

ライス:競技ゲーミングは間違いなく以前よりアクセシブルになっています。ゲームがアクセシブルになるだけでなく、アクセシビリティによって障がいをもつ多くの人たち競技ゲームのプレイヤーになっています。知的障がいをもつ人たちは常に全力で戦おうとしています。私たちは他のみんながやっているのと同じことをやりたくて、時々そのためにちょっとした力添えが必要なだけです。

モレノ:競技ゲーミングはよりアクセシブルになっていると思います。Microsoftが知的障がいや身体障がいをもつ人たちの利用できる、つまりすべての人たちが利用できるビデオゲームコントローラーを売り出したからです。私は生まれながらのゲーマーなので、eスポーツにおけるアクセシビリティは革新的な出来事です。アクセシブルなゲーミングは私の子ども時代にはありませんでした。今はあらゆる能力の友だちとプレイできて誰もが参加できるのでずっと楽しくプレイしています。

スペシャルオリンピックスのアスリートであるコルトン・ライス氏(左)とホゼ・モリノ氏(右)(画像クレジット:Special Olympics<)

どのように変化を経験していますか?

モレノ:私が思うに、ビデオゲーム業界がより多くの知的障がい者を受け入れるほど、ビデオゲームコミュニティは、私たちが他の人と同じようにビデオゲームをプレイするのが大好きだということを知るようになります。そしてGaming for Inclusion(ゲーミング・フォー・インクルージョン)のようなイベントを通じて、私は競技に参加できるだけでなく、私を歓迎して仲間に入れてくれるゲーマーコミュニティの一員になれました。

ライス:知的障がいをもつ人たちは細部に注意を払うスキルをもっています。何かをすることに集中し、自分にできるベストになるまで練習します、それを楽しんでいる時には特に。そしてゲーミングはその1つです。障がいを持つ人達は学習に時間が必要なだけですが、情熱をもてるものに専念した時、成功するまでやめることがありません。

デベロッパーやパブリッシャーなどに期待することはなんですか?

モレノ:ビデオゲームやコンピューターゲーム全般のデベロッパーやメーカー、パブリッシャーには、ビデオゲームに関わる仕事に知的障がい者を増やしていほしい。知的障がいをもつ人たちはさまざまな役割を果たすことができて、ゲーミング体験を改善するユニークなものの見方を教えてくれます。パブリッシャーとデベロッパーは障がいをもつ人たちから新たな見識を得られます。たとえばストーリーラインに知的障がいをもつ人たちが登場したり、ゲームそのものに出てくることなどです。私たちはこのプロセスにぜひ参加したい。そしてゲーム業界のフォーカスグループに参加したり、クリエイターとして本格的な仕事につきたい知的障がいをもつ熱烈なゲーマーはたくさんいます。

ライス:これらのゲームを作っている企業は、誰もが楽しめる高品質なゲームを作ろうとしています。ゲームをもっとアクセシブルにするためにできることはまだたくさんあります。例えば知的障がいをもつゲーマーが新しいゲームのやり方を学ぶ時、説明が読みにくいとイライラします。何年もプレイしたゲームの新しいバージョンのプレイ方法を知るために何時間もかかることがあります。それは知的障がいをもつ人たちにプレイや競技をする能力がないという意味ではありません。身につけるためにもっと良いアクセシビリティツールが必要なだけなのです。

ゲーム会社がアクセシブルでインクルーシブなゲームを作りたければ、開発プロセスに知的障がいをもつゲーマーを参加させて「読みやすい説明」や初心者向け説明の作成やテスト、あるいはゲームのレベル間のナビゲーションをシンプルにする方法を見つける手助けをしてもらうことだ。ゲーミングはコミュニティを作って取り残されたと感じている人たちとつながることができる。アクセシビリティはあらゆる人たちが楽しむことを可能にする。


この競技やオンラインゲーミングのその他のイベントは、困難な数年の間、スペシャルオリンピックスコミュニティが繋がり続け、アクティブでいるために非常に重要だ。

「スペシャルオリンピックスはMicrosoftと長い間、パートナーシップを続けており、スペシャルオリンピックス活動のアスリートや家族に大きな価値を与えています」と同組織の最高情報・テクノロジー責任者であるPrianka Nandy(プリアンカ・ナンディー)氏は語る。「新型コロナウイルス(COVID-1)パンデミックの中、私たちの大きな心配事はアスリートたちの安全と健康です。彼らはウイルスによる有害あるいは致命的被害を受ける最も弱い立場にあります。パンデミックのために何千という恒例の対面イベントや競技が中止や延期に追い込まれました。これはアスリートたちがチームメイトやコーチや友人たちとつながったり、一緒にいる楽しさを体験するを失ったことを意味します。今も私たちの目標は、スペシャルオリンピックス活動の認知を向上し、私たちの驚くべきアスリートたちの成果と希望と夢を叶えるとともに、ゲーミング・コミュニティにおける知的障がいをもつ人たちに対する姿勢を変え、ゲーミングが誰にとっても楽しくインクルーシブになりうることを常に忘れないことです。

関連記事
【コラム】アクセシブルなゲーミングの未来を創る
ホンダ新事業創出プログラムIGINITION第1号のAshiraseが5000万円調達、視覚障がい者向け単独歩行ナビを2022年度製品化
【コラム】アクセシビリティを最初からスタートアップのプロダクトと文化の一部にする
画像クレジット:Microsoft / Special Olympics

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook