モバイル時代のパニックボタンWitnessがアプリとして完成、App Storeに登場

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モバイル時代のパニックボタンとして使えるライブのストリーミングアプリWitnessは、今年のTechCrunch Disrupt NY 2015のハッカソンでデビューし、最後には大賞を獲得した。今やそのアプリがAppleのApp Storeで入手できるようになり、ユーザはあらかじめ指定しておいた複数の緊急時連絡先に自分の現在位置と、音声とビデオを自動送信できる。Twitterの自撮りビデオPeriscopeのプライベートバージョンが、身の危険を感じるような緊急時に友だちや家族に、ヘルプ信号として送られるアプリ、という説明でもよいかもしれない。

これを作ったデベロッパのMarinos Bernitsasは、それまでニューヨークでやっていたアルゴリズム取引の仕事を辞めて、かねてからやりたかったモバイルアプリの制作を始めた。Witnessは最初、夜道を一人で歩いて家に帰るなど、危険な状況で使うアプリとして構想された。

しかしハッカソンのオーディエンスや審査員たちは、警官の暴力行為など、公務員の違法行為を証拠として記録できる可能性に、関心を寄せた。このアプリが披露されたころは、警察が批判されるそんな事件が多かったのだ。

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実際に、ティーンたちが警官にやられたテキサス州の事件では、複数の目撃者が警察の行為を自分のモバイルフォーンに記録していた。そのおかげで後日、問題の警察官は訴追された。Witnessアプリは、まさにこれと同じことができるし、しかも現場記録だけでなく、リアルタイムで事件の映像を愛する人たちに送信+録画できる。

ハッカソンのときは機能も単純で、ユーザが事前に緊急時連絡先のリストを自分のスマホに入力しておくと、受信した側では自動的に録画を開始し、ユーザにはテキストメッセージで着信を知らせる。おもしろいのは、Witnessが動いているときは画面が真っ黒で、送信や録画が行われていることを他人に隠せることだ。

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App Storeで入手できるようになったWitnessアプリは、デフォルトでは真っ黒画面にならないが、事前にそう設定しておくこともできる。作者のBernitsasは、今後はいろんな初期画面を用意してユーザが選べるようにしたい、とも言っている。

今のWitnessはレイアウトもきれいになったし、Witness同士の送受信だけでなく、映像などの情報をメールでも送れるようにした。事前に設定した緊急時連絡先リストだけでなく、メールのアドレス帳との統合もできる。誤操作防止機能も、ついた。一秒間、画面のどこかを押しているとWitnessが起動して、リアルタイムの映像とメッセージをメールなどで送り始める。

受信した側は、Witnessアプリが動いていなくても、テキストメッセージ中のリンクをWebブラウザで見れば、地図上で被害者の動きが分かる。受信側の信号の状態が悪ければ、Witnessはすべてをローカルに保存して、受信側の状態が良くなったときにアップロードする。犯人〜加害者が被害者のスマートフォンを破壊した場合でも、情報は完全にWitnessのサーバ上に残る。そしてもちろん、証拠等として利用できる。

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Bernitsasはアプリを発表する前に少人数のグループでテストしてみたが、83%が緊急時にこれを使いたいと答え、91%が、これが自分のスマホにあれば安心だ、と答えた。

今のところ収益化計画はなく、アプリも無料で、とにかく世の中で実際にどんな使われ方をするか、それを知りたいのが今のBernitsasの本音だ。

“これまでの、ありとあらゆる仕事と違って、これだけは、最初からビジネスとして考えていない。ぼくにとってこれは、24時間で作れる、友だちや家族のためのクールなユーティリティ、でしかなかった。Disruptで賞を取りたい、という考えすらなかった”、とBernitsasは説明する。

“その後、いろんな人からWitnessが役に立つという話を聞いて、その話にとても感動した。そんな声を聞いたからこそ、できるだけ早くアプリとして完成させてApp Storeに出したい、という気持になった。でも、まだ、改良の余地はたくさんある。Witnessは、今後まだまだ良くなるよ”、と彼は付言した。

このアプリは無料で、iTunesからダウンロードできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a.
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