Instagramはモバイル向けウェブサイトを大幅に強化した。世界中で写真共有のハブになることを目指しており、国際的な成長を実現するために行われたアップグレードだ。これによりネットワークが遅すぎたりデータプランが高価すぎたりして専用アプリを使いたくいユーザーでもInstagramを自由に利用できるようにするのが狙いだ。このアップグレードでInstagramは閲覧、投稿を含む専用アプリのコア機能を軽量化し、モバイル版ウェブ上で実現している。.
これまでInstagramのウェブページはデスクトップ、モバイルとも軽量化されているものの閲覧、フォロー、検索、「いいね!」など最小限の機能が利用できるだけだった。デスクトップからの写真投稿は今でもできない。しかし3月からInstagramはモバイルウェブの共有機能の強化を開始し、最新のInstagramでは
Explore〔虫眼鏡アイコン〕タブも利用可能になった。ただしビデオのアップロード、フィルター、ストーリーズ、ディレクト・メッセージはモバイルウェブからは使えない。
Matt Navarraが発見した新バージョンについてわれわれは Instagramに取材してみた。「Instagram.comにモバイルからアクセスした場合、モバイル・デバイスでの利用に最適化されたバージョンが表示される。これは利用するデバイスやネットワーク環境によらず誰もが快適なInstagram体験を可能にすることを助けることを意図している」という。
このアップデートはInstagramのユーザーの80%がアメリカ以外の居住者だということを念頭においた成長戦略に基づくものだろう。この戦略に基づく最近のアップデートの例としては、ウェブからのログイン、特に低価格Androidデバイスでのログイン過程の改善、オフライン機能の追加などがある。これらはあらゆる環境でのInstagramをスピードアップし、 ユーザーを7億人の大台に乗せることを助けた。最後の1億人はわずか4ヶ月で追加された。それ以前の数年間、Instagramでは1億人を追加するのに平均9ヶ月かかっていた。
途上国のユーザーの多くはInstagramのアプリを即座にダウンロードできるほど高速のモバイル環境にない場合が多い。無線網が遅い場合もあるし、アプリやコンテンツ保存のために十分な記憶容量がモバイル・デバイスにない場合もある。またデータプランが禁止的に高価なことも多い。
モバイル・ウェブ版が強化されればユーザーはアプリをダウンロードしてインストールする手間をかける必要がない。これにより待ち時間、保存容量、データ転送コストを大幅に節約しながらInstagramの基本機能を利用できる。
ただしこうしたリリースはInstagram Liteのような軽量版のネイティブ・アプリが必要なのではないかという疑問を再燃させるかもしれない。同じFacebookグループではデータ転送量を最小化することを念頭においたFacebook Liteアプリが2億ユーザーを獲得しており、Messenger Liteアプリも成功を収めている。
いずれにせよ、モバイル・ウェブの強化でInstagramの使い勝手は主要なライバル、Snapchatの先を行くことになった。 Snapchatはビデオ・ヘビーなサービスなので、運営するSnap
Incは途上国の接続環境に対応することに高い優先順位を与えていない。これは途上国市場がマネタイズの対象として価値が低いこととも関連しているだろう。このことは途上国の画像共有ではInstagramが事実上の標準となる道を開いたのと同じだ。InstagramはSnapchat Storiesのクローンをリリースして2億人のDAU(1日あたりアクティブ・ユーザー)を集めているが、これはSnapchatの全ユーザー以上の人数だ。
途上国のネットワークも安価なAndroidスマートフォンの能力も今後次第に改善されるだろう。そうなればInstagramは途上国市場でも十分な収益を確保できるようになるだろう。グローバル市場での現在の急速な成長はInstagramに強力なネットワーク効果をもたらし、ユーザーを予めInstagramにロックインすることを可能にするはずだ。
ソーシャル・ネットワークは先進国市場ではほぼ飽和状態だ。SNSはそれ以外の市場での成長戦略を考える必要に迫られている。遠く離れた場所のわれわれとは環境の異なる市場のユーザーでも決して無視するわけにはいかない。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)