ユニコーンはもう珍しいものではない

Kleiner Perkinsの前パートナーでシードステージベンチャーキャピタル会社Cowboy Venturesの創業者Aileen Leeが2013年にまさにこのサイトで“ユニコーン”という言葉を作りだしたとき、このタイトルを持つ企業はわずか39社だった。

彼女はそれらの企業を“数少ない幸運/特殊な企業”と呼んだ。彼女の定義:2003年以降に設立された米国のソフトウェアスタートアップで、企業価値が10億ドル以上のもの。彼女がその投稿を書いた時、彼女の計算では毎年たったの4社がそうした企業価値を達成するはずだった。しかし5年後、PitchBookの最新の調査によると、スタートアップがユニコーンになる率は353.1%上昇している。

今日、米国だけで145社もの“アクティブユニコーン”が存在し、合計の企業価値は5559億ドルだ。

なぜなのか。理由はいくつかある。具体的には、企業がより長く非公開企業にとどまっていることが挙げられる。非公開から抜け出し、別のクラブー公開クラブに移行する企業は少なく、これによりユニコーンの数は増大し続けている。加えて、マーケットに資金が、正確にいえば801億ドルもあり、レイトステージの企業はフォームS-1であらゆる情報を公開する代わりに、ソフトバンクが提供する“ミニIPO”を選択している。

ユニコーンが生まれるスピードが緩やかになる気配はない。最新のデータでは米国のユニコーンがそのステータスを得るまでに平均6年かかっているのに対し、わずか3年前は平均7.5年だった。平均年数よりも随分早くユニコーンになっている企業もいくつかある。BrexLime、そしてBirdは記録的な早さで最近10億ドル超になった企業だ。

企業価値の増大はまた、これまでになく内容が充実している。レイトステージの企業価値の平均は前年比50.7%増えている。一方、アーリーステージ、シードステージの平均価値はそれぞれ28%増と12%増だった。2018年のベンチャーキャピタル投資がドットコムブーム以来の活況を呈していることは言うに及ばないだろう。

要するに、その企業がどれくらい大きいか、あるいはどれくらい早く10億ドルを達成したかにかかわらず、スタートアップの企業価値は問題であるべきではない。しかしこれらはスタートアップエコシステムの人がスタートアップの成功度を測り、価値があるかどうかを決める物差しとなるー少なくとも投資家かがいくら出すかを決定するのにかかわってくる。

ユニコーンという言葉、そしてコンセプト全てを廃止したいと思っても、10億ドル企業の増加は無視できないものとなっている。

イメージクレジット: annick vanderschelden photography / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。