ユーザーと配送業者をアプリでマッチング——ネット印刷のラクスルがシェアリング型の新サービス「ハコベル」

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印刷サービスの価格比較や見積もりからスタートし、印刷所の遊休資産を活用したネット印刷、そしてチラシを使った集客サービスを展開するラクスル。同社が新たに配送事業に参画する。同社は12月1日、新サービス「ハコベル」を公開した。

ラクスル代表取締役の松本恭攝氏

ラクスル代表取締役の松本恭攝氏

ハコベルはウェブサイトおよびスマートフォンアプリを使って、配送の予約が可能なサービス。ユーザーと、その周辺にいる配送業者のドライバーを直接マッチングする。集荷は最短1時間で、24時間365日予約申し込みが可能。GPSをもとに配送車両の位置情報を確認できるほか、5段階のドライバー評価制度といった機能を備える。

またラクスルが印刷会社の空き時間を利用して安価な印刷を実現しているように、配送会社の空き時間に配送をすることで安価な価格設定を実現した。一般的な運送サービスであれば最低価格で5000円程度だが、ハコベルは4500円からとなっている。また、GPS情報を利用して、明瞭な価格設定を実現しているのが特徴だ。サービスには冷蔵・冷凍便などのオプションも用意。当初のサービス提供エリアは東京、神奈川、埼玉、千葉、福岡。大手業者では集荷センターに荷物を集めて効率的な配送を行うため、段ボールのサイズや重さなどに規定があるが、ハコベルはいわばチャーター便。荷物のサイズ等はかなり融通がきくそうだ。

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配送を担当する車両は、一般貨物自動車運送事業の貨物自動車利用運送のためのもの——というとややこしいが、ようは認可を得た業者が保有する、黒字に黄色文字が入ったナンバープレートをつけた軽自動車だ。日本の運送業者は5万7440社。ただしトラック物流市場14兆円の50%は上位10社で占められている。ハコベルでは大手ではなく、中小・個人運営の業者とパートナーを組んでサービスを展開する。ちなみにこの仕組みは弁護士および国土交通省にサービスの適法性を確認しているという。

運転手には専用のアプリを提供。配送の依頼があるとアプリに通知が届き、内容を検討した上で仕事を引き受けることができる。逆にいうと、通知がきてもほかの配送をしている最中だったりして引き受けない場合は、依頼を断ることができる。なお、運転手に断られた依頼は、周辺にいるほかの運転手に通知される仕組みになっている。料率は今後調整していくが、ほかのシェアリングエコノミー系サービスと同様になる見込みだ(大体20〜30%程度と考えればいいのではないだろうか)。

同社では8月21日〜11月30日にかけて試験的にラクスルの既存顧客などに向けてサービスを提供していた。配送件数は433件、ドライバー173人で、もっとも多く運んだのは企業の「チラシ」。ラクスルの顧客は中小企業を中心とした20万社。このネットワークがすでにできあがっていることは、ハコベルを展開する上でも大きな力になる。もちろん個人利用も可能。これまでにソファーや自転車を配送するといったケースがあったそうだ。

海外にはGoGoVanなどの先行事例も

「○○版Uber」という表現は僕自身食傷気味なのだけれども、いわゆるシェアリングエコノミーの文脈のサービスという意味では「配送版Uber」なサービスだ。ただしそのUberもすでに香港では自動車をつかった「Uber Cargo」、ニューヨーク市では自転車を使った「Uber Rush」なる配送サービスをスタートさせている。

実はこの「配送×シェアリング」という領域、アジアでは「lalamove」「GoGoVan」といった先行者がいる状況だ。CrunchBaseにもあるが、2013年12月にローンチしたlalamoveは、これまでに2000万ドルを調達。香港のほか、中国やシンガポール、台湾(台北)、タイ(バンコク)でサービスを展開している。一方のGoGoVanは2013年6月のローンチ。これまでに2654万ドルを調達し、香港、台湾、シンガポール、中国、オーストラリア、韓国でサービスを展開している。

なお同社は本日発表会を開催している。TechCrunchではその様子とラクスル代表取締役の松本恭攝氏への個別取材もお届けする予定だ。

投稿者:

TechCrunch Japan

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