ラグジュアリーな空の旅を提供するAeroが需要回復を見越して22億円調達

Garrett Camp(ギャレット・キャンプ)氏のスタートアップスタジオExpaの支援を受けているAero(エアロ)はシリーズAラウンドで2000万ドル(約22億円)を調達した。CEOのUma Subramanian(ウマ・スブラマニアン)氏は空の旅の需要が「すさまじい勢いで」戻りつつある、と述べた。

筆者はAeroがCEOにスブラマニアン氏を指名した2019年にその事実とともに同社が累計1600万ドル(約17億円)を調達したと書いた。その発表の後に同氏は(すでにミコノス島とイビザ島の間でテストフライトを行っていた)Aeroが後の数カ月で飛行機を購入・改造し、2020年夏に事業を開始すると筆者に語った。

明らかに、パンデミックが計画を妨げたが、そうした妨害は思ったほど大きなものではなかったようだ。スブラマニアン氏は国境が再び開かれ、制限付きで旅行が再開するにつれ、Aeroがフライトの提供を開始したと語った。

「すばらしい夏でした」と同氏は話した。「多くの座席を販売し、7月と8月の売上総利益は黒字でした」。

同社は自社製品を「半プライベート」な飛行機の旅と表現する。プライベートのターミナルから出発し、空間にゆとりのある小型飛行機に乗り(37座席の飛行機を16座席に改造したとスブラマニアン氏は話した)、コシュエルジュチームによるパーソナライズされたファーストクラスの体験が提供される。Aeroは現在、ロサンゼルスとアスペンを結ぶルートのみを飛んでおり、航空代金は片道1250ドル(約13万5000円)だ。

スブラマニアン氏は以前、Airbus(エアバス)のヘリコプターサービスVoomのCEOを務めており、Aeroには「かなり懐疑的に」アプローチしたと語った。というのも、航空産業における社会通念は「有限の面積に可能な限りたくさんの人を押し込む」ことがすべて、というものだったからだ。しかし初期の需要は「その定説は本物」であることを示した、と同氏は語った。

「それを求める人もいます。空の旅はかつて、人々がそのためにドレスアップするような憧れのものでした。当社は旅行エクスペリエンスの魔法の部分を取り戻したいのです」と話した。

結局、あなたがユタ州のアマンギリでの休暇で「一晩に何千ドル(何十万円)」も使ったことがある「プレミアムな旅行者」であれば「ソルトレイクシティを発つ低価格のフライトを探すのに何時間も費やす」のは少し馬鹿げているだろう。

画像クレジット:Aero

スブラマニアン氏は、出張の需要が戻ってくるのは緩やかかもしれない一方で、レジャー旅行に対する需要はすでに戻っており、パンデミックが収束するにつれ増大するばかりだと主張した。加えて、Aeroがラグジュアリーな体験をつくるために取っているアプローチは、ソーシャルディスタンシング(社会的距離の維持)にうまく合っている。

資金調達に関していうと、シリーズAはKeyframe Capitalがリードし、同社の最高投資責任者John Rapapor(ジョン・ラパポール)氏がAeroの役員会に加わった。Cyrus Capital PartnersとExpaも本ラウンドに参加した。

新たに調達した資金でAeroはチームを増強し、フライトを増やすとスブラマニアン氏は話した。次は、ロサンゼルスとカボ・サン・ルカス間のフライトを2021年4月に立ち上げる予定で、年内には欧州でも再びフライトを飛ばすと同氏は付け加えた。

「ルフトハンザ航空にとっては恐ろしい時間ですが、しかし直感に反し、何かをゼロから始めるのにはうってつけの時間です」と述べた。主にこれは飛行機や他の資産を購入するにあたって手頃な値段となっているからだ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Aero資金調達

画像クレジット:Aero

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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