この数年間で、電気自動車(EV)用バッテリー市場の廃棄物削減を目的とした企業が数多く現れた。なかでもその代表格がRedwood Materials(レッドウッド・マテリアルズ)だ。2017年にTesla(テスラ)の共同創設者J.B.Straubel(J・B・ストラウベルストラウベル)氏によって北米最大のリチウムイオンバッテリーのリサイクル企業を目指して創設されて以来、急速な拡大を遂げてきた。このほど同社は、商用EVのメーカーProterra(プロテラ)と手を組み、米国内のバッテリーのサプライチェーンを強化することで協力し合うことになった。
Redwoodと他の自動車メーカーとの提携が公表されたのは、これが初めてだ。
契約に従いProterraは、すべてのバッテリーをネバダ州カーソンシティーにあるRedwoodのリサイクル施設に送ることになる。両社は2021年1月にこの提携に合意したが、協議はそのリサイクル工程を詳しく知りたいとProterraがRedwoodに話を持ちかけた2020年夏から続いていた。その中でProterraは、Redwoodのネバダのリサイクル施設に足を運び、Proterraのバッテリーパックの処理が可能かどうかを確かめた。
「実に順調にいきました」とProterraのCTOであるDustin Grace(ダスティン・グレース)氏はTechCrunchに話した。グレース氏は、Teslaのストラウベル氏のもとで9年間働いていた人物だ。「その作業を見て最高に興奮しました。そこから、供給の本契約に向けて作業を開始したのです」。
提携関係を結んでからProterraは、およそ11.8トンのリサイクル用バッテリー素材をネバダに送り込んでいるが、これは将来の供給ペースを示すものではない。全体としてRedwoodは、1日60トン、年間2万トンのバッテリーを受け入れることができる。
Proterraの車両を動かすバッテリーは、車両の寿命が尽きるまで使えるように設計されているのだが、同社では6年後のバッテリーを交換を約束するリースプログラムも提供している。その時点でバッテリーには80〜90パーセントの充電容量が残されており、まだまだ十分に使える状態にある。この容量を活用するためProterraは、ネバダに送る前に、バッテリーに第二の人生を送らせる計画を立てている。例えばProterraの充電設備のための固定型蓄電システムでの利用だ。
「まずは、Proterraの再製造エンジニアリングチームがバッテリーの評価を行います。第二の人生が送れる状態だと認められると、そのための施設で利用されます。評価が低ければ、リサイクルに回されます」とグレース氏は話す。
耐用寿命を迎えたとき初めて、バッテリーはRedwoodに送られ、廃棄物処理によって価値ある原材料に再生される。商用EVの市場は2025年までに、年間の全売上げの50パーセントに達するとの予測もあり、膨大な数のバッテリーの再処理が必要となる。
このニュースは、Redwoodが電動バイクのメーカーSpecialized(スペシャライズド)とバッテリーのリサイクル契約を交わしたことを発表してから、わずか数週間後に届いた。Redwoodはすでに、Nevada Tesla Gigafactory(ネバダ・テスラ・ギガファクトリー)でパナソニックが行っているバッテリー生産による廃棄物の処理に加え、Amazon(アマゾン)ともEV用バッテリーやその他の廃棄物の処理でも合意している。こうした企業間提携を通じて、Redwoodは、原材料をメーカーに戻す循環型のバッテリー・サプライチェーンを構築しようとしている。同社はまた、一般消費者向け製品の電子部品やバッテリーの処理も受け入れており、利用者はRedwoodのウェブサイトにある住所に郵送できることになっている。
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今回の提携は、両社とも大規模で長期的な事業を考えている証拠だ。Redwoodの広報担当者はTechCrunch宛の声明で「EVバッテリーの完全閉ループのリサイクリングのためのソリューション開発」に注力すると話していた。つまり、コバルト、リチウム、銅などの原材料の供給源を、採鉱から、本当の意味での持続可能な、長期的に利用できるリサイクルに移行させるということだ。またストラウベル氏はかつて、Redwoodを世界最大のバッテリー原料メーカーにするという野望を公言していたこもある。
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米国内で調達できる、バッテリーに使用可能なグレードの原材料が増えれば、Proterraは、やがてはバッテリーセル製造の分野に拡大する機会を得るだろう。
「まだ始まったばかりですが、私たちはこの市場の大きくなった未来の姿に目標を定めていきます。それこそが、今このパートナーシップが存在する最大の意義だからです」とグレース氏。「我々の観点では、Proterra向けのセルの国内生産は、今後数年にわたる私たちのロードマップにおいて、実に重要な部分を担います。北米でバッテリーに使えるグレードの原材料を生成するというアイデアは、米国内でバッテリーを生産するというコンセプトの拡大に直接寄与します。そのため、今これを始めることが、近い将来のセルの国内生産計画を間違いなく支えることになると思っています」。
カテゴリー:EnviroTech
タグ:Redwood Materials、バッテリー、リサイクル、電気自動車
画像クレジット:PRNewsFoto/Proterra
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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:金井哲夫)