リモートワークを手助けするタスク・パフォーマンス管理ツール「Remonade」

働き方改革の一環として、オフィスに出社せず自宅などで仕事をする「リモートワーク」を取り入れる企業の事例を耳にする機会が多くなってきた。

リモートワークは上手く活用できればワークスタイルの幅を広げ、メンバーの満足度向上や場合によっては企業の採用力アップ(遠隔に住む優秀な仲間を採用できるチャンスがあるという意味などにおいて)にも繋がる。

ただ特に同じ空間で働くことに慣れていた人たちにとっては、実践するにあたって不安なことや解決しなければならない課題もあるだろう。スタートアップのQueueが本日発表した 「Remonade」はまさにそのうちの1つ、リモートワークにおける毎日のタスク管理やパフォーマンス管理における悩みを解決するサービスだ。

その日のタスクと進捗を登録するだけでチームの仕事を可視化

機能や使い方はシンプル。各メンバーは仕事を始める前に「今日取り組むタスク」や「見積もり時間」などを今の気分と一緒に登録し、達成したタスクにチェックをしていくだけだ。入力された各自のタスク一覧や進捗度はリアルタイムに可視化されるため、各々が今どんな仕事をやっているのかがすぐにわかる。

その上でRemonadeではタスクの内容や達成率を分析し、各メンバーやマネージャーにスタッツのレポートを自動で届ける機能を搭載。日報や進捗管理などのレポーティングを行なっている企業も多いかもしれないが、単なる業務報告の手間は一切なくなる。

マネージャー側にとっても、事ある毎に各メンバーに対してその日のタスクや進捗をこまめに聞き、パフォーマンスを分析するのに膨大な時間を取られずに済む。ダッシュボードにはチームメンバーのタスクの内容や達成率、メンタル面の変化が集約されるので、メンバー単位で状態を把握して各自のフォローやコミュニケーションにより多くの時間を使えるようになるのも特徴だ。

メンバーのアイコンをクリックすると、その日のタスクや進捗具合がわかる

タスクと進捗具合は一覧で表示することも可能

マネージャー用のダッシュボード。メンバーが進捗度合いを入力するだけで、自動で日々のパフォーマンスが可視化される

社内ツールとして運用してきたものをプロダクト化

Remonadeはもともと開発元であるQueueの社内ツールとして生まれ、現在まで約1年間に渡って運用されたきたものだ。

Queueは先月の資金調達時に紹介した通り、東京大学工学部出身の柴田直人氏らが2016年に創業した技術者中心のスタートアップ。特に当初は学業と両立しているメンバーも多く大学とオフィス間での移動に時間を取られていたこともあって、積極的にリモートワークを活用し、メンバー全員がオフィス以外の場所から働く「全員リモート週間」などにも取り組んできたという。

海外のプロダクトも含めて複数のタスク管理・プロジェクト管理ツールを試したが「誰が今どんなタスクを進めているかがわからない」という課題をピンポイントで解決してくれるものはなかった。それならば自分たちで作ってしまえ、と開発したのがRemonadeというわけだ。

「プロジェクトの全体像やその進捗を共有・可視化できるサービスはあるが、毎日のタスクやその日毎の進捗を簡単に共有できるサービスは意外にも少なく、そこだけを切り出したツールが欲しかった。それぞれスコープが異なるものなので、社内でも両方を併用している」(柴田氏)

昨年10月に大阪で開催された働き方改革関連のイベントに出展した際には一定数の企業から引き合いもあり、ニーズを感じたそう。今はそれらの企業を中心に試してもらっている。

「『今日なにをどこまでやったのか』を確認するためのチャットコミュニケーションが負担になっているという声もあり、その状況を改善するツールとして反響があった。マネージャー側が大変なだけではなく、過剰管理になるとメンバー側もストレスやプレッシャーなど心理的な負担を感じてしまう。冗長になりがちなコミュニケーションを単純化することで、双方の負担を減らしたい」(柴田氏)

まずは1ユーザーあたり月額300円のライトプランのみからのスタートとなるが、今後は機能を加えた上位プランも提供していく計画。ビデオチャットツール(Wherebyを考えているそう)を簡単に起動できる仕組みや24時間限定の消えるチャット機能のほか、PCのインカメラを活用した着席時間のトラッキング機能なども予定している。

また少し先にはなるが、同社の得意とする画像解析技術を用いて“遠隔で働くメンバーの表情を認識して、その時の感情を分析できる機能”の開発にも取り組んでいくとのことだった。

ちなみにサービス名のRemonadeは「remote」と「aid」を組み合わせてできたもの。このサービスを通じて場所にとらわれず誰もが自由に働くことができ、会社と社員が新しい信頼関係を築けるための手助けをしていきたいという。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。