ルノー・日産・三菱アライアンス、2030年までに35車種の新型EVを製造する計画

Renault Nissan Mitsubishi Alliance(ルノー・日産・三菱アライアンス)は、2030年までに35台のEVを保有することを目標に、258億ドル(約2兆9783億円)を費やす計画を発表した。その一環で「smart differentiation(スマートな差別化)」戦略として、80%の共通利用が可能な、ブランド間で共有される5つの新プラットフォームを開発する。日産自動車は、これらのプラットフォームの1つをベースにした最初のクルマの1つを公開した。そのクルマは、同社の人気車種Micra(マイクラ)の後継として欧州で販売される予定の電気自動車のコンパクトカーだ。

アライアンスは、純粋なEVと「インテリジェント&コネクテッド・モビリティ」に重点を置いている。そして、プラットフォーム、生産工場、パワートレイン、車両セグメントをプールできる「スマートな差別化」システムにより、車両間の共通性を高めることを目的としている。「例えば、C・Dセグメント用の共通プラットフォームには、アライアンスの3ブランドの5車種(日産自動車Qashqai [キャシュカイ]とX-TRAIL[[エクストレイル]、三菱自動車Outlander[アウトランダー]、Renault Austral [オーストラル]と今後発売予定の7人乗りSUV)が搭載されます」と、Renault Group(ルノーグループ)はプレスリリースで述べている。

そのために、Renaultの格安モデルDacia Spring(ダチアスプリング)のベースとなる手頃な価格のCMF-AEV、超小型EV用の軽自動車KEI-EVプラットフォーム、Renault Kangoo(カングー)や日産自動車Town Star(タウンスター)などの商用車用LCVなど、5種類の個別のプラットフォームを発表した。もう1つはCMF-EVで、現在アライアンスが日産Ariya(アリヤ)やRenault Megane E-Tech(メガーヌE-Tech)などのクロスオーバーに使用している。

最後に、CMF-BEVプラットフォームは、コンパクトEVに使用されるが、現行のRenault Zoe(ゾエ)と比較して、コストを33%、消費量を10%削減することができる。これは、Renault、日産自動車、Alpine(アルピーヌ)の各ブランドで年間25万台のベースとなり、Renault R5や日産自動車がMicraの後継として発売するEVもこれに含まれる。

日産自動車は別のプレスリリースでその車両を予告し、陰影のある写真と短い動画でその姿を披露した。名前も価格も発売日も不明だが、フランス北部のRenault ElectriCity(ルノー・エレクトリシティ)センターで製造される予定だ。「この新型車は、日産自動車が設計し、Renaultが新しい共通プラットフォームを使って設計・製造することで、日産自動車らしさを維持しながらアライアンス資産を最大限に活用します」と、日産自動車のCEOであるAshwani Gupta(アシュワニ・グプタ)氏は述べている。「これは、アライアンスのスマートな差別化を示すすばらしい例です」。

Renault Groupは、共通のバッテリー戦略を採用し、2030年までに220GWhの生産能力を目指すとした。また、電池のコストを2026年に50%、2028年に65%削減する計画だ。2028年までに全固体電池(ASSB)の開発を目指し、そのプロジェクトは「電池技術のパイオニアとしての深い専門知識と独自の経験に基づいて」日産自動車が担当する。

また、アライアンスは2026年までに、Tesla(テスラ)のようなOTA(オーバー・ジ・エア)アップデートを可能にするクラウドシステムに2500万台の車両を接続することを目指すという。「アライアンスはまた、Google(グーグル)のエコシステムを自動車に導入する最初のグローバルな大衆向けOEMとなる」と、Renault Groupは述べている。

このニュースは、Renaultが2025年までに3分の2のクルマを電動化し、2030年までに約90%のEVをラインナップすると発表したことに続くものだ。Renaultと日産自動車は2021年、より緊密なパートナーシップを否定し、Renaultは両社が「効率的であるために合併は必要ない」と述べている。今回の新プラットフォームと協力関係の発表では「スマートな差別化」を実現する共通プラットフォームがそのカギを握ることになりそうだ。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Nissan

原文へ

(文:Steve Dent、翻訳:Yuta Kaminishi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。