ロボットを使った詐欺広告業者の業務は止められるが、その罰が非道さに見合わない現実

ロボットコーラー(ロボットを使い広告電話をかける業者)との戦いは始まったばかりであり、規制当局の対応は速いものとはいえない。だがこのたび連邦取引委員会(FTC)は数十億回にも達する望まない電話を行ってきた、数社の主要業者の営業を停止させた。それらのものの一部はさらに詐欺行為も行っていた。しかし、このケースで回収できる罰金は驚くほど少ない。だがそれには理由がある。

米国時間3月26日の発表で、FTCは4つの業者の業務を停止したことを述べている。NetDotSolutionsは、カスタム大量ダイヤルプラットフォームを使ってあらゆる種類のマーケティングを行った。Higher Goals Marketingは、偽りの債務救済を約束した。Pointbreak Mediaは、支払いをしないとGoogle検索結果に出ないようにすると企業を脅迫していた。Veterans of America(別名Saving Our Soldiers、あるいはAct of Valor)の創業者Travis Deloy Petersonには、地獄で特別席が用意されるにちがいない。獣医師たちに車両を寄付するという名目で人びとに詐欺を働いたのだ。

彼ら全員を合わせた電話回数はこれまでに合計20億回ほどに及んでいる、これは毎月50億回以上電話が行われている現在の状況の中では、それほど多いものには思えないかもしれないが、今は僅かな減少だけでも有り難いのだ。

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私たちにとってそれほどうれしくないのは、今回課されるペナルティの規模だ。今回の事案では合計2400万ドルの罰金裁定が下されたが、実際に詐欺師たちが支払う金額はおよそ3〜400万ドル程度になるだろう。500万ドルを超える額の裁定を受けた詐欺師の1人はたった1万8332ドルを払っただけで支払いを保留している。しかもこの金は彼が新品のベンツを売り払った代金なのだ。

私はFTCのスポークスマンに対して何故そうなるのかと尋ねた。彼らは、裁定額は本質的に消費者への害の程度によって決まる上限であると説明したが、ほとんどの場合、被告たちはそうした上限に近い現金もしくは資産を持っていない。回収できるのは彼らが持っているだけの資産であり、しばしばそれはそれほど大きな金額ではない。

特にフロリダ州で、彼らは活動を行っていたが、当地のHomestead規則に従えば、その家を罰金の不足額を埋めるために差し押さえることはできない。すなわちフロリダ州を拠点とするロボットコール詐欺師たちは、1000万ドルを稼いでもそれをすべて自宅につぎ込んでおけば、FTCもしくは他の執行機関が来た際に、自分には何の資産もないと言い張ることが可能なのだ。これは、実際にフロリダ人である上記の「私は18軒の豪邸と2017年型のメルセデスCLSしか持っていない」人物に当てはまるケースだと思われる。

FTCは、被告の資産を調査してリストアップするために多大な努力を払っているものの、そこにないものを押さえることはできない。Dishのような大企業の場合には、昨年裁定が下された1億8000万ドルは、最終的に全額支払われることになるかもしれない。しかし個人や零細で夜逃げをしかねない会社の場合はそうした資産を突き止めることはかなり困難である。

それでも、執行機関は被害を受けた消費者に返すために、かなりの量の現金を集めるので、ここでも同じような措置はとられるだろう。だが、単に電話がかかってきて迷惑しているというだけでは、10セントさえも受け取ることはできない。それがこれらの会社の1つからの電話であり、実際に詐欺を働いた、あるいは詐欺を働こうとしたことを示す必要がある。

さらに重要なことは、問題を起こした人物と企業は直ちに業務停止させられ、関係した人びとは再びこのようなことをすることを禁じられるということだ。消費者救済がFTCの目標であり、もし彼らが訴訟を起こすことを選択していた場合には、解決には数年かかる可能性があっただろう。その場合には企業とコールネットワークは運営が続き、法に反する秘密のレイヤーが形成されていたことだろう。

FTCのサイトに行けば完全なリリース文書と命令文書を読むことができる、だがそのことによって、こうしたろくでもない連中がのうのうと生きていることを知って、頭に血がのぼるかもしれないことは警告しておく。

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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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