ニューヨーク、サンフランシスコ、ニューオーリンズなどの都市では、屋内で食事する人に新型コロナウイルスのワクチン接種義務を制定する動きがある。そこで、オンラインレストラン予約サービスのOpenTable(オープンテーブル)は、レストランがワクチン接種のチェックを効率化できる機能の展開を開始する。同社は米国時間8月23日、生体認証セキュリティ企業であるCLEAR(クリア)との提携を発表し、ユーザーがデジタルワクチン接種証明カードを作成できるようにした。
CLEARは、ユーザーが目と顔をスキャンして本人確認を行うことで、空港のセキュリティを迅速化するサブスクリプションサービスで会社を築いてきた。しかし、新型コロナウイルスの感染流行が始まって以来、同社はユーザーにワクチン接種の証明を提供する無料サービス「Health Pass」を開始した。OpenTableは9月から、CLEARのデジタルワクチン接種証明カードとの連携を、iOSおよびAndroid向けアプリで展開する。
OpenTableのアプリで、ワクチン接種が必要なレストランを予約すると、確認画面の上部にCLEARのバナーが表示される。このバナーをクリックすると、CLEARのデジタルワクチン接種証明カードを作成できる。そして食事の際には、予約確認ページの「CLEAR」ボタンをクリックして、デジタルワクチン接種証明カードを呼び出すことができる。OpenTableによれば、同社が個人の健康情報やワクチン接種証明カードのデータを保存することはないとのこと。
CLEARは、ユーザーのワクチン接種情報を照合できる、ワクチンプロバイダーや薬局のネットワークを持っている。あるいはユーザーが、ニューヨークやカリフォルニア、またはWalmart(ウォルマート)でワクチンを接種した人に提供されるSmart-QRコードをスキャンしてもよい。これら2つの方法ではデジタルで検証される一方で、CLEARはユーザーが米国疾病予防管理センター(CDC)の物理的なワクチン接種記録カードから情報をアップロードすることも受け付けているが、この方法では検証レイヤーが追加されていないため、確実性は高くない。
「CLEARは、画像認識を用いてCDCのワクチン接種記録カードの写真であることを認識し、不正行為に対するセキュリティレイヤーを設けています。このプロセスを通すことで、CLEARのデジタルワクチン接種証明カードはユーザーの認証済みIDと直接結びつくことになり、不正行為の抑止に役立ちます」と、CLEARの担当者は、TechCrunchの取材に語った。このアプリを利用するには、政府が発行した身分証明書をアップロードし、自撮りした写真を送信して本人確認を行う必要がある。
これらのデジタル認証は、偽のワクチン証明カードや他人のカードの写真を使おうとする人たちの不正を防ぐ効果があるだろう。特に、レストランの中には、ワクチンカードと身分証を照合しない店もあるからだ。ニューヨークでは「Excelsior Pass(エクセルシオール・パス)」というアプリを使って、健康記録をもとにワクチン接種の有無を確認しているが、他に同様の技術を導入している州はハワイだけだ。このようにワクチン接種証明の提示を強制することは、多くの州で禁止されている。
今月初め、OpenTableはレストランのプロフィールページに、安全対策として「ワクチン接種の証明」を追加できる機能を導入した。そして個々の食堂は、客が各レストランやレストラングループの入店条件を満たしていることを「認証」することができる。つまり、お気に入りのタコス屋でワクチン接種の証明をしておけば、次回からワクチン接種証明カードを提示する必要がなくなる。これは個人の客にのみ適用されるもので、団体客には適用されない。なお、OpenTableには最近、ダイレクトメッセージ機能が追加され、食事制限の変更をレストランに伝えることもできるようになった。
関連記事:米国のワクチン接種証明アプリ、倫理面でのリスクが潜む中で企業による開発が進む
画像クレジット:OpenTable
[原文へ]
(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)