ワールドカップにアメリカも熱狂 ― 先週のUS注目記事


いきなりあまりテクノロジーに関係のない話題で恐縮だが、サッカーには無関心と思われていたアメリカでも、ワールドカップは大きな話題になっているようだ。スポーツチャンネルESPNをウェブやスマホで見られる、WatchESPNが同時視聴者数170万人を記録して、スーパーボウルを越えた

グループリーグのアメリカ対ドイツ戦の前半、ESPNはユーザーをさばききれなかった。番組を見るためにはユーザーのケーブルテレビ会社との契約を確認する必要があり、そのためにアクセスが困難になったのではないかと、Matthew Panzarino記者は予想している。170万というのは、テレビには遠く及ばないものの大きい数字だ。スーパーボウルでFox Sports Goサービスは、第3クォーターにブロンコスがシーホークスを圧倒した時の、同時視聴者数110万人が最高だった。もちろんこれは、Foxの新しいストリーミングサービス対WatchESPNの比較ではない。ワールドカップが昼間に行われたため、テレビで見るよりストリーミングを利用する人が多かったことも大きく作用している可能性がある。記事のアップデートに、Foxのデジタル事業責任者から、スーパーボウルの配信はモバイルでは見られなかったというコメントがあり、それも大きな要素だろうと書かれている。

さらに、別のストリーミングサービス、Univisionを見ていた視聴者が63万人いた。両者合わせると約245万人になる。ソチ・オリンピックのアイスホッケー、アメリカ対カナダ戦のピーク視聴者数は85万人、March Madness[3月の狂乱]と呼ばれるNCAA大学バスケットボール選手権が推定60万人だった。

ちなみに、ライブストリーミング中継の最高記録は、フェリックス・バウムガートナーの成層圏スカイダイビングで、800万人が見た。ストリーミングがどこまで伸びるか気になる人のために書いておくと、スーパーボウルのテレビ視聴者数は、最大1.115億人だ。

BRB, Football” というタイトルの記事が、なぜか2つ続けて掲載された。ライターはMatthew Panzarino編集長とMatt Burns記者だが内容は全く同じ。何かの間違いかと思ったが、実は “BRB” とは I’ll be right back.[すぐ戻ります]の略。要するに編集部もワールドカップに熱中していたわけだ。ニューヨークでは、アンドリュー・クオモ州知事が、なんと「昼休みの1時間延長」を公式に許したそうだ。

アメリカの三大スポーツと言えば、アメリカンフットボール、バスケットボール、アイスホッケー。サッカーは、自国でワールドカップを開催した時でさえ国民の関心は薄かったと言われていたが、どうやらそれが変わりつつあるようだ。

アメリカは0-1でドイツに敗れたが、共に決勝トーナメントに進んだと記事は結んでいるが、その後1回戦でベルギーに延長の末惜敗。しかし、それに触れたTechCrunch記事はなかった。

IT業界を支えているのはリアルハッカーたち

Meet The Real Hackers Of Silicon Valley (And NYC, LA, And London)

IT業界と聞くと、FacebookやMicrosoft等、様々な企業やブランド名を思いだすだろう。あるいはフード付スウェットを着たMark Zuckerbergや、Google GlassをかけたSergey Brin等のキーパーソンを思い浮かべる人もいるかもしれない。

しかし、実際のIT業界は、著名なCEOたち以外に毎日働く何千人もの人々から成っている。プログラマー、デザイナー、製品リーダー等。そんな人たちに光を当てる一連のサイト、”Hackers Of” シリーズがある。

立ち上げたのは、ニューヨーク大学を卒業したばかりのDani Grantで、専攻はコンピュータ・プログラミング。

今年初めのHackers of NYを皮切りに、Hackers of Silicon ValleyHackers of LA、およびHackers of Londonを立ち上げ、シカゴとシアトルのサイトも開発中だ。現在Grantは、シリコンバレー版を担当しており、他の都市は別のテク系ライターが書いている。

サイトはシンプルながら、本人たちの美しいポートレートとインタビューから引用を含め、テク業界で働く人たちを紹介している。上の写真は、Hackers Of NYに掲載されたフロントエンド・デベロッパーのAlexandra Qin。bloglovinのフロントエンドをデザインした。

みんなでCardboardを作ろう

先日のGoogle I/Oカンファレンスのおまけとして配られた、ダンボール製VRゴーグルの”Cardboard” は、メインのおみやげ(Android Wearウォッチ)に勝るとも劣らない人気と話題を呼んでいる。

カンファレンス参加者限定品のCardboardをどうしても欲しい人のために、20ドルで買えるCardboardクローンが登場した。作ったのはサンフランシスコのDodocaseで、19.95ドルの非公式Cardboardキットを販売している。

Cardboard制作のウラ話も記事になっている。

GoogleがCardboardを作った理由は、Oculus Riftを法外な価格で買ったFacebookへの当てつけか、はたまた買収できなかった嫉妬からか。しかし、パリのGoogle Cultural Instituteで働くプロジェクトの創設者、David Cozが真相を話してくれた。「私は大のVRファン」だとCozは言い。ここ数年この分野が飛躍的に進歩していることから、VRビュワーを「最もシンプルかつ安価に」作る方法を考えていた。

プロジェクトがスタートしたのは6ヵ月ほど前で、CozがそれをGoogle本社のリサーチサイエンティスト、Christian Plagemannに見せた結果、彼の20%プロジェクトになり、会社はこれを本格的なプロジェクトとして進めることになった。

ダンボールを使った理由は、簡単にプロトタイプが作れることと、見た目をシンプルにしたかったからだとCozは言う。Googleは、誰もが「はさみとホチキスで改造する」ことを期待しているとのこと。

Googleは、Cardboard用開発ツールキットを提供しており、ペーパーハードウェアはシンプルなだけでなくオープンソースなので、近いうちに他の会社から数多くのCardboardアプリやビュワーが出てくるかもしれない。

他にも似たようなスマホベースのVRビュワーを試みた会社はあるが、Googleの持つリーチとデベロッパーエコシステムは膨大だ。


Natasha Lomas記者の友人で英国のITジャーナリスト、Andy Limは、はるか昔2009年10月に、DIYのVRビュワーを作っていた。Google Cardboardの5年前だ。

上のビデオは37万ビューを記録し、Popular Scienceの書籍The Big Book of Hacksにも掲載された。

Momentは、 あなたのiPhone中毒度を教えてくれる


「スマホ中毒」という言葉はよく聞くが、新しいiPhoneアプリのMomentは、それが真実かどうかを確かめようとしている。Momentは、毎日のiPhone使用時間を追跡して一日当たりの上限をユーザーに決めさせ、その限界に近づくと「時折り小突いて」知らせてくれる。作者のKevin Holeshは、自分のデジタル中毒がどれほどリアル世界の人間関係に影響を及ぼしているかに気付き、これを開発したという。フィアンセとの生活に支障を来たしていると感じた彼は、iOSデベロッパーとして、解決法を自ら作ることにした ― もちろんiPhoneアプリで。

このアプリは積極的に使うものではなく、「見えないようにデザイン」されている。つまり、一度設定したらアプリを開く必要はなく、時折知らせてくれるだけでいい。とは言うものの、毎日の使用時間が気になって、ついついアプリを立ち上げてしまうかもしれない。

Holeshが友人と実験したところ、殆どの人が自分のiPhone使用時間を50%は低く見積っていたそうだ。

GoPro IPO後に株価30%高

6月26日にIPOを果たしたGoProは30%以上の高値をつけた。24ドルで始まった株価は、33ドル近くまで上がった。

GoProは、ハードウェアに加えて、メディア会社にもなる計画だが、今年度中には本格的収益を生まないとS-1資料で言っている。

最近上場した、あるいは上場予定の企業の中でも、GoProは収益性が高い。上場後最初の決算報告が楽しみだ。

Nob Takahashi / facebook


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。