不動産売買(まだディスラプトされてない業界)のUberやAirbnbがそろそろ現れてもよい頃合いだ

80年代には家を探すことがどれだけ大変だったか、今の人には想像すらできないだろう。ここ数年間で、ZillowやTrulia、Redfinなどのサイトが登場し、家を買いたい人や売りたい人に大量の情報を提供してくれるようになった。条件に合った物件が出ると、携帯に通知がくる。それはたぶん、不動産屋さんがその物件を教えてくれるよりも早いだろう。競争の激しい市場で情報が早くアクセス性が良いことは、技術にあまり詳しくない買い手にとってとくに有利だ。比較も簡単にできるから、その物件が高すぎることや、どれぐらい値引きしてくれそうかなども、しろうとに分かるようになった。

以上はとてもすばらしいことであり、今ではRedfinのモバイルアプリなしで家を探すことなど、とても考えられない。でも、不動産スタートアップにできることは、ここまでなのか? ZillowやTruliaがIPOしたということは、不動産情報の世界でスタートアップが大成功できることを示している…ただし両社とも今は、賃貸を重視しているが。しかしいずれにしても現状では、不動産スタートアップのやることは、ユーザにより多くの情報を提供し、不動産屋に見込み客を提供することに、もっぱら限られている。でも本当なら、今よりももっと多くのスタートアップが存在して、不動産市場に大改革をもたらしているべきではなかったのか。

シアトルのRedfinもIPOするという噂があるが、でも多くの競合他社と違って同社は、“テクノロジを活用した不動産仲介企業”を自称している。そこで同社には、不動産屋が地域のMultiple Listing Service(マルチリスティングサービス)から得るのと同じ種類の情報をユーザに提供できる、というアドバンテージがある。ユーザの多くは、RedfinはZillowと横並びで競争していると見ているようだが、実際には同社は各地の不動産屋と組んで、ユーザの物件下見をスケジュールしたり、購入プロセスの一部始終を介助したりしている。しかしそれでも、結局のところ、RedfinのWebサイトは要するに不動産屋さんのための高度な見込み客生成ツールであり、ごく限られた市場で人気はあっても、各地のCentury 21やPrudential、Windermereなどの事業所を近いうちに廃業に追い込むほどの、強力な業態を確立してはいない。

では、不動産における本当のディスラプションとは何か? スタートアップたちはこれまで、商用物件と賃貸アパートだけを扱ってきたが、しかし非商用の私的物件となると、今でも60年代に家を買った人たちが経験したのと同じ売り方しかない。不動産屋さんに頼んで手数料を払う(売り手は小額を直接、買い手は買値に含まれて)。でも、その家や近隣については、自分の方がよく知っているのだ。しかしその家の鍵は不動産屋が持っていて、オープンハウスでないかぎり、不動産屋を介するしかその家の中を見る方法はない。

不動産の売買は相当複雑だ。それを取り仕切る不動産屋の言動が、なお一層、それを大仕事のように思わせる。でも、それをもっと軽く易しく透明にしてくれるスタートアップはどこにいるのだ? たしかに規制の多い業界で、奇妙な慣習もある。でもタクシーは(規制と慣習だらけの業界だが)Uberなどのスタートアップによって見事に変わりつつある。また、一時的な貸し家や貸間は、Airbnbががんばっている。Lockitronみたいなものがあり、またネットからの監視も可能な現代において、少なくとも物件の下見ぐらいは、もっと簡単にできてもおかしくない。

もちろん、良質な不動産屋さんはたくさんおられる。でも長期的に見ると、不動産屋は旅行代理店と同じ道をたどるだろう。特殊な状況向けには高度なプロフェッショナルが残るだろうし、また、ネットを使って自分でやるより専門家に任せたい、という人もいる。でも、意欲的なスタートアップたちによって旅の予約の仕方ががらっと変わったように、不動産もいずれは、変わるに違いない。

しかも、ここには大きな機会がある。誰かが、旧態依然たる業界に変革の大地震をもたらすことを、ぼくは期待してやまない。

写真クレジット: Images_of_Money

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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