中国のBYDが「電気自動車のCPU」とも呼ばれるIGBTの生産で120億円相当を調達

米国の投資家であるWarren Buffett(ウォーレン・バフィット)氏が投資している中国の自動車大手BYD(比亜迪)は、電気自動車の生産で中国を自給自足にさせようと急いでいる。米国時間6月15日、同社は投資公告書面で半導体部門のBYD Semiconductorが8億元(約120億円)のシリーズA+を確保したことを発表した(BYDリリース)。

BYD Semiconductorの中核的製品である絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)は、EVの電力管理システムにシリコンコンポーネントで、その開発競争が問題となっている。この電子スイッチは電力損失の低減しと信頼性向上させるため業界の専門家たちは「電気自動車のCPU」と呼んでいる(蔚来記事)。EVの部品の中でバッテリーに次いで2番目に高価な部品で、市場調査によると総コストの7〜10%を占めている(CCF-GAIR2020記事)。

BYDはドイツの半導体大手であるInfineon Technologies AGと激しく争っており、2019年時点で中国の電気自動車で使用されるIGBTの58%がInfineonの製品だった。この年のBYDのシェアは、Citic Securitiesの記事によると18%だった

IGBTの生産には明るい未来があり、現在ブームになっているEVだけでなく、エアコンや冷蔵庫、高速列車など、その他の高エネルギー用途でも広く利用されている。IGBTの世界市場は2020年で100億元(約1520億円)近いと推計されている。同じくCiticの記事によると、2025年にはその4倍の400億元(約6070億円)になる。

この特大サイズの投資のわずか2カ月前には、深圳で上場しているBYDがそのチップ部門を分離し、独立の企業として上場した。投資家たちからの応募超過のため、この新子会社は19億元(約290億円)のシリーズAの直後に新たにA+のラウンドを調達した。

2回のラウンドの結果、親会社のBYDがBYD Semiconductor株の72.3%を所有することになり、同社の時価総額は102億元(約1550億円)となった。

IGBTを独自に開発できる唯一の中国企業である同社は、多方面から有力な投資家を集めている(CHINA SECURITIESリリース)。A+ラウンドにおける同社の投資家はSequoia Chinaを筆頭にシリーズAに参加した国営のCICC Capital、韓国の複合企業SK Group、スマートフォンメーカーのXiaomi(シャオミ)、Lenovo Group、ARM、中国最大の半導体ファウンドリSMIC、中国の自動車メーカーの共同投資となったSAICとBAICなどとなる。

BYDが電子部品の製造を始めたのは1995年で、主に自動車と再生可能エネルギーの分野に拡張してきた。本社は深圳にあり、同市の電動バスとタクシーのすべてに電力を提供している。同社はまた、電気自動車に対する政府補助の衰退にともない、海外市場への拡張も目指している。

画像クレジット:BYD’s new design center

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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