中国のGeek+が倉庫と物流向けロボット開発のために1億5000万ドルを調達

ロボットならびに人工知能の一般的な応用の中で、もっとも直接的に役立っているもののひとつは、倉庫やそのほかの環境の中での無人ロボットの利用である。そこでは荷物を整理したり、物をA地点からB地点まで移動したりといった、繰り返し作業に関わる人間の作業が置き換えられている。さて、このたび北京に拠点を置くロボットスタートアップのGeek Plus(別名Geek+)が、製品開発、販売、そしてカスタマーサービスに投資して成長の機会を掴むために、1億5000万ドルを調達したことを発表した。

Geek Plusによれば、これは物流ロボットスタートアップが行った調達ラウンドの中で過去最大のものであると言う(実際、PitchBookによれば、これに先立つ最も多額の物流用ロボット向けラウンドは、ボストンから出てきたLocus Robotics向けの、2500万ドル強のものだった)。

今回のラウンド(シリーズB)はWarburg Pincusによって主導され、Volcanics VentureやVertex Venturesなどの他の株主たちが参加した。同社の評価額は公表されていないが、私たちは質問を送っているので、もし何かがわかったらお知らせする予定だ。Warburg Pincusは、2017年に行われた前回の6000万ドルのラウンドも主導した。今回でGeek Plusは、2015年の創業以来およそ2億1700万ドルを調達したことになる。

この大規模なラウンドの理由の一部は、同社によれば、事業が順調に成長していて、今年は5倍の成長が見込めること、そして海外はもちろん、中国国内の巨大な市場に資本投下を行いたいからだ。

これまで、Geek Plusは、中国香港台湾日本オーストラリアシンガポールヨーロッパ、そして米国の100以上のロボット倉庫プロジェクトに5000台以上のロボットを供給してきたと語っている。現在の顧客には、AlibabaのTmallやアジア発のVIP.comなどがある。

「Warburg Pincusや他の株主たちによる投資は、Geek Plusの成果と、Geek Plusの将来性に対する、全幅の信頼を示すものです」と発表で語るのは、Geek Plusの創業者兼CEOのYong Zhengである。「AIとロボット技術を通じて、さまざまな業界の強化に力を入れていきます。今年はビジネスを5倍以上成長させることができると思います…引き続き顧客中心であり続けます。そしてAIならびにロボットテクノロジーをサプライチェーンニーズへシームレスに統合することを通して、顧客の皆さまのために価値を創造して行きたいと考えています」。

独自の物流オペレーションを改良したり、他から使われる独立したビジネスとして構築したりするために、物流ロボットを掘り下げ続けている他の多くの企業がある。それらの企業はGeek Plusにとって、競合相手であり、潜在的なパートナーであり、あるいは買収してくる相手かもしれない。

そうしたリストのトップに位置するのはおそらくAmazonだろう。同社は2012年に自身の倉庫ロボットを開発するために、ロボットスタートアップのKivaを7億7500万ドルで買収した。それ以降、Amazonはロボットオペレーションを広いユニットに拡大してきた。それはAIとロボットを倉庫オペレーションに導入したいと考える他の企業のニーズを満たすためのロボットを、AWSやフルフィルメントのような基本サービスのやり方に従って、製品化することが可能だろう。

一方、InViaFetchは、最初から第三者に販売するための技術を構築することに集中している2社であり、それぞれサービスとしてのロボット技術とロボットそのものを扱っている。

こうしたロボットの中には、倉庫から出て、ラストマイル配送シナリオに向かっているものもある。こうしたより広い市場全体の価値を100億ドル規模と見積もる者もいる。

Geek Plusは、これまでに、ロボットを利用すると思われる様々なシナリオをカバーする製品を開発している。例えば人間によるピックアップを助けるシステム、整頓し移動するシステム、そして無人フォークリフトなどだ。

「昨年Geek+に初めて投資して以来、私たちはGeek+の急速な成長、特にそのビジネスの拡大と国際化に対して大きな感銘を受けて来ました」と語るのはWarburg PincusのエグゼクティブディレクターであるJericho Zhangだ。「テクノロジーはサプライチェーンに革命をもたらしています。Geek+は、従来のサプライチェーンで苦労していたポイントを解決するために、ロボット、ビッグデータ、AIなどの最先端技術を組み合わせることができる、先進的なテクノロジー企業の1つなのです。より多くのデータを蓄積し、アルゴリズムの最適化を続け、他の産業に拡大して行くにつれて、Geek+がさらにこの分野の革命と革新をリードし続けてきれるものと、私たちは確信しています」。

全体として、昨年ロボット業界には多額の投資が何件も見られた。製造業向けに力を入れているBrightMachinesは、10月に1億7900万ドルを調達した。これまでで最も大きかったロボットスタートアップのベンチャーラウンドは、Ubtechの8億2000万ドルである。これもまた中国の消費者ならびに教育向けロボットスタートアップであり、調達は今年の5月に行われた。

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(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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