中国のアプリが、西洋諸国のGoogle PlayとApp Storeのランキングでトップに輝くのをときどき目にする。それはセルフィー画像加工やカジュアルなビデオゲームなど、世界にアピールしローカライゼーションの手間をそれほど伴わないユーティリティツールだったりする。しかし大半は取るに足らないものでありがちだ。
海外のチャートのトップに躍り出た最新の中国アプリはTikTokの運営会社ByteDance(バイトダンス)からのものだ。CapCutというビデオ編集アプリではユーザーはスティッカー、フィルター、エフェクトを加えられるだけでなく、Ken Burnsエフェクトのように作用するズーム機能の使いやすいグリーンスクリーンファンクション、その他にも多くの機能を搭載している。そのためいつでもアクセスできるFinal Cutのようなアプリになっている。
ユーザーは使用する音楽の代金を心配する必要はない。CapCutはライセンスを取得しているサウンドクリップのライブラリーを備えていて、ユーザーはコンテンツをおもしろくするのにそれらを使うことができる。TikTokは2020年ミュージシャンをスカウトしたり、大手レーベルと契約を結んだりといった取り組みを通じて音楽ライブラリーの拡充を図ってきた。
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ByteDanceは最初にサービスを無料提供することでかなりのユーザーベースをひきつけ、そしてユーザーがプロダクトを頻繁に使用するようになった後に収益化モデルを模索するという手法に熟達している。CapCutでも同じアプローチを取っているようだ。
CapCutの中国における姉妹アプリJianyingはDouyin(TikTokの中国版)ユーザーの間ですでに成功している。そして現在、そのパターンが中国外で繰り返されている。TikTokユーザーは、何回かスマホをタップするだけでビデオをスムーズでプロの作品のようなものにすることができるCapCutを利用している。
調査会社SensorTowerによると、CapCutは米国時間5月21日以来、米国のApp Store無料アプリランキング第1位で、米国Google Playでは記事執筆時点で第9位だ。App Annieによると、世界33カ国で無料iOSアプリランキング第1位となっている。
CapCutはApp StoreとGoogle Play合わせて世界で計2億5000万回超インストールされ、うち950万回近くが米国のアプリストアでのものだとSensorTowerは指摘する。
CapCutの人気ぶりは中国の写真編集アプリ「Meitu」を彷彿とさせる。Meituは中国ではセルフィー画像加工と同義語になったくらい人気で、しっかりとした忠実な国外ユーザーのベースも持っていた。CapCutとMeituの違いは、CapCutの人気が姉妹アプリTikTokのグローバルな優位性の上に築かれているのに対し、ユーザーの使用頻度を増やすための写真ツールソーシャルネットワークを展開しようというMeituの初期の試みは実現することはなかった。
CapCutはおそらく、クチコミで人気となるByteDanceの最後のアプリではない。TikTokの広大なコンテンツ帝国はビデオ編集、あるいはクリエイターが収益を上げるため、そしてユーザーがお気に入りのインフルエンサーおすすめのプロダクトを購入するeコマースサービスなど、さらに派生していくだろう。
カテゴリー:ソフトウェア
タグ:ByteDance、TikTok、動画編集、App Store、アプリ
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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi)