今後、成功のために必要なプログラミングなどのスキルを教えるインドのBrightChampsが約58億円調達

インドのEdTechスタートアップBrightChamps(ブライトチャンプス)はK12(幼稚園から高校3年生まで)の学校から取り残された学習のギャップをなくそうとしている。このほど同社は、新たな調達ラウンドで5100万ドル(約58億円)を獲得したことを発表した。1年前にゴア州拠点の同社が10カ国以上への進出を目標に開業して以来、総調達額は6300万ドル(約72億円)になった。

Premji Investがリードしたこの調達ラウンドで5億ドル(約568億円)近い評価額を得た同スタートアップは、東南アジア、米国、カナダを含む10カ国以上で子どもたちにプログラミングなどのスキルを教えている、とBrightChampsの共同ファウンダーでCEOのRavi Bhushan(ラヴィ・ブーシャン)氏がTecnCrunchのインタビューで語っている。

自宅で教育を受け、不動産ポータルのPropTigerで最高技術責任者を務めたブーシャン氏は、世界の学校はこの時代で成功するために重要なスキルを子どもたちに教えていないという。「これはインドの問題ではありません。世界中の学校が、Microsoft Wordでテキストのスタイルを変更する方法をテクノロジーの名目で教えていません」。

数十万人以上の登録生徒を集めて黒字化を達成し、年間経常利益が1000万ドル(約11億円)に近づいている同社は「『多人数教育』の武器を作ることで破壊の波をリードして、インドを最新デジタル教育の最大輸出国にしようとしています」とGSV Venturesのマネージング・パートナー、Deborah Quazo(デボラ・クアゾ)氏が声明で語った。GSVはTechCrunchが報じた同社の以前のラウンドをリードした。

全世界で1000人以上の教員がBrightChampsに参加して子どもたちを教えている、とブーシャン氏は言った。「子どもたちは、自分の好きな現地語を選んで学習することができます」と彼は言い、現在提供内容の拡大を進めていることを付け加えた。近くカリキュラムに財政分野を追加する予定だという。

TechCrunchが入手した以前の投資家向けプレゼンテーションのスライド。出資者の中にはFlipkartの共同ファウンダーであるBinny Bansal(ビニー・バンサル)氏の投資会社およびBEENEXTもいる

ブーシャン氏は、スタートアップのこれまでの成長はすべて既存資源によるもので投資家から調達資金は使一切っていないと語った。「私たちは顧客から得た資金のみで成長しています」と彼は言った。

BrightChampsは過去1年間、インドで最も話題になったスタートアップであり、この国最大級のEdTech巨人から買収提案があったという情報もTechCrunchは掴んでいる。

先週、TechCrunchが調達ラウンドを確認するために接触したあと初めて話した時、会社は事業内容と資金調達について2020年発表するつもりだったが、国がパンデミックと戦っている時に節目を祝いたくなかったので延期したと語っ。

ブーシャン氏は、BrightChampsに寄せられた買収提案についてはコメントを拒んだ、スタートアップは非常に長期的なビジョンで作られており、短期的利益は目指していないと語った。「教育は、おわかりのように、私の子ども時代からの情熱なのです」と同氏は付け加えた。

BrightChampsが事業展開しているカテゴリーには大きな空白地帯がある、と新規資金の使い道を尋ねられたブーシャン氏は語った。「1つの分野は、子どもたちが相互に学び合う可能性です。いくつか実験も終えています。次はピアツーピア体験を提供するつもりです」と彼は話し、最終的に子ども向けStack Overflow(スタック・オーバーフロー)のようなプラットフォームを作りたいと付け加えた。「オリンピックやテック・ハッカソンを主催することも考えています」と彼は言った。

BrightChampsは、共通のミッションと感性をもつ会社を買収する機会もうかがっている。

「BrightChampsは開業から1年以内に、分野で最も成長の早いEdTech会社の1つになりました。世界に広がる人材を活用してパーソナライズされた体験を提供し、学習方法を超差別化するその独自の能力によって、BrightChampsはデータの力と学習を組み合わせることで結果を差別化できることを証明しようとしています」とPremji InvestのマネージングパートナーであるT Kurien(ティー・クリエン)氏が声明で語った。

画像クレジット:BrightChamps

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。