新型スイッチこと「Nintendo Switch(有機ELモデル)」は従来モデルの液晶画面にかわって、より色鮮やかでコントラストの高い有機ELディスプレイを採用しています。しかし、あらゆる有機ELパネルが避けて通りがたいのが「焼き付き」です。この点につき、任天堂がその可能性を認めつつ、対策を講じているとの声明を出しています。
米メディアCNETは、有機EL技術が一般的に抱える問題として「焼き付き」があると指摘しています。すなわち「焼き付きとは、携帯電話のナビゲーションボタンや、テレビのチャンネルロゴ、ニュースティッカー、スコアボードなど、画像の一部が他の画面に切り替わっても、幽霊のように背景として残ってしまう」と説明されています。
有機ELでは素子そのものが発光するため、長時間同じ画面を表示し続けた場合に発光の明るい部分の素子がしだいに劣化し、光量が落ちてしまう「焼き付き」は原理的に完全には避けられません。アップルも2017年、iPhoneに有機EL画面を初採用した当時、焼き付きを認識した上で、その低減において業界最高を目指したと述べていました。
さて、CNETが新型スイッチの焼き付きについてコメントを求めたところ、任天堂から次のような回答が寄せられたとのことです
「有機ELディスプレイは可能な限り長い寿命を目指して設計されていますが、長時間にわたって静止した映像を表示した場合、画像の滞留が発生することがあります。しかし、Nintendo Switchに標準で搭載されている、画面が明るくなりすぎないようにするオートブライトネス(自動輝度調整)機能や、短時間でスリープ状態になるオートスリープ機能などを活用することで、画面を維持するための予防策を講じることができます」
海外レビューサイトのrtings.comは、実際にテレビの焼き付きテストを行い「静止領域のない様々なコンテンツを見るほとんどの人が、有機ELテレビで焼き付きの問題を経験するとは思わない」との結論を下しています。つまり、テレビ番組や映画では止まっている部分があまりないため、焼き付きは起こりにくいというわけです。
が、CNETはゲーム機であるスイッチでは、隅に表示され続けるスコアやHPバー、残り弾数やステータスアイコンなどの静的な要素が必ず存在しており、これらを長時間表示したままにしておくと焼き付きの原因になる可能性を指摘しています。実際「スコアやメーカーロゴが画面に貼り付いている」状態は、液晶テレビ以前のブラウン管に表示していた業務用ゲームにもよくあったことです。
とはいえ、何時間も何日も点けっぱなしのテレビと違い、小まめに電源をオフにされやすい新型スイッチでは、焼き付きの恐れはそれほどないとも予想されます。いずれにせよ、今年10月8日に発売されてから、様々なユーザーからどのような感想が寄せられるかを待ちたいところです。
(Source:CNET。Engadget日本版より転載)
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