企業がデータウェアハウスからより多くの価値を引き出せるよう支援するHightouchが2.2億円調達

Hightouchは、企業内のさまざまな営業やマーケティングのツール全体に対して顧客データを同期するSaaSのサービスだ。このほど同社は、ステルス状態を脱して210万ドル(約2億2000万円)のシードラウンドを発表した。このラウンドをリードしたのはAfore CapitalSlack Fundで、これに多くのエンジェル投資家が参加した。

HightouchはY Combinatorの2019年夏季に参加し、今多くの企業が直面している顧客データの統合という問題の解決を目指している。

Hightouchの共同創業者であるTejas Manohar(テハス・マノハール)氏とJosh Curl(ジョシュ・カール)氏は、Segmentにいたとき、SnowflakeやGoogleのBigQuery、そしてAmazon(アマゾン)のRedshiftなど、データウェアハウスの成長を目にしてきた。顧客データのハブでもあるSegmentのデータも結局そこへ収まるのだ。企業がデータウェアハウスを採用すると、そこにはすべての顧客データが集まる中心的なリポジトリがある。しかし通常、その情報は分析のために使われるだけだ。そこでHightouchのチームは、Bessemer Venturesの投資家だったKashish Gupta(カシシュ・グプタ)氏とともに、データウェアハウスというトレンドにイノベーションを持ち込み、企業がそのすべての情報を活用できるようにしたい、と考えた。

HighTouchの共同創業者であるカシシュ・グプタ氏、ジョシュ・カール氏、テハス・マノハール氏

「データウェアハウスにはすべての顧客データがあるけど、それを分析目的だけに使っているのはあまり意味がない。たとえば企業にはさまざまな事業チームがあるのに、各チームがデータを有効利用していない。データは、マーケティングキャンペーンや製品の個人化にも活かせるはずだ。Hightouchは、そこに着目した。それは、データウェアハウスの爆発的な成長を見て、技術の進歩やアクセシビリティ、それに採用の面から着想したことだ。私たちの目標は、ウェアハウスが分析のためだけでなく、企業経営の多様なユースケースに奉仕できるようにすることだ」とマノハール氏はいう。

ビッグデータのデータウェアハウスプラットホームのすべてが、標準のクエリ言語としてSQLを使っていることが幸いした。それにウェアハウスのサービスはすでに、多様なデータの取り込みという問題を解決している。そこでHightouchは、テクノロジースタックのこの部分で苦労する必要がない。また、カール氏によると、Snowflakeやその競合企業はどこも、分析というユースケースを超えるものを提供していない。

画像クレジット:Hightouch

プロダクトとしてのHightouchは、ユーザーにSQLのクエリを作らせ、そのデータをさまざまなデスティネーションに送る。それはSalesforceのようなCRMシステムかもしれないし、あるいはMarketoのようなマーケティングのプラットホームかもしれない。クエリとデータは、事前にデスティネーションが期待する形式に変換される。

SQLクエリの名人がいる企業も少なくないが、Hightouchは一般社員がクエリを作れるために、GUIを提供している。そして中心的なユーザーはデータ担当チームであるため、彼らもクエリの結果をGUIで見て仕事をはかどらせたい。「ウェアハウスで使われているデータのモデルや集積構造がなんであっても、一般のビジネスユーザーがそれに十分アクセスできるようにしたい」とグプタ氏は説明する。

データがどのように利用されるかに関してはHightouch自身は関知しないが、現在、最も多いのはB2C企業だ。そこではマーケティングのチームがデータを利用することが多く、またB2B企業の営業も顧客データをよく利用する。

画像クレジット:Hightouch

「データウェアハウスの上にネイティブに構築されるツーリングという、新しいカテゴリーが生まれてきたと感じている。これまでは標準的なSaaSツールがまずあって、独自のデータストアがあり、ユースケースに応じて二次的なデータストアを管理していた。しかし我々が作ろうとしているのは、データウェアハウスに接続して、そのデータをさまざまな経営目的に利用するソフトウェアカテゴリーだ。それにはまだ正式の名前がないが、データエンジニアリングが向かう未来の方向性はそれだと信じている。SnowflakeやBigQueryのような今ある中央集権的なプラットホームに対して、構築されるものだ」とカール氏はいう。

またマノハール氏によると、新カテゴリーの名前は「ウェアハウスネイティブ」がいいのではないか、という。それが定着するか、見守ろう。

HightouchはY Combinatorのデモデーに参加した後に資金を調達したが、そのことはまともなプロダクトと市場適性を確立してから公表しようという話になった。現在の顧客はRetool、Proof、Stream、Abacusなどだ。そのほかの大企業も多いが、名前は公表できない。

関連記事:グーグルが英国のデータウェアハウス管理スタートアップDataformをひそかに買収

カテゴリー:ネットサービス
タグ:HightouchSaaS資金調達データウェアハウス

画像クレジット:zf L / Getty Images

原文へ

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。