作物のわずか30cm上空を自動飛行、農業ドローンのナイルワークスが8億円調達

ドローンを活用した農業ビジネスを展開するナイルワークスは10月10日、産業革新機構住友化学クミアイ化学工業住友商事全国農業協同組合連合会(JA全農)農林中央金庫を引受先とする第三者割当増資を実施したと発表した。調達金額は8億円だ。

2015年創業のナイルワークスは、「空からの精密農業」をビジョンに掲げる日本のドローン・スタートアップだ。農業用ドローン本体と、それを利用した生育診断クラウドサービスを稲作農家向けに提供している。

ナイルワークスはセンチメートル単位の精度でドローンを完全自動飛行させる技術をもつ。それにより、ドローンを作物から30cm離れた至近距離で飛行させて薬剤を散布したり、作物の生育状態を1株ごとに診断することも可能になるという。

ナイルワークスの農業用ドローンは、搭載したカメラの映像から田畑の形状を認識し、自動飛行によって薬剤を散布することができる。だから、ユーザーとなる農家に熟練のパイロットがいなくともドローンを農業に活かすことが可能だ。

大規模な農場では無人ヘリによって薬剤を散布するなどの取り組みもあるそうだが、それをドローンで行うことで、より小規模な農家でもシステマティックな農業を実践することが可能になる。

飛行1回あたりで散布できる薬剤の量は10リットルで、1ヘクタールまでの広さに対応できる。

ナイルワークスは、ドローン本体、タブレット端末、薬剤散布のスケジューリングなどを行える「農薬散布クラウドサービス」をセットとして年間100万円のレンタル料金で提供している。

同社は今回調達した資金を利用して、「自動化技術の安全性向上と生育診断技術の精緻化を進める」としている。

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TechCrunch Japan

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