オンライン上には、たくさんの写真のプリントサービスが存在する。ドットコム時代のShutterflyをはじめ、Apple、Amazon、Costoco、Walgreenなどの企業が同様のサービスを提供してきた。この分野では新しいスタートアップが常に誕生しつづけている ― 私たちが撮る写真の数を考えれば、それは当然だとも言えるかもしれない。スマートフォンやソーシャルメディアの急激な普及もそれを後押ししている。
写真のプリントサービスを展開するChatbookは現地時間2月7日、新たに1150万ドルを調達したと発表した。本調達ラウンドをリードしたのはAries Capital Partnersだ。これにより、同社の合計調達金額は2000万ドルとなった。
Chatbooksの競合となるBlurb、Mpix、Snapfish、Picaboo、Sincerely、Groovebookなどの企業は、ユーザーにデザインツールや高品質の写真用紙、そして最愛の人に写真を郵便で届けるサービスも提供している。しかしその一方で、Chatbooksはアルバムやホリデーカードなどの作成にフォーカスするスタートアップだ。ユーザーはChatbooksのアプリを利用することで、InstagramやFacebook、Google Photos、スマホのカメラロールに保存された写真をまとめたリアルなフォトアルバムを作成することができる。
Chatbooksには、1度きりのプリントサービスと会員制サービスが用意されている。会員制のサービスでは、自分のお気に入りの写真や、ある期間中にもっとも「Like」を獲得した写真を自動的にアルバム化してくれる。このアルバム作成サービスとして創業したChatbooksはその後、写真単体のプリントサービスやホリデーカードのプリントサービスへもビジネスを拡大している。同社はステーショナリー用品を開発するRifle Paper Co.などの企業と提供を結んでおり、そのパートナーシップによってユーザーに高品質の写真用紙や、クラシックなアルバムデザインを提供している。
夫婦でChatbooksを共同創業したNate Quigley氏とVanessa Quigley氏は、今回調達した資金を利用して国内外のマーケット向けに新しいプロダクトを開発していくと話している。彼ら夫婦には7人の子どもがおり、妻であるVanessa Quigley氏は、デジタルに保存された無数の写真からホリデーカードやアルバムに使う写真を選ぶのに相当な時間を費やしていた。そこでChatbooksのアイデアが生まれたのだという。
CEOのNate Quigley氏はChatbooksのサービスについて以下のように語る。「当時Vanessaが思いついたのは、手の中で写真を眺めることの重要性です。(中略)プッシュ通知もスクリーンもなしで、座りながら手の中にあるフォトアルバムを眺める ― 紙のページに写真があるからこそ、自分にとってそれがもっと重要なものになります。しかし、そこに到達するための手段をできるだけ簡単にしなければなりません。そうじゃなければ、人々は写真をプリントしなくなるからです。Chatbooksとは『大切なものを手放さない』ためのアプリなのだと私たちは思っています」。
最近では動画やGIFの作成がとても容易になり、それを簡単にシェアするための環境も整っている。そのため、Chatbooksは今回調達した資金を利用して動画を「フィジカルな資産」に変えることができるプロダクトを開発していく予定だ。それが具体的にどのようなプロダクトなのか、彼は詳細を明らかにはしなかった。ユタ州プロボに拠点をおくChatbooksでは、現在40人の正社員が働いている。本ラウンド以降、同社は人員の強化も図っていく。
Aries Capital PartnersのAndy Dent氏は、彼らがコンシューマー向けのサービスに出資することは稀だとTechCrunchに話してくれた。しかし、Chatbooksがもつ可能性を目の当たりにして、例外的に出資することを決めたのだという。「ご年配や親世代の人々、そして若い大学生にいたるまで、今では誰もが写真を撮る時代になりました。しかし、写真を撮り、それを店に持って行って現像していた時代に比べ、撮影する写真が多くなりすぎた現代では、写真そのものが持つ楽しみが失われているように思います。Chatbooksは、手頃な値段のサービスを通して、その楽しみを復活させてくれる企業なのです」。
彼は加えて、Chatbooksは今後もシンプルなユーザーエクスペリエンスと、手頃な価格でありながら高品質なプロダクトの提供にフォーカスしていくだろうと話す。またDent氏は、それまで写真プリントサービスを利用したことのなかったユーザー層を取り込むことに成功したChatbooksを賞賛している。Quigley氏によれば、Chatbooksユーザーの半分がそういった人々なのだという。
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