出版特化型クラウドファンディング「ミライブックスファンド」がローンチ

ワンモアと大日本印刷(DNP)が5日、出版に特化したクラウドファンディングサイト「ミライブックスファンド」を公開した。クラウドファンディングサービスを手がけるワンモアと、出版物を制作するDNP、出版取次会社が協力し、出版に必要な企画立案から資金調達、流通、制作までに至るプロセスをワンストップで提供する。

出版者(出版社ではなく個人やチーム)は、出版物のテーマやストーリー、必要な資金と募集期間、支援者へのリターンの内容などプロジェクトの詳細をサイト上で告知し、購入希望者による支援を呼びかける。募集期間内に必要な資金が集まれば、支援者へ所定のリターンを提供する。出版者は集まった資金の20%を手数料として支払う。

リターンはプロジェクトによって異なるが、コアなファン向けに限定本を提供したり、新人作家の出版などのプロジェクトに対しては、支援者の名前入りの書籍をプリントオンデマンドで制作したり、限定フィギュアを3Dプリンターで制作したりすることを想定しているのだという。

第1弾プロジェクトとしては、クラウドソーシングサービスを運営するランサーズが、特定の企業に所属せずに働くフリーランスの活動を紹介する書籍を出版する。取材や書籍カバーデザインなどの制作者についてはクラウドソーシングをフル活用し、ランサーズ上で募集する。

プロジェクトの募集期間は12月5日から1月23日まで。目標金額は300万円で、支援金は500円から100万円まで受け付けている。リターンは、完成した書籍への広告掲載や出版パーティー参加権などを用意している。

出版に関するクラウドファンディングといえば、絶版漫画の配信サービス「Jコミ」が作品のPDFセットなどを販売する際に利用しているが、「出版の企画から流通、制作までを一気通貫で手がける出版特化型のクラウドファンディングは日本初」(ワンモア)。ミライブックスファンドでは2015年度までに100件のプロジェクト実現を目指す。

出版者としては、出版物の企画段階からサイト上でプロモーションができるため、出版に伴うリスクを低減できることがメリット。また、取次の協力があるため、書店や電子書籍ストアでも販売されるのも自費出版と異なるところだろう。その一方、販売力のある大手出版社の書籍と異なり、書店でどれだけ売れるかは未知数だ。


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TechCrunch Japan

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