テクノロジー企業の株は、今日(米国時間11/19)の取引でめった打ちにされた。アメリカと中国の貿易戦争が激化し、金利が上がるとの予想から、不安に駆られた投資家たちが売りに転じたためだ。
多くの大手テクノロジー企業の株式が取引されるナスダック総合指数は、219.4ポイント(3%)下げて7,028.48になり、一方ダウ平均は395.8ポイント(1.6%)下げの25,017.44になった。
Facebook, Alphabet(Googleの親会社), Apple, Netflix, そしてAmazonはすべて弱気市場に落ち込み、株価は軒並み20%以上落ち込んだ。CNBCの分かりやすいグラフ(下図)を見ると、そのことがよく分かる。
テクノロジー株の苦境は、貿易戦争だけが原因ではない。Facebookの株は、アメリカの選挙へのロシアの妨害に対する、同社のまずい対応を詳細に報じたThe New York Timesの爆弾記事に叩かれた。投資家たちは、コンテンツ管理の今後の費用増大により同社の利益が縮小することを懸念したらしい。
Appleの株価は、iPhoneの売上が同社が予測したほど明るくないとの報道で下げたが、ホリデーシーズンには盛り返すだろう。しかしThe Wall Street Journalによると、将来の売上の不確実性によりAppleは、iPhoneのすべての新機種の目標値を切り下げたという。
同紙によると、最近の数週間でAppleは、9月に発表した新機種すべての生産発注量を減らし、それの影響がサプライチェーン全域に波及した。たとえばiPhone XRは、当初の7000万台から1/3切られ、サプライヤーへの発注もそのぶん減らされた。
サプライチェーン全域への波及効果により、サプライヤーとコンペティターもその多くが株価を下げた。
しかしアメリカ政府による中国との貿易戦争の拡大は、Appleに限らずテクノロジー産業全体の不安要素であり、高関税がサプライチェーンに及ぼす影響と価格の高騰が懸念されている。
MarketWatchによると、大手経営コンサルタント企業Independent Advisor Alliance(IAA)の投資担当最高責任者(CIO)Chris Zaccarelliの説では、貿易戦争の圧力に金利の問題と成長のグローバルな鈍化が加わって、テクノロジー株を下げている。
Zaccarelliは曰く: “テクノロジー業界は今後も、金利の上昇、グローバルな経済成長への不安、そして貿易をめぐる中国との緊張関係という三重の十字砲火にさらされ続けるだろう。中国との貿易戦争の懸念は大手テクノロジー企業が依存しているグローバルなサプライチェーンに対する重荷になり、さらに経済成長のグローバルな鈍化により、将来の収益も低くなる、との不安が広まっている”。
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