厳選した報道を読み上げで伝えるCurioが約9.5億円を調達

「専門性の高い」ジャーナリズムから厳選したライブラリで急成長しているオーディオプラットフォームのCurioが、900万ドル(約9億5000万円)のシリーズAを完了した。

シリーズAを主導したのはEarlybirdで、Draper Esprit、Cherry Ventures、Horizons Venturesが参加した。このラウンドは、Cherry Ventures、500 Startups、匿名のプライベートエンジェル投資家から200万ドル(約2億1000万円)の支援を受けたことに続くもので、これまでの調達金額の合計は1100万ドル(約11億6000万円)になった。

ロンドンを拠点とするCurioは、BBCのストラテジストだったGovind Balakrishnan(ゴビンド・バラクリシュナン)氏と事務弁護士のSrikant Chakravarti(シュリカント・チャクラバルティ)氏によって2016年に設立された。同社は厳選した記事をオーディオ化したライブラリを提供していて、リスナーはニュースや分析を毎日聴くことができる。同社のアプリではウォール・ストリートジャーナル、ワシントンポスト、フィナンシャルタイムズのほか、WiredやMIT Technology Review、Aeonといった専門メディアなど50以上の提供元から記事が選ばれている。

記事を読んでいるのはプロの声優だ。リスナーは新着記事、再生回数の多い記事、カテゴリー、メディアごとにブラウズするほか、Curioの編集チームが作成したプレイリストから新しいトラックを見つけることもできる。さらに「Read Along」(合わせて読む)をタップすると提供元のサイトでオリジナルのテキストを見ることもできるので、提供元としてはトラフィックを増やすことにもつながる。

バラクリシュナン氏はこう語る。「我々はクオリティジャーナリズムと優れたストーリーを通じて人々の学びを支援している。Curioは専門性の高いジャーナリズムから厳選したライブラリをそろえたプレミアムなオーディオプラットフォームだ。世界に影響を与える重要なトピックに関するストーリーと洞察をリスナーに提供して、リスナーの学びと成長を支援する。

ジャーナリズムといえば速報と、狭い意味で連想されるようになっている。しかしジャーナリズムは、深く考察された意見、洞察に満ちた分析、しっかりした調査を包含するものだ。世界に影響を与える重要な考えを我々のパートナーであるメディアのオピニオンリーダーが論じ、利用者が学んで成長するためのまたとない機会になる。オーディオのニュースなら毎日の生活の中で深く掘り下げて学ぶことができる」。

こうした主張はユーザーの共感を得ているようだ。バラクリシュナン氏は筆者に対し、購読者で最も多いのは24〜35歳で、男女比はほぼ半々だと説明した。「現在の購読者の60%以上は、これまでポッドキャストやオーディオのリスナーではなかった人々だ。その意味では、クオリティジャーナリズムに関心を持っている幅広い人々の役に立てる大きなチャンスがあるとみている」と同氏は言う。注目すべき点として、Curioのリスナーの70%は米国以外、約40%は欧米以外の市場の人々だ。

こうしたことから、今後は米国と英国の市場での地位を高める一方、インドやオーストラリア、南アフリカなどの英語圏に拡大するために資金を投じていく。さらに共同制作のシリーズやゲストによるキュレーションが多数進行中で、月間200万件以上のデータポイントに基づく「AI主導」のパーソナライズと制作も予定されている。

画像クレジット:Curio

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(翻訳:Kaori Koyama)

投稿者:

TechCrunch Japan

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