啄木鳥(きつつき)のように垂直面にとまれる固定翼ドローンをシャーブルック大の連中が開発

Multimodal Autonomous Drone(S-MAD)(複数の飛行モードのある自律ドローン)は、鳥のように飛べる隠しワザを持っている固定翼のドローンだ。たとえば、屋内や広い空間でグライダーのように飛べるが、しかし垂直な面(壁)に近づくと、歯のようなものを壁に引っ掛けて停止する。これは、あの悪夢のようなBig Dogといい勝負の、世界でもっともキモいロボットである。

S-MADは、マイクロスパイン(microspines, 小さなとげ状突起)と呼ばれるものを使って、自分を粗い面にくっつける。そのとげ状突起は鋼鉄製のスパイクで、それが面の突き出た部分やふくらんだ部分を二方向からつかむ。スタンフォード大学の研究者Hao Jiangは、こう説明している:

“マイクロスパインの二方向からつかむやり方は、人間の手が飲み物のボトルをつかむときと同じだが、人間の手は指を大きく曲げてオブジェクトに巻きつけるのに対し、マイクロスパインは粗い面の微小構造に食い込んで、面のふくらみや凹(へこ)みをつかまえる”。

こういうとげ状突起は、多回転翼のドローンではすでに使われているが、固定翼のデバイスで使われるのはこれが初めてだ。この飛行機は、垂直な粗い面への着陸に失敗したことはまだ一度もなく、それは、こんなドローンにしてはすごいことだ。

この飛行機は、マイクロスパインを利用して壁に平らに張り付き、鳥のようにとまることができる。そしてデータを集めたり、環境をスキャンしたりするだろう。そして帰還の用意ができたら、スパインと翼を開いて大空に飛び立つ。シャーブルック大学の研究員Dino Mehanovic, John Bass, Thomas Courteau, David Rancourt, Alexis Lussier Desbiensらはスパインを固定翼ドローンに付けることを決め、飛行機を空中に静止させ、垂直面にしがみつかせる新しい方法を発明しなければならなかった。鳥なら、簡単にやることなのにね。 彼らのそのシステムは、飛行機を一瞬だけヘリコプターに換えて、壁に張り付くようにした。以下は、Spectrumの記事の一部だ:

これには、いくつかのトリックがある。最初のトリックは、ピッチアップ(機首上げ)作戦だ。それにより固定翼機が一時的にヘリコプターのようなものになり、プロペラだけから浮力を得て(推力重量比1.5)、翼はトルクをキャンセルするに十分な制御面を提供する〔翼がブレーキになる〕。以上により、この無人機は、所望の遅さで(レーザーレンジファインダーで見つけた)壁に接近できる。それによって得られる第二のトリックは、“適切なタッチダウン条件ゾーン”の最大化、である。すなわち接近が十分に遅くて安定しているので、感知能力のある小さなハードウェアで確実に壁にとまれる。そして第三のトリックは、とまり木システムだ。それは脚とマイクロスパインから成り、飛行機の動きにわずかな誤差があっても確実に壁にとまれるだけの柔軟性を確保している。

 

これはもちろん、まだ概念実証にすぎないが、長距離の滑空が恒久的な‘縦とまり’で終わり、そこで高所におけるデータ収集を継続する実用シナリオがありえる。そのデータ収集が終わったら飛行機は壁や崖などの面から外れて、自力で帰還する。空高く舞い上がり、自分の家に向かって滑空するのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))