商用EVトータルサービスを目指すIdeanomics、今度は配送用EVメーカーVIA Motorsを約495億円で買収

ニューヨークを拠点とするフィンテック・電動モビリティ企業のIdeanomics(アイディアノミクス)は、商用EVメーカーのVIA Motorsを買収すると発表した(4億5000万ドル[約495億円]相当の全株式取得による)。

Ideanomicsは、電気自動車に移行するフリートオペレーターや交通機関向けに垂直統合型のサービスを構築することを目指して、2021年に入ってから積極的にモビリティ事業を買収している。今回のVIA Motorsの買収発表により、Ideanomicsの株価は市場開始時から6%上昇し、2.43ドル(約267円)となった。

2021年だけでもIdeanomicsは、電動パワートレイン部品と燃料電池エンジンのメーカーであるUS Hybrid、米国製の唯一の電動トラクターを製造するEVトラクターメーカーのSolectrac、ユタ州を拠点とするワイヤレス充電器メーカーのWave、権限およびエスクローサービスを提供するTimios Holdings Corp.などの買収を完了している。

VIA Motorsの買収は、Ideanomicsの歴史の中でも群を抜いて最大規模のものだ。VIA Motorsは、短距離および中距離配送用のEVバンおよびトラックの設計・製造を行っており、3つの車両モデルに「スケートボード」スタイルのモジュラー構造を採用している。

「今回の買収は、Ideanomicsにとって大きな変革のマイルストーンとなります」と、同社のAlfred Poor(アルフレッド・プア)CEOは米国時間8月30日に行われた投資家向け電話会議で述べた。この買収により「完全なOEM製造能力」を得ることになり、同社が出資し、充電するEVを製造することができるようになったと同氏は述べている。

この取引には、2026年までの車両納入を条件に、VIAの株主に最大1億8000万ドル(約198億円)のアーンアウト条項に基づく支払をもたらす可能性が含まれている。また、株主は合併後の会社の約25%を所有することになる。これとは別にIdeanomicsは、VIAの運営資金として5000万ドル(約55億円)のファイナンスノートを発行すると発表した。

Ideanomicsは現在、EVの調達から充電管理インフラの構築までをサポートしている。また、同社はフィンテック部門を通じて資金調達の他、充電サービス(charging-as-a-service)や車両サービス(vehicle-as-a-service)も提供しており、フリート企業の投資モデルを設備投資主導型から運用費主導型に切り替えることができるとしている。

プア氏は、最近の第2四半期の決算発表でこのように述べていた。「CapEx(設備投資)からOpEx(運用費)への移行は、新製品やインフラへの投資という明らかな参入障壁を取り除くことで、ゼロエミッションフリートの導入を加速させ、フリートオペレーターに大きな影響を与えると考えています」。

同社は、ユタ州に本社を置くVIAの2026年までの財務予測については明らかにしていないが、買収完了に先立ち規制当局に提出するIdeanomicsの委任状には、これらの数字が記載される予定であるとプア氏は付け加えた。

画像クレジット:Via Motors

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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