Fiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)と、フランスのGroupe PSA(グループPSA)が合併して誕生した多国籍自動車メーカーであるStellantis(ステランティス)は、内燃機関からの脱却に向けた大規模な取り組みの一環として、今後4年間で電気自動車と新しいソフトウェアに300億ユーロ(約3兆9000億円)を投資すると発表した。
世界第4位の自動車メーカーとなったステランティスは、General Motors(ゼネラルモーターズ)やVolkswagen(フォルクスワーゲン)などのライバル企業と並んで、2020年代前半に電気自動車へ数兆円規模の投資を行うことになる。同社は2024年までに、Dodge(ダッジ)ブランドのマッスルカーと、Ram(ラム)ブランドのピックアップトラックの電気自動車を製造することを計画している。また、2025年までにはJeep(ジープ)ブランドのすべてのセグメントに、電気自動車またはプラグイン・ハイブリッド車を提供すると述べている。
その最終的な目標は、2030年までに欧州で70%以上、米国で40%以上の低公害車の販売目標を達成することだと、現地時間7月8日にオンラインで開催された同社初の「EV Day」イベントで、Carlos Tavares(カルロス・タバレス)CEOは語った。
ステランティスは、競合他社に比べて電動化が遅れているが、その理由の1つは、同社のラインナップの売れ筋がパフォーマンスモデルやヘビーデューティーモデルに偏っていることだ。同社は十数ブランドの自動車を設計・製造しており、米国ではジープ、Chrysler(クライスラー)、ダッジ、ラムがそれに含まれる。欧州の主要ブランドには、Fiat(フィアット)、Peugeot(プジョー)、Citroen(シトロエン)、Opel(オペル)などがある。
その電動化戦略を実現するために、2025年までに容量130ギガワット時以上のバッテリーを製造し、2030年までには北米と欧州に建設する5つの巨大バッテリー工場で、260ギガワット時以上のバッテリーを製造できるようにすると、ステランティスの幹部は語った。また、2024年までには搭載する車両に合わせて2種類のバッテリー化学物質を使い分け、2026年までに固体バッテリー技術を開発することを目標としているという。
この巨大自動車メーカーは現在、4つの電気自動車専用プラットフォームを開発している。主に街乗り用の「STLA Small(STLAスモール)」は航続距離が最大500キロメール、上級乗用車の「STLA Medium(STLAミディアム)」の航続距離は最大700キロメートル、そして高性能なパフォーマンスモデルやマッスルカー用の「STLA Large(STLAラージ)」と、ピックアップトラックや大型SUV用の「STLA Frame」は最大航続距離800キロメートルとなる予定だ。ステランティスのRichard Palmer(リチャード・パルマー)CFOによると、同社では2020年から2024年の間にバッテリーパックのコストを40%削減することを目指しているという。
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カテゴリー:モビリティ
タグ:Stellantis、電気自動車、投資、Fiat Chrysler Automobiles
画像クレジット:Stellantis
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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)