大混乱の2020年からスタートアップが学べること

覚えているだろうか、ベンチャーキャピタリストの開業がニュースになった頃を。あるいは、Zoomに投資していたのがアナーバーの男1人だけだった頃を(ウソじゃないよ)。この数カ月間はかつてない忙しさで、スタートアップの成長ぶりや注目のIPO、新たな資金調達など年末になってもニュースは途切れることがない。

活況の強気市場の中でも、私は若きスタートアップたちがどうしているかを振り返ってみたかった。本誌のAlex Wilhem(アレックス・ウィルヘルム)記者と私はPichbookが提供したデータに没頭し、果たして次のDoorDashes(ドアダッシュ)やAirbnbs(エアビーアンドビー)が最初の資金調達をするのかを見極めようとした。

答えはといえば、シード資金投資は花開いたがその様相は複雑だった(未訳記事)。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、民間投資家にとってどの魅力的なスタートアップの基準が大きく変わった。そしてその変化は一部の分野や人々にリスクとなってふりかかった。

2人の投資家が次のようにその力学を説明している。

FreestyleのJenny Lefcourt(ジェニー・レフコート)氏

シード投資の金額は、「次のDoorDashを逃すわけにはいかない」と考えて早期に動いた大型ベンチャーキャピタルによって釣り上げられたと私は考えます。資金が豊富な大型VCは、2倍、3倍、10倍になりうるスタートアップの勝者を引き当てるためにそれなりの現金をつぎ込むべきだと考えているようです。

Eniac VenturesのNihal Mehta(ニハール・メフタ)氏

直接人と会うことができないので、投資家は「自分たちのソーシャルの輪とすでに繋がりのある」「証明された」起業家に投資することに安心感を覚えます。

この長期的な視野の偏狭は、この時期女性ファウンダーが除外されたことを意味している。ベンチャーキャピタルの社交サークルは殆どが白人男性だからだ。分野別に見ると、eコマースとEdTech(教育技術)にとっては良い時期だったが、旅行、娯楽分野には厳しかった。

こうしたデータはスタートアップ世界に一種の不協和をもたらす。シード投資がかつてないほど活発で豊作だといっても、これは一部の人にとって良いニュースでも、そうでない人にとっては悪いニュースだ。景気と不景気が同時に成り立つというのは覚えておくべき警告だ。

Red, orange and pink sheets of paper on edge on blue background in wave pattern to mimic fire

画像クレジット:Getty Images

Edtech(エドテック)2021年最大の課題

EdTechのような年(未訳記事)を経験したセクターは他にない。この分野は全世界で100億ドル(訳1兆350億円)の資金を集め、リモートラーニングはツールから必需品へと変わった。

2020年私が書いたお気に入りのエドテック記事を以下に挙げる。

そしてTechCrunchに書いた今年最後の記事(未訳記事)で私は、リモートラーニングの普遍化は新規ユーザーに間違いなくブームをもたらしたが、この分野が早く簡単にスケーリングしたことでイノベーションを起こす機会は限定されたかもしれない。

来る年向けて私から贈る最大の助言はこれだ。

2020年のエドテックにとって柔軟性と根性は生き残りの戦術であり、利益と成長そしてなにりよも、私たちが学習するための必要なテクノロジーにとって「これだ」という瞬間をもたらした。新しい年を迎えるにあたり、この分野は短期的修正という思考を捨て、偏狭的視野から広く長い視野へ進化しなくてはならなくなるだろう。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

宇宙スタートアップのための1兆6570億円の小切手帳

宇宙スタートアップへの投資は確率に反する行動だ。それは時として必要になる詩的センスでもある。本誌のイベント、TC Session: Space 2020の中で、TechCrunch記者の何人かがどんな種類の資金が宇宙に注ぎ込まれているのかを詳しく分析した。

  • ある人は、宇宙スタートアップへの投資は経済不況に関わらず落ち込んでいない、なぜなら政府の介入によって予算に余裕がある(未訳記事)からだと考えている。空軍予算160億ドル(約1兆6570億円)を管理する人物は、スタートアップに基地に来て欲しい(未訳記事)と思っている。
  • 3人のVCが、宇宙のゴミと持続可能性、および宇宙での製造のメリット(未訳記事)について語った。

現在ベンチャーキャピタルのDCVC所属でPlanet Labsの共同ファウンダーだったChris Boshuizen(クリス・ボシュイゼン)氏による次の発言はよく知られている。

私たちはまだSFの未来に住んでいません。自由に飛び上がってごみを拾い持ち帰ることはできないのです。それはとてもとても大変なことで、おそらく5年先になると思いますが、私たちが支援してこの目で見たいとことの1つです。

アンクル・サムが宇宙に浮かんでいる画像。左肩の上に空軍のロゴが見える。

2020年にいなくなったスタートアップを思い出してみる

スタートアップを立ち上げるのはいつでも難しいが、パンデミックによる予期せぬ展開によって、2020年は多くの企業があまりうれしくない最後を迎えることになった。そこで、TechCrunch年末恒例の一環として、2020年に失われたスタートアップに敬意を評したい。

私のまとめは以下の通りだ。

  • これは楽しいリストではない。失敗はつらいが燃え殻をかき分ければ教訓の1つか2つを見つけられる。たとえば?ビッグネーム、ビッグな計画、そして膨れ上がる資金は実際に金を稼ぐ代わりにはならない。
  • リストには、短編ビデオアプリのstrong>Quibi、法務テックのスタートアップ、Atriumはじめ、ウイルス蔓延とともに破綻した多くの旅行スタートアップが入っている。
  • 一部の企業は新型コロナのために失敗したが、多くの場合根本的なビジネス欠陥やひび割れがパンデミックが始まるずっと以前から見え隠れしていた。

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カテゴリー:その他
タグ:VC / ベンチャーキャピタル教育宇宙

画像クレジット:Vlada Maestro / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

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