天気に応じたオススメ曲を表示ーSpotifyがAccuWeatherと新サービスをローンチ

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天気や空模様はミュージシャンのインスピレーションを刺激し、ロンドンの霧太陽が顔を出したときの様子、さらには季節に合った服などをテーマにした曲がこれまでに誕生した。そこでSpotifyはAccuWeatherとタッグを組み、ユーザーの位置情報からリアルタイムで天気やムードを読み取り、それぞれのユーザーの状況にあったプレイリストを表示する、Climatuneというサービスをローンチした。

これは以前、Songza(後にGoogleに買収された音楽のレコメンデーションサービス)がWeather Company(後にIBMが買収)とのコラボを通してつくった機能に似ている。Songzaは、もともと時間や日付、ユーザーの位置情報をもとに楽曲をレコメンドするサービスを提供していたが、Weather Companyと組むことで、さらに気象情報を加味したものへとサービス内容を進化させていた

しかしClimatuneの機能はSongzaとはちょっと違う。Spotifyが新規に用意したClimatune用のウェブサイトは、ユーザーの現在地(もしくはそこから1番近いClimatuneがトラックしている地域)を検出し、その場所と天気に合うであろう30曲がおさまったプレイリストを表示してくれる。

Spotifyによれば、Climatuneのプレイリストは、1年分の気象データと850億件に及ぶSpotifyのストリーミングデータを紐付けて作られた。つまり同社は、雨が降っているとき、晴れているとき、曇っているとき、風が強いとき、雪が降っているときに、それぞれSpotifyユーザーはどんな曲を聞いていたかという情報をまとめてこのサービスを完成させたのだ。そして、その結果浮かび上がってきた曲や、それに似た曲からプレイリストは作られている。

インタラクティブな壁紙も準備されているClimatuneだが、Spotifyの狙いはユーザーをずっとこのサイトに留めておくことではない。Climatune上では各曲のプレビューしか表示されず、ユーザーは楽曲全体を聞くためにはSpotifyへ移動しなければならず、最終的にはSpotifyへユーザーとエンゲージメントが集まるような仕組みになっている。

現在音楽レーベルとのライセンス費用に関する再交渉を狙っているSpotifyは、ユーザー数やエンゲージメントといった指標に敏感になっている。私たちが入手した情報によれば、Spotifyはこれまで再生数に応じて楽曲使用料を支払ってきたが、定額制へ移行したいと考えているようなのだ。そのため、楽曲の権利者に対して、Spotifyユーザーはある特定の曲だけでなく、音楽全体を楽しんでいるという証拠を見せることができれば、Spotifyの希望は通りやすくなる。

さらにClimatuneのサービスは、自分が何を聞きたいかイマイチわからないような、そこまで音楽に熱心ではない人にリーチするためにも有効な手段だといえる。3000万曲ものストックがある中、カジュアルに音楽を楽しみたい人は、いちいち自分で聞きたい曲を探すよりも、良い曲をオススメしてほしいと考えているのだ。

Climatuneのサイトを開くと、ユーザーの現在地に応じたプレイリストが表示されるが、もしも周りは雨が降っているのに雪っぽい曲を聞きたいと思ったら、ユーザーは好みの天気を選ぶことができ、そうすれば違う街と天気に合ったプレイリストが表示される。

天気と音楽の関係については、ある程度であれば予想がつく。Spotifyによれば、晴れた日は「元気いっぱいで楽しい雰囲気が好まれる傾向にあり、テンポが速くラウドかつノイジーな”動き”のある曲や、長音階やその他の音楽的な要素とも関連して、ハッピーかつ陽気で幸せになるような曲が再生されることが多い」一方、雨の日は「アコースティックで落ち着いた、悲しい雰囲気の曲」を聞く人が多い。

しかし、シカゴの人は雨の日にアップビートな曲を聞きがちなど、意外な傾向も見られた。

その他にもさまざまなトレンドを見て取ることができるが、中には複数のプレイリストに繰り返し登場する楽曲もある。これについては、Climatuneを新しいプロモーションの手段に使おうとしていると考えることもできるし、単にその曲が天気や地域を超越して、高い人気を誇っていると考えることもできる。例えば、晴れた日のロンドンのリストと風が強い日のリスボンのリスト両方に、Twenty One PilotsのRideと、Selena GomezのKill Em With Kindnessが含まれている。

「天気とユーザーが聞く曲の間には、ハッキリと相関関係が見てとれます。私たちが調査した主要都市のほぼ全てで、晴れた日は明るい曲の再生数が増加していました。特にヨーロッパのユーザーは晴れた日に敏感に反応していましたね」とSpotifyでヘッド・データ・リサーチャーを務めるIan Andersonはからかって言った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

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TechCrunch Japan

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