国際宇宙ステーション(ISS)に代わる日本初の宇宙環境利用プラットフォームを開発する東北大学発スタートアップElevationSpaceは7月13日、プレシードラウンドにおいて、第三者割当増資による約3000万円の資金調達を発表した。引受先は、MAKOTOキャピタル、事業会社、個人エンジェル投資家の計8者。補助金なども含めた累計調達額は創業半年で約4000万円となった。
ElevationSpaceは、東北大学吉田・桒原研究室でこれまで開発してきた10機以上の小型人工衛星の技術を基に、2021年2月に設立された東北大学発宇宙スタートアップ。調達した資金により、2023年の打上を目指し開発中の技術実証機「ELS-R100」の開発を加速し、大気圏で燃え尽きず地球に帰還させる技術「大気圏再突入技術」の獲得を目指す。
同社は、小型人工衛星内での宇宙実験・製造を可能とする小型宇宙利用・回収プラットフォーム「ELS-R」を開発しており、微小重力環境でのサイエンス研究や地球では不可能な高品質材料の製造を実現、その成果物を地上まで持ち帰ることができるという。
基礎科学的な実験から創薬などの産業利用まで、すでにISSが利用されているものの、構造寿命などの関係から2024年以降のISSの運用は未定という。その運用終了後は、宇宙環境利用を行う場所がなくなると考えられているそうだ。ISSは有人宇宙ステーションであり、国が管理しているプラットフォームであるため、安全管理の複雑さやリードタイムに課題がある。一方ElevationSpaceのサービスでは、小型かつ無人の人工衛星を用いるため、簡単に素早く利用でき、他の手段と比べて優れたユーザビリティを有するとしている。
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