英国のブルーネル・ユニバーシティ・ロンドン、ランカスター大学、サリー大学の研究者が開発した新たなタイプのテストでは、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染をわずか30分で調べられる。この検査では、100ポンド(約1万3000円)しかしない手に持つタイプのハードウェアと、1人あたり5ドル(約550円)ほどの綿棒サンプルキットを用いる。ニワトリのウイルス感染をテストするのにフィリピンで使用された既存のテクノロジーを活用していて、今回研究者らが人間での新型コロナウイルス検査向けに作り変えた。研究チームは現在、大量生産に取り組んでいる。
新たなテストは当然のことながら実際に使用されるようになる前に、米食品医薬品局(FDA)のような各国の当局に承認される必要がある。しかしこのプロジェクトに関わっている研究者らは、いい反応が得られると自信を持っていて、「数週間以内に」提供することが可能だとさえ言う。ハードウェアそのものはバッテリーで作動し、スマートフォンのアプリに診断結果を表示する。テストするには鼻もしくは喉に使う綿棒が必要だが、サンプルをラボに提出する必要はない。
同様の手法を用いた現場で使えるテストの中にはすでに承認されたものがある。CepheidやMesa Biotechの商品などだ。しかしこれらは高価な専用卓上型ラボを必要とし、ラボはヘルスケア施設に設置される。英国の科学者たちが開発したテストは高価ではないハードウェアを使用するというアドバンテージがあり、しかも1度に最大6人の検査に対応する。また、クリニックや病院に、もしかすると職場や家庭にも配備できる。
欧州や中国の一部の医療現場ではすでに、すぐに結果が得られるテストが使用されている。しかしこれらのテストは往々にして抗体の有無に頼る血清学的なものだ。
一方、英国の科学者たちのテストは分子によるもので、抗体ができる前でもウイルスのDNAの存在を検知できる。このテストは、自宅で自己隔離している無症状の個人のウイルス検査や、他のテストでは現在検査が優先されない不特定多数の人を調べるのに活用できるかもしれない。しかし新型コロナウイルスの市中感染という静かな広がりについての貴重な知見を提供することにもなる。
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(翻訳:Mizoguchi)