FacebookやInkedInなどの巨大ネットワークは、ソーシャルメディアの世界で強大な引力を発揮している。膨大な数のオーディエンスによってそのプラットフォームは、広告や情報を求める人たちにとって、非常に多くの人たちにリーチできる重要な場所だ。しかし、そうした成長と並行して、狭い特定の分野に特化したプラットフォームやネットワークの役割も消えてはいない。
米国時間10月29日、あらゆるコミュニティーの農家に焦点を当てた、そんなネットワークが成長を促進させる投資ラウンドを獲得した。
小規模農家(つまり大手農業ビジュネスに管理されていない農家)のためのマーケットプレイスとネットワークサイトWeFarm(ウィファーム)は、シリーズAの投資ラウンドとして1300万ドル(約14億円)を獲得した。より多くのユーザー(つまり農家)を増やし、農家の要求に応えるサービスを充実させるためにこの資金は使われる。
今回の投資により、WeFarmが調達した資金の総額は2000万ドル(約21億8000万円)となった。このラウンドは、True Ventures(トゥルー・ベンチャーズ)主導のもと、AgFunder(アグファンダー)、June Fund(ジューンファンド)、前回の投資会社であるLocalGlobe(ローカルグローブ)、ADV、 Norrsken Foundation(ノースケン・ファンデーション)その他が出資している。
WeFarmには、現在、190万人の登録ユーザーがおり、マーケットプレイスの提供を開始したところだ。農家と、種子や肥料などの農業資材や農具を扱う業者とを結びつけるもので、最初の8カ月間の運営で100万ドル(約1億800万円)を売り上げた。そこにビジネスの場があるという証だ。同社は、この成長は実際「AmazonやeBayのアリーステージよりも早い」と話していた。
WeFarmは英国ロンドンに本社があるが、同国以外のヨーロッパにもユーザーがいる。創設者でCEOのKenny Ewan(ケニー・ユワン)氏がインタビューで話したところによると、発展途上国の経済圏でさらに多くの堅調な活動や成長が見られるという。そこでは小規模農家が大半を占めているものの、農業従事者は近代的なデジタルサービスの恩恵をほとんど受けられずにいる。
「私たちは、世界の小規模農家のエコシステムを構築しています」とユワン氏。彼によると、世界にはおよそ5億箇所の小規模農地があり、そこで10億あまりの人が働いているという。広さは通常1.5から2ヘクタールほどで、米、コーヒー、畜牛、野菜といった主要商品作物を生産している。「おそらくこれは、グローバルサプライチェーンの75〜80%を占める地球最大の産業です。しかし、まだ誰も彼らのためのものを作っていません。さまざまなレベルでそれは重要な意味を持ちます」
一方、WeFarmが提供するサービスは二重構造になっている。無料で参加できるネットワークは、まずは相談所として機能する。他の農家と同じコミュニティーに暮らしながら、孤立しているような人たちが、農業や小規模農地に関する問題について、互いに質問したり助言を得たりできる。Facebookというより、Stack Exchangeといった感じだ。
それが、WeFarmの2つめの乗り物、つまりマーケットプレイスを自然に成長させる。ユワン氏は、始めは地元の商品供給業者と手を組み(そして重要なこととして業者を審査し)、農家との間を取り持ち、農家が必要とする資材やサービスの広範なエコシステムを築いてきたと話していた。
長期的には、その目的は、小規模農家が資材の交換を行ったり、作物を販売したりできる場所の提供に広がっていく。
販売資材への橋渡しに加え、WeFarmはそれを支える電子商取引の管理も手伝っている。例えば、アフリカなどの地域では、モバイルウォレットが事実上の銀行口座とクレジットカードの代役を果たしているため、SMSで支払いができることがとても重要になるのだ。
「私たちのユーザーの90%にとって、私たちが唯一の利用可能なデジタルサービスになっています。そのため、彼らの信頼に完全に応えることが重要なのです」とユワンは言う。「これは、地球最大の産業の信頼のネットワークであり、私たちはそれを確実に機能させなければなりません」。
True Venturesなどの投資家にとって、これは長期戦になる。金銭的なリターンは道徳的な見返りほど明確ではないかも知れない。
「ケニーとWeFarmのスタッフが世界の農家を力づける姿に、大変に感銘を受けました。その未来に、私たちは大きな可能性を見ています」とTrue Venturesの共同創設者Jon Callaghan(ジョン・キャラハン)氏は声明の中で述べていた。「この会社は、単にインパクトドリブンなだけではありません。WeFarmマーケットプレイスの目覚ましい成長は、食品サプライチェーンを通じて、小規模農家と、あらゆる人に利益をもたらすために彼らが必要とする、より多くのものとを結びつけるという、興奮させられるような商業的好機を実証しています。これはビッグな、地球規模のビジネスです」。
それでも、非常に大きなロングテールであることを考えると、小規模農家コミュニティーの基盤を固め管理ができる企業なら、同じように非常に価値の高いビジネスを手にすることができるだろう。
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(翻訳:金井哲夫)