Tyltgo(ティルトゴ)は、レストランや小規模事業所がAmazonやHelloFreshなどが提供している同日配達サービスと簡単に競合できるようにしたいと考えている。このほどシードラウンドで230万カナダドル(約1億9800万円)調達したカナダ企業Tyltgoは、ホワイトラベルのUber Eatsのようなものだ。事業所をギグエコノミーの配達人と結びつけ、事業所のブランド下でのオンデマンド配達プラットフォームを提供している。
「自社のことを購入後体験の会社だと考えています」と共同創業者でCEOのJaden Pereira(ジェイデン・ペレイラ)氏はTechCrunchに語った。「消費者は直接事業者のプラットフォームにいき、そこで注文します。ですのでエクスペリエンス全体を通じて購入したブランドとやり取りしているような感じになります。当社のメッセージやノーティフィケーション、追跡ページ、配達はすべて業者のブランドにカスタマイズされますが、Tyltgoによって動いています」。
パンデミックによる外出禁止令が出ている間、Amazonのようなeコマース大手がかなりリーチを広げたのとあわせ、プロダクトを配達する必要性は同日配達を期待する社会を作り出した。Tyltgoはそうした現実の中に排他性があることに気づいた。小規模事業者は時間やリソースが限られているという事実だ。そして同社はイノベーティブなテックとギグエコノミー配達人でもって状況を改善することに乗り出した
2018年7月、ペレイラ氏はウォータールー大学で勉強しながら同級生でデベロッパーのAaron Paul(アーロン・ポール)氏と共同で会社を設立した。ペレイラ氏は自身、アルバイトで配達を行い、その一方でShopifyで消費者相手のサービスを構築した。ペレイラ氏とポール氏は真の問題は事業者が安価な価格で同日配達を提供するのに苦戦していることだと認識し、2019年10月にB2Bへとフォーカスをシフトした。
2019年12月から2020年12月にかけて、Tyltgoの売上高は2000%成長した、とペレイラ氏は話す。同社は2020年を2人で迎えたが、その年の終わりには9人に増えた。ここには、Uber Eats Canadaマーケットプレイスオペレーションの元責任者Joe Rhew(ジョー・ルー)氏、Goldman Sachsに買収されたフィンテック企業Financeitでエンジニアリングのディレクターを務めたAdnan Ali(アドナン・アリ)氏が含まれる。
VCファームTI Platform Management、Y Combinator、エンジェル投資家Charles Songhurst(チャールズ・ソングハースト)氏からの資金により、Tyltgoは2021年の売上高成長率1500%を予想する。同社の目標は、チームを拡大してAPIとアプリベースのプラットフォームを開発し、オンタリオ州で事業者を100社増やすことだ。
ペレイラ氏はTyltgoがもともと花屋、そして時々薬局にフォーカスしていたが、レストラン業界からの需要が新たなターゲットである食事キット配達につながった、と話した。
完全に計量された材料と調理法の案内で料理の難しい面をカバーしている食事キットのサービスは、その前から人気を獲得しつつあった。パンデミックに見舞われたとき、HelloFreshやBlue Apronのようなサービスはさらに成長した。レストランは店をオープンし続けるのに苦戦し、多くの店が温めるだけ、あるいはすぐに食べられるレストラン品質の食事を配達することになった。
グローバルの食事キット配達サービスマーケットは2027年までに約200億ドル(約2兆1616億円)に達すると予想されている。中でも、温めて食べるだけというオプションがかなりの割合を占める。Tyltgoは業界の成功を頼りにしている。すでにGeneral Assembly PizzaやCrafty Ramenといったレストラン、グローサリーストアやオーガニック農園の従来型の食事キットサービスとの提携を確保した。
ペレイラ氏は、花や食事キットという「準生鮮業界」での取り組みは同社にとってチャレンジであり、差別化要因だと話した。配達するものにもよるが、Tyltgoは商品の鮮度を維持できる時間を決め、その時間に合わせてドライバーをマッチする。同社はまた、数多くの配達を配達人の車両のサイズに合わせて割り当てる高度な車両管理プラットフォームを導入した。
「初期においての最も困難な部分は、商品にダメージを与えることなくそうした鮮度維持時間をマッチさせることでした」とペレイラ氏は話した。「ロジスティックでは、交通状況や気象状況、他のすべてを考慮しなければなりません。しかし35件の配達を行うのに8時間の配達時間があります」。
もう1つの課題は、ギグエコノミーの中で展開しながらTyltgoが宣伝する最高品質のサービスを確保することだ。信頼できる配達人の選択はTyltgoの業務のスピードを時に緩やかなものにしたが、同社はエラーの上限値を低く維持できる場合にのみ対応能力を拡大させる。
「当社は、配達に対応する能力がなく期待にも応えられないと考えれば、事業者をサービスに引き込みません」と同氏は述べた。
Tyltgoの食事キットへのフォーカスが長期的に事業拡大へとつながるかどうかはさておき、プラットフォームそのものはしっかりとしている。ペレイラ氏の目標は、同社がすべての小売業の部門での購入後顧客エクスペリエンスの一部になることだ。ここには配達に加えて顧客サービス、ブランディング、決済への業務拡大が含まれる。
「当社がこのサービスを行っているのは、小規模の実在店舗小売業者の多くが世界のAmazonと競うことができるようになるための時間やリソースを持っていないということが主な理由です。当社は小売業者の手に力を与えることができるようになりたいのです」とペレイラ氏は述べた。
カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Tyltgo、配送、ギグエコノミー、カナダ、フードデリバリー
画像クレジット:Tyltgo
[原文へ]
(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi)