シカゴに拠点を置くJiobitは、ワイヤレステクノロジーを使って、子どもがいつどこにいようが親が安心できるような環境を築こうとしている。同社のフラッグシップ機は、バッテリー寿命が長く、ドタバタと動き回る幼児や児童がどこにいるか確実に把握することができ、子どもが想定範囲外に出てしまったときはモバイルアプリ経由で親に通知を送ることもできる。
以前Motorola Mobilityでヴァイスプレジデントを務めていた、JiobitのCEO兼ファウンダーのJohn Renaldiは、GPSを使って子どもがいる場所を確認するプロダクトはこれまでにもあったと話す。しかし、彼自身の子どもがシカゴのミレニアムパークで迷子になり、20分間も必死に子どもを探し続けた経験から、これまでの製品のほとんどは位置情報の詰めが甘く、屋内外どちらでもうまく機能するものがないということにRenaldiは気付いた。親が子どもを連れて行くことの多い美術館やスーパー、ホテル、病院など、街中に溢れる屋内施設を考えると、これは深刻な問題だ。
小さな白い直方体のような見た目のプロダクトは、角が丸められており、子どものベルトループやジャケット、バックパックなどに簡単に取り付けられるようになっている。また柔らかいシリコン素材からできているため、敏感な子どもの肌にも優しく、重さは単三電池一本分ほどだ。使用頻度にもよるが、バッテリーは平均で2、3週間に1回充電するだけで良い。
Jiobitのモバイルアプリを使えば、子どもが予期せぬ場所へ向かったときに、親もしくは親公認の保護者に通知が送られるようになっている。さらに機械学習の技術によって、Jiobitは自動的に子どもの活動範囲を特定できるため、親は事前に「ルール」や子どもの行動範囲を指定しなくてもいい(マニュアルで設定することも可能)。そして毎日の子どもの動きがレポートとして親のもとに届くようになっている。子どもの情報が第三者に漏れてしまわないように、アプリやデバイスが送受信するデータは全て暗号化されている(JiobitによればどちらもCOPPAに準拠している)。
Jiobitはこの度、位置情報サービスに明るい投資家からシードラウンドで300万ドルを調達した。具体的には自動運転トラックを開発しているOtto(現在はUber子会社)の共同ファウンダーのLior Ronや、シカゴを拠点とするMATH Venture Partners、Inflection Equityなどがラウンドに参加していた。
Lior RonはJiobitへの投資を決めた理由のひとつとして、Renaldiの才能を挙げた。ふたりはMotorola時代の同僚で、RonはMoto 360やその他のウェアラブル・モバイルデバイスの開発を率いていた。さらに彼は、上手く設計され、じょうぶで正確なJiobitのプロダクトは、子どもを守り、親を安心させることで世界を変える力を持っていると考えている。
「みんながより良い生活を送れるように日常に溢れるものをスマート化したり、人がもっとスマートになるようにAIをつくったりするチャンスはどこにでも転がっています。次のイノベーションの波は、交通の分野であれ、医療や住宅であれ、このふたつを組合せた素晴らしいチームによって生み出されることになるでしょう。ここ最近はそんなチームに投資しています。そもそもOttoとUberの自動運転技術の開発に忙しいので、投資先は選り好みしています」と彼は話す。
Renaldiによれば、Jiobitは今回調達した資金を、人員の強化やデバイスとアプリの市場デビューへの準備にあてる予定だ。同社は今年中に事前販売をスタートさせる計画だが、具体的な日にちは明かされなかった。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)