今日(米国時間7/8)ベータでローンチしたTranscend Lightingは、Y Combinatorが育成対象として受け入れるにはあまりに異色の企業だが、屋内農業のための省エネLEDライトを作ろうとしている。
ファウンダのBrian Bennettは独学の光学技術者で、彼がTranscendの最初のプロトタイプを発明したのは、ニューヨーク州北部にある彼の家族農場で父に、農業用のLEDライトを作ってみろ、とそそのかされたことが、きっかけだ。
ライトの設計が完成したとき彼は、コロンビア大学のビジネスプランコンペに応募して、そのささやかな賞金で開発を継続できることになった。そしてその後、Y Combinatorの2015春季のクラスに‘入学’した。
Bennetは語る、“今の農家は主に、道路の照明に使われているのと同じ、高圧のナトリウムランプを使っている。作物はまあまあ育つけど、消費電力がものすごく大きい”。
Trancendの電球は通常のLEDライトと違って青色LEDしか使わない。そして同社が開発した波長変換システムにより、蛍光物質を利用して、もっともエネルギー効率の良い光子である青の光子をほかの色の光子に変える。
“蛍光物質は昔からあるけど、うちで使っているのは、植物の光合成のためにとくに調製された蛍光物質だ。これまでの蛍光物質は、人間用の照明器具が目的だから、ひたすら明るさだけを求めて調整されてきた”、とBennetは語る。
農家がTranscendのライトを使うと、ナトリウム灯のころに比べて、消費電力を最大70%ぐらい節約できる。
なお、今合衆国で屋内で水耕栽培されている作物は、マリファナだけではない。Bennettによると、初期の顧客の半分はマリファナ栽培業者だが、あとは主にイーストコーストのレタスやトマト、ペッパーなどの農家だ。
今は各地で干ばつがひどくなっているので、屋外の農業の10%の水しか必要としない屋内水耕栽培に関心を向ける農家が増えている。
また屋内なら、農家が温度や湿度、CO2のレベル、光量など、環境を完全にコントロールでき、しかも周年栽培が可能だ。
Bennetはこう言う、“屋内栽培は数百万ドル相当のビジネスだと言われるし、最近はテクノロジの利用でその経済的な魅力も上がっている。たとえばうちのライトを使えば、エネルギーの消費量を相当抑えることができるから、農家の利幅も大きくなる”。
Transcendの農業用照明器具(上図)は一基999ドルだが、それはだいたい、一年分のエネルギー節約量に相当するそうだ。1年で元が取れる、ということ。
同社にはすでに農業法人などからの注文もあり、この夏の終わりごろには第二の照明器具製品を、Indiegogoに出すそうだ。