ドローンは遊びにも配達にも軍用にも使える。ではその他に何に使えるだろう? それがChristian Sanzという起業家が数年前に取り組んだ疑問だった。さまざまな可能性を試した後、Sanzはある分野でドローンの需要が間違いなく高いことを発見した。建設現場のデータ収集だ。Sanzのスタートアップ、Skycatchはこのほど新たに1320万ドルの資金調達に成功した。
私の取材に答えてSanzは、「この分野の可能性に気づいたのは、私がドローンのプロトタイプを大勢の聴衆にデモしたとき、ある建設関係者が現場の空撮をしてくれないかと言ったときだ」と語った。
この建設業者はSanzにいろいろな空撮業務を依頼し、料金を支払うと申し出たが、Sanzは開発のために無料で撮影した。建設や土木の工事現場では通例、設計段階での1回の空撮写真しか得られない。運が良ければ数ヶ月ごとに追加の空撮が行われる。
Sanzが提供するサービスでは、ドローンの編隊を駆使して、工事の進捗状況を頻繁に空中から撮影する。なんらかの異常があれば早期に発見でき、莫大なコスト削減につながる。
それにミスを発見するだけではない。工事現場に関してこれまでは得られなかった膨大な情報が蓄積できる。 センサーとカメラを搭載したドローンは工事に関するあらゆる情報を正確に記録できる。
SkycatchはすでにBechtel、Bouygues、Rio Tintoなどの世界的エンジニアリング企業を始めとして数多くのクライアントを獲得している。契約上、社名を明かせないクライアントも多いという。Skycatchのドローンは現場上空から2Dと3Dの写真を撮影するが、この飛行は予めプログラミングされた経路に沿って自律的に操縦され、自動的に発進場所に帰ってくる。風の状態にもよるが、1回、最長30分の飛行が可能で15GBのデータが取得できる。
今回の資金調達でSkycatchは既存ビジネスの強化と同時に、高高度に長期間滞空できる新しい無人機の開発も計画している。こうした長期滞空タイプのドローンはGoogleとFacebookのドローンによるインターネット・アクセス・ポイント提供計画で用いられるものと類似している。私は「この分野には手強いライバルが多いのではないか?」と尋ねたが、Sanzは「まだ現実にはそこまで行っていないし、将来は商業航空機の飛行高度以上からの情報収集ドローンに関しては多くの企業が共通の通信チャンネルを確立するなどして協力していくものと思う。単なる競争関係にはならないはずだ」と答えた。
Skycatchはビッグデータの収集、解析とドローンという2つの未来的な要素を結びつけたところにビジネスを成長させようとしている。 これまでの建設プロジェクトでは、ビルや橋が崩落して始めて重大なミスがあったことに気づいていたが、Skycatchのようなサービスを利用すれば問題の発生と同時に直ちに正確な情報が取得できる。言い古された表現だが、Skycatchの成長の可能性は「青天井」だ。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)